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感情と、言葉と、ほんの少しの本音と、私と

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感情と、言葉と、ほんの少しの本音と、私と

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遺書

葬儀には、自分の持っている中で一番お気に入りの服を着て、参列してください。喪服は禁止とします。 香典袋は、開けるときに楽しいので、可愛いキャラクターのポチ袋なんかにしてください。アンパンマンとかドラえもんとか。サンリオのだと、私がより喜ぶかと思います。中身は小銭だって構いません。ギザジュー100枚とかでもいいよ。見つけたとき、なんか特別な気分になるよね。 遺影に使う写真は、大学の卒業式の日、家族に囲まれながら撮ってもらったものがいいかな。今までで一番幸せそうな顔をしている

    • きっとまだ運命を信じていたい

      何かを手放して、何かを手に入れる。 そんな繰り返しの中で、私たちは息をしている。 永遠に続くような気がする瞬間を大切にしたい。くだらないことで腹を抱えて笑ったり、一つの鍋を囲んでつついたり、近くのコンビニまで歩いて話したり、深夜に大きな声で歌ったり、映画を観て泣いたり、そんな一瞬一瞬の積み重ねが、私という人間を象る。 いつかあの瞬間のときめきを忘れてしまっても、記憶の中の私たちが笑っていられるのなら、それでいいような気がする。 出逢いは常に別れを内在しているけれど、い

      • あの日の空に救われて

        いつの日か彼女と見上げたあの空に、私は今日もそっと背中を押されている。 いつの日か彼女が紡いだあの言葉に、私は今日も優しく抱きしめられている。 「今は少し休んでも大丈夫だと思います」 「自分のことゆっくり労ってあげてください」 「もう十分がんばっていると思います」 電話越しに罵倒される毎日。恋人にも、家族にすらも理解されないと、心の中でずっと孤独を感じながら、黒いスーツを身に纏い、慣れないヒールを履いて、目に涙を溢れそうなくらい溜めて、駅から職場までの道をゆっくりと

        • 好き

          早朝の空の色 助手席から見る横顔 風に吹かれる金木犀の香り 永遠に思えた一瞬 電車の窓から差し込む光 彼の匂い クリームソーダ 深夜の点滅信号 ほろ酔いで歩くこと 待ち合わせの時間 ショートカットの女の子 こたつで眠ること コインランドリーの前を通るとき キラキラのネイル 電車に揺られながらする読書 夜の河川敷の散歩 誰かの腕の中で眠る夜 肉汁たっぷりのハンバーグ サプライズを考えている時間 お花屋さんに寄る帰り道 冬の夜の匂い 身体

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        遺書

          赦す

          私のことを赦してほしい。 私は君を赦したい。 赦すことは、妥協することではない。 赦すことができなくて、ずっと苦しかった。 時間が経つと薄れていってしまうものに怯えている。 そのまま保っているためには、何かを犠牲にしなければならないのだろうか。 「私だっていろんなこと我慢してるのに」 普段は絶対に口にはしないそんな言葉を吐いて、ふと我に返った。きっとそれは私の本音で、甘えだったと思う。 弱いのに強いふりをしてしまうし、寂しいのに満たされているふりをしてしまう。

          赦す

          枯れない花を贈って

          誰かの幸せのために自分の幸せを手放すことを愛だとするのなら、愛とは残酷なものだと思う。 愛と欲望の狭間を逡巡する私を嘲笑ってほしい。 私も、なんとなくで花を買う歳になった。 毎日、水を替える。大切に、丁寧に、愛情を注ぐ。「子どもと同じ」って、どこかの誰かが言っていた。 花屋さんの前を通る瞬間は、いつも胸が躍る。あの匂いが好き。誰かの愛情がたくさん詰め込まれた花たちを、じーっと眺めるあの贅沢な時間が好き。 「私、お花屋さんになりたいんです」 いつかの私の言葉、そこに

          枯れない花を贈って

          心が壊れた日のこと

          消えないでと願いながら、消えていく虹を見つめた。 行かないでと願いながら、遠くなる君の後ろ姿を眺めた。 季節が冬から春に移り変わるあの生温い風が、私の頬に優しく当たるたび、いつも同じ記憶が頭をよぎる。カーテンから差し込む陽の光が、あの頃の私にはどうにも鬱陶しくて、一ミリの明るさもない部屋の薄暗さに至極安心していたっけ。 痛いときに痛いと言えない苦しさとか、助けてを言葉にできない脆さとか、そういう感情に、私の心の悲鳴に耳を傾けることを恐れて、避けて、逃げて、そして壊れた。

          心が壊れた日のこと

          退勤電車で流した涙の理由なんて

          優しさって、想像力だと思う。 騙されたままでいることも、気づいていないふりをすることも、ちゃんと優しさだったよね。 あなたの好きな色は、何色だろう。 弱さを曝け出すことが強さだとするならば、私はきっと、そこで生き抜くことはできないだろう。 正解なんてどこにもないはずなのに、正解を追い求めて、必死にもがいていたあの頃。 目を背けたのではなく、優しくしてあげたかった。 せめて私だけでも、私の味方でありたかった。 私は、私の好きな色を知っているはずだから。 ずっと、

          退勤電車で流した涙の理由なんて

          あなたと春を待ちたい

          例えば、チョコレートの最後の一切れを譲るとか、ずっと前に話した好きなものの話を覚えているだとか、眠っている身体にそっと毛布をかけるとか。 そういう、そういうやさしさって、きっと、愛なんだと思う。 彼とまだ友人だった頃、何度も、何度もそんなことを思った。 付き合い始めて、彼の恋人になってからのこの二ヶ月間、もっと、もっとこれまでよりずっと、何度もそんなことを思った。 彼のことを好きだと感じる瞬間が、瞬きをする速度で積み重なっていく。 次に目を開けた瞬間に、彼はもうそこ

          あなたと春を待ちたい

          追憶

          誰かを大切にするということは、大切にしたいその誰かが大切にしているものまで大切にするということなんだよ。 いつかの私が口にしたその言葉を、君はどんな瞬間に、誰を想って、思い出すのだろうか。 人間、死ぬときは死ぬから 食卓を囲んで、母の特製の牛すじ煮込みカレーと、そこにたしかに存在する素朴な幸せを、一口ずつ大切に大事に噛みしめながら、そう吐き捨てるように言葉にした。 いつの間にか、人に期待を抱かなくなった。求めることをやめて、求められることを嫌がった。期待をしない分、そ

          追憶

          光を掬って

          あなたが暗闇の中で見つけた一条の光が、どうか私という存在でありますように。 あなたが迷ってしまわないように、躓いてしまわないように、ずっと光っているからね。 幸せってこの瞬間のことなんじゃないかな はしゃぐ彼らの笑い声を聴きながら、ぽかぽかに温まった体温を感じながら、吐いた白い息を眺めながら、そんな風に思った。 「海に行きたい」って言ったら「今から?」とかじゃなくて「どこの?」って返ってきたから、不覚にも私の顔はほころんでしまっていたと思う。 静かな夜の街に私たちの

          光を掬って

          同じ空の下で、この先もずっと

          いつかの終わりを絶えず想像してしまうくらいに臆病な私たちだから、終わりのない旅に出よう。 終わらない歌を歌って、終わらない詩を詠んで、終わらない夢を一緒に見よう。 終わらない世界で、終わらない私たちでいよう。 羨ましい。そう、思った。彼女に触れていると、私まであたたかくなってしまいそうで、優しくなって、こわくなった。 彼女と出逢ったのは、高校三年の冬だった。命を賭けても惜しくはなかったバスケットボール部を引退して、初めて始めたアルバイト先の同い年の先輩。 当時、私が

          同じ空の下で、この先もずっと

          羨望と嫉妬

          星の見えない夜は、静かに風の音を聴いた。 眠れない夜は、黙って月とにらめっこをした。 不安に押しつぶされそうな夜は、ただ、言葉を紡いだ。 書けなくなったその日が、きっと私の命日になるのだろう。そんなことを思いながら、今日もまた真っ白な画面と真っ直ぐに向かい合う。 変わりゆくものたちに失望しながら、変わらないものに触れて安堵した。 変わらないという事実に安心したのか、この先も変わらないような気がして安堵したのか。 答えはきっと後者だろう。 人の喜怒哀楽の変化や感情

          羨望と嫉妬

          アイスよりも愛されたい

          手に入れたいものは、何一つとしてずっと変わらなくて、何一つとしてずっと手には入らない。 手にした途端、それは日常に溶け込んでいってしまうけれど、ちゃんと忘れずに、大切に、ずっと握りしめていたい。 ずっと感じているこの違和感の正体を、私はきっと知っている。 たとえ強く抱きしめ合っても、どれだけ唇を重ねても、それが浄化されることはない。 私はいつだって、言葉で会話がしたい。 向き合うことを、理解しようとすることを、諦めてしまわないで。 私はきっと、どこかで焦っていたの

          アイスよりも愛されたい

          夏の終わりに

          大切な誰かを守ろうとした瞬間に、守られているのは自分だということに気がつく。 自分の身を投げてでも大切にしたい何かに出逢ったとき、人は、それを愛と確信するのだろう。 長くは続かないだろうとか、いつかは終わってしまうのにとか、そんなことばかりを考えてしまうのはきっと、私の弱さであり、脆さなのだと思う。 胸がぎゅっと締めつけられるような愛おしい感情を、どうすればそのままの鮮度で保っていられるのかがわからなくて、そっと肌に触れてみたり、頬を撫でてみたりする。 途端に高鳴る心

          夏の終わりに

          愛って

          愛って、曖昧? 愛って、与えるものなの。 愛って、甘い? 愛ってね、ショートケーキだよ。 くだらないことばかり考えていると、くだらない人間になってしまいそうで、賢いふりをしたりする。 くだらない。 そんな風にしか生きられない私は、どうしようもないほどにくだらない。 綺麗なものばかりを見ようとして、綺麗ではいられなくなった人間を、山ほど目にしてきた。 私のことを綺麗だと口にしたあの子も、あの人も、いつか本当に綺麗なものを目にしたとき、どんな表情をするのだろうか。

          愛って