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『野良犬の値段』を読む 健康保険証の悪用について

健康保険証の使い回しはどのくらい起きているのだろう。
先日(5月5日)で、下のネット書き込みを紹介した。

https://l.smartnews.com/rvvKv

小説でもその情景が描かれたいた。
著名作家百田直樹さんの『野良犬の値段」。
あらすじは下の取り(アマゾンの紹介文)。

誘拐された、みすぼらしい6人の謎の男たち。
前代未聞の「劇場型」誘拐事件が、
日本社会に“命の価値"を問いかける。


突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。
<私たちが誘拐したのは以下の人物です>
という文言とともにサイトで公開されたのは、
6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。
果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。
そして写真の男たちは何者なのか。
半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、
誘拐サイトは“驚くべき相手"に身代金を要求する――。
日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける!


さすがの筋書きで引き込まれること受合い。
それは読んでのお楽しみだが、気になり、紹介したいのはホームレス間での他人保険証の使用。単行本では272頁。
「高井田は…松下には自分の健康保険証を渡し、高井田康と名乗らせた。健康保険のなりすましは犯罪だが、そんなことは気にも留めなかった。」
そして279ぺージ。
「松下は高井田に借りた健康保険証を使って、週に一度、抗ガン剤治療のために病院に通っていた。」

 最期までバレることもおとがめを受けることもなかったようだ。こうしたことが現実に起きているとすると、病院は医療費をどのように回収しているのだろうか。健康保険組合は請求されるままに支払い、組合員への保険料が違法に使われている。

 火のないところに煙は立たない。小説の本筋ではないのだが、気になる。
 ところでこの小説のポイントは、テレビ、新聞等の大マスコミの”偽善性”を暴こうとする者の社会へのメッセージである。あることないことを書きたてられて人生を狂わされた人が、どうしたらマスコミの無責任を正せるのかを考え、実行する。

 ともあれ保険証の使い回し、なりすましは、国民皆保険の根幹を揺るがす大問題だ。保険証に顔写真を貼るだけでほぼ撲滅できる。にもかかわらず、健康保険証を廃止してマイナカードに代行させると政府は言う。これに反対するのは非国民だとばかりに騒ぎ立てる“所管外”大臣もいる。おかしなことだ。
 


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