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アニメ感想 Netflix サイバーパンク:エッジランナーズ

エログロ近未来の500億点ハイカロリーアニメ

めちゃめちゃ面白かった。
個人的に漫画や小説原作のアニメに比べ、ゲーム原作のアニメで原作もアニメも同じ熱量で大好きだなー!と思う作品はかなり少ない。
アニメ化してもただゲームのストーリーをなぞるだけの展開で新鮮味がなく途中で飽きてしまったり、ゲームとあまりに雰囲気が違い過ぎて別物になっていたり。オタクのわがままを叶えてくれる作品は本当に少ない。

エッジランナーズはゲーム原作のナイトシティという化け物級の作りこんだ設定があり、その設定に一切負けず劣らない、化け物級の魅力あるキャラクターとストーリーでとんでもない作品になっている。
好きすぎてもっと見たいから続編が欲しすぎるんだけど、きれいに完結しているので絶対に続編を作ってほしくない気持ちが同時にある。

手あたり次第Netflix契約している人におすすめして、苦しむ(いい意味で)人の感想を見ることでしか喪失感を上書きできない。
できれば連休が始まる夜から見始めて、1~2日で見てその後の余韻でしんでほしい(いい意味で)


怪物級のアニメがどう作られたのか

制作にあたって、どういったアニメにするかという話し合いだけで2年かかっているらしい。また原作サイバーパンク2077制作会社CD Projekt REDはポーランドの会社のため言語の壁がある。
2年間使う言語が違う、尖ったプロ同士がお互いの要望を伝えあう会議。大変そうでしかない。想像するだけで胃が痛い。足を向けて寝られません。

またCD Projekt REDはもともとゲーム開発ではなく、ヨーロッパのゲームを輸入、ローカライズして販売をしていた企業とのこと。ウィキ参照。
素晴らしい作品を余すことなく翻訳してユーザーに届けるといったところに、恐ろしいほど熱量があるように感じる。そのこだわりがアニメへのメディアミックスにも詰め込まれている気がする。

うれしい原作再現

知ってるものが、別の媒体で映ると何故か楽しいし嬉しい。
「あ!あのご飯屋さん行ったことある!」とか「うちと一緒の家電だ!」とかと似ている。
エッジランナーズはちょっとでもサイバーパンク2077を遊んだことがあれば、見たことある景色や、使ったことあるハッキングの画面やホロコールの音に溢れている。楽しくないわけがない。
かといってなんのリスペクトもなく、適当に原作要素をパラパラふりかけているかといったらそうではない。ちゃんとアニメが楽しくなる要素としてアニメ用に調合されている。最高すぎる。

おすすめのまとめ

アニメ制作triggerなので、アニメ表現のおもしろさ、ストーリーの骨太さは過去作でお墨付き。出演声優さんも名だたる方々ばかり、見ていても世界観のノイズになる演技はひとつもない。むしろ深みしかない。
ネットフリックス限定配信なので、月額料金がネックかもしれないが、10話見るだけでも月額料金分の満足感は十分。むしろ制作会社様に追加課金させてくれ。
サイバー近未来や疾走感のあるドラマや、エログロをゲラゲラ楽しめる人ならぜひおすすめしたい。
ただ死が刹那的できれいに描かれるため、今希死念慮がある人にはあんまりおすすめしない。元気な時に、元気よく元気をなくしたい時に見てほしい。
好きになりすぎるあまり、アニメ視聴後の喪失感が強い。が、あんまり寂しければゲームのサイバーパンク2077が待っている。
アニメは30分×10話の5時間、ゲームはハマれば数百時間。ナイトシティで山ほど楽しめる。
アニメコラボクエストもあるよ!ナイトシティへようこそ!




※ネタバレ有感想 どう生きるか、じゃない

予告編でも聞くし、ゲームをプレイすると体感するナイトシティの美学。悲しくなるくらいそれを体現したお話だった。つれえ…

I Really Want to Stay at Your Houseを一生こんな心境で聞いている

なんか別にいつ死んでもいいや、な考えをいつでもうっすら抱えながら生きているデイビッドたちにかなり感情移入しながら見ていた。

自分の夢を一方的に押し付けるデイビッドの母親グロリアの呪いのキツさ。
長い目で見たらエリートになれる、アラサカアカデミーにしがみついていたほうがいいかもしれないけど、貧富の差でいじめられる青春時代、結局大人になった後大きなツケで返ってきそう。
それにゲームプレイしてるとアラサカ勤めた後のどブラックさも知っている。じゃあいつになったらデイビッドは幸せになれんのさ…

母親が言う「じゃあ私はなんのために働いてるのよ」ってキツイ。母親の気持ちもなんとなくわかるし、デイビッドの気持ちもなんとなくわかるから、本当にキツイ。
しかもあっけなく死んでしまうグロリア。将来のためにって、犯罪を犯してまで息子の未来を考える母親が、あっという間に死ぬ。遺言も死ぬ前の一言もない。自販機からガランと吐き出されるグロリアの遺骨。
もぉーーーーーホントにこの街さぁーーー…

そんな他人の夢を生きていたデイビッドが、「ルーシーに生きていてほしい」夢をやっと手に入れるけど、もう自分は死ぬしかなくて、
ルーシーはルーシーで「デイビッドに生きていてほしいだけ」という夢なのに、デイビッドが死ぬことでしか自分は助からなくて、もうさぁーーーーーーー…もうさぁ…

ラストの月旅行のシーン、デイビッドがルーシーの前に現れるけど、何の余韻もなくパッと消える。グラデーション的に消えるわけじゃない。ふわ~っと泡のような綿毛なようなきれいなものになってデイビッドが消えるわけじゃない。
一枚差し込まれた絵が、そのままぱっと消えてしまうだけなのが、ほんっっっとうに辛くてきれいでもう…
その後のルーシーが幸せに暮らしてくれていることを本当に願う。でも極論命を絶って天国でデイビッドと穏やかに暮らすのでもいいと思う。とにかくルーシーが思うルーシーの幸せな暮らしになってほしい。

レベッカもピラルもメインもドリオもキーウィも、死に際がいい。
メインが唯一まともに遺言を残せたぐらいで、ある日突然急にいなくなる。それがすごくいい。


近未来SFも、ボーイミーツガールな物語も、エログロもアクションも大好きなので、大好きな要素が破綻することなく全部ひとつにきれいにまとまっているだけで、本当にありがとうございましたという気持ちでいっぱい。

1つの作品としてアニメもゲームもちゃんと単独で完成度が高いと、お互いの世界の勝手に補足しあってとんでもない骨太コンテンツだった。
きっと色んな奇跡が重なり続けないとこういった作品は生まれないと思うので、本当にありがとうございました。いやもうこれしか言えんのよ。
これからも大事に大事に見続けていきたい。

7/9補足
ねんどろいどのデイビッドとルーシーとレベッカを予約した。ねんどろいどになった3人には我が家で幸せに暮らしてもらおうと思います。

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