三編 柚菜

読んだ本や、その他小説に関することを自由気ままに綴っていこうと思います📚

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小匙の書室1 簡単な自己紹介

 本が好きだ。  正確には小説が、それも文芸やミステリが好きだ。  どうも、初めまして。  私、三編柚菜と申します。  本格的に読書を始めて、はや四年。  すっかり本棚に囲まれて最期を迎えたいと思うほど、本の世界にのめり込んでいます。  さて。  先述のとおり私は小説が好き、なのですが。  「好きだ」「好きだ」と餌に群がる鯉みたいに喚いていても、所詮は数多いる読者の一人の小さな声でしかないわけで。  それでも溢れてやまない気持ちを我慢できず、とうとうブログに手をつけるに

    • 小匙の書室184 ─鼓動─

       児童公園で見つかった高齢女性の焼死体。  私も、彼女のように死んでしまうのかもしれない。  容疑者はすぐに逮捕されるも、綾乃の心には未来への漠然とした不安が訪れて──。  〜はじまりに〜 葉真中顕 著  鼓動  葉真中先生の新作にして、第37回山本周五郎賞候補作。  氏の作品を単著で読むのはこれが初となります(『絶叫』や『ロングアフタヌーン』は積読状態)。  ときわ書房さんの方でサイン本を見つけ、賞のノミネートになったことを抜きにしても『8050問題』の題材は決して他人

      • 小匙の書室183 日本推理作家協会賞発表

         ミステリ好きなら見逃せない、本格ミステリ大賞と本記事で取り上げる『日本推理作家協会賞』。  先日の本格ミステリ大賞では青崎有吾先生の『地雷グリコ』が【小説部門】を、『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』が【評論・研究部門】を受賞しています。  地雷グリコが好きな私からすればこの結果は大満足。もちろんその他候補作も最高なので是非とも読んでほしいところ。  さて。そんな本格ミステリ大賞の熱狂が冷めやらぬ今日、ついに日本推理作家協会賞も

        • 小匙の書室182 ─みどりいせき─

           このまんまじゃあ、不登校ってことんなるなぁって思って。  そんなとき友人がやっている闇バイトに巻き込まれちゃって、外側の世界まで知っちゃって──。  〜はじまりに〜 大田ステファニー歓人 著  みどりいせき  第47回すばる文学賞受賞作、第37回三島由紀夫賞候補作。  発売前から受賞コメントが万バズして話題となり、「ではいったい、どんな文体でどんな物語が編み出されているのだろうか……」と気になり手に取りました。  まあその興味を抜きにしても『みどりいせき』というタイトル

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        小匙の書室1 簡単な自己紹介

          小匙の書室181 ─グリフィスの傷─

           傷とは、無縁ではいられないから。  直木賞作家が紡ぐ、『傷』をめぐる十の物語──。  〜はじまりに〜 千早茜 著  グリフィスの傷  書店で本作を見かけ、「いつか千早先生の作品を読んでみたかったんだよなあ」と思っていた私は早速購入。『傷』を扱った物語であるというのも、惹かれた点でした。  私は小説をエンターテイメントとして楽しむ他、「私の内側にある無数の傷や痛みや苦しさを癒してほしい」という思いから、読むことがあります。  本作はまさに後者の目的が強かったです。  まあ

          小匙の書室181 ─グリフィスの傷─

          小匙の書室180 江戸川乱歩賞発表

           ⇧賞について以前にも記事を書いています。もしよろしければご覧ください⇧  さて今回記事にする、第70回の江戸川乱歩賞は何かと話題になる賞であったと私は思います。  最終選考員しかり、ペンネームの件しかり。  私が注目したのは前者であり、「あの豪華メンバーの目を通って世に送り出される書籍って、いったいどんなに凄いのだろう……」と思いながら、この日を待ち望んでいました。  改めて、最終選考に残った6作を振り返ってみましょう。  容疑者ピカソ/相羽廻緒  陽だまりのままでい

          小匙の書室180 江戸川乱歩賞発表

          小匙の書室179 本格ミステリ大賞発表

           待ってました!  第24回本格ミステリ大賞!!  ミステリーが大好きな私に取っては絶対に外せない賞で、候補作が発表されてから今か今かと発表を待っていました。  新刊の波から期間を経て、また新たに話題になるから、こういった賞ってのは楽しいんだよなあ。  書店に足を運んで『本格ミステリ大賞受賞!』って帯が巻かれているのを見ては、「そうそう、面白かったんだよなあ」とニヤニヤしてしまいます。マスクがあってよかった、そんな怪しい顔を晒さなくて済むから。  ──さて、改めてまずは

          小匙の書室179 本格ミステリ大賞発表

          小匙の書室178 ─家族解散まで千キロメートル─

           自宅の物置で発見された木像。家族解体まであと三日。  どうやら僕たちは、またしても父親に振り回されなければならないらしい──。  〜はじまりに〜 浅倉秋成 著  家族解散まで千キロメートル  至高の就活ミステリ──『六人の嘘つきな大学生』が2024年全国ロードショー(予定)でもある、いまもっとも伏線回収が熱い作家、浅倉秋成先生。(『六人の〜』はいいですよ、最後には「うわ〜っ!」ってなりますから(語彙力))  『伏線の狙撃手』とも呼ばれている浅倉先生の待望の新作は、家族ミ

          小匙の書室178 ─家族解散まで千キロメートル─

          小匙の書室177 SNSで出逢う書籍

           内容はタイトルのまんま、です。  それまで、私は普段利用するXにおいて好きな読む作家さんしかフォローしていなかったので、いわゆる「SNSがなければ出逢えなかった」という感覚を抱くことがありませんでした。  だからここ最近、SNSでたまたまタイムラインに流れてきて「あっ、面白そう!」と思った作品と出逢えることがとっても嬉しいんですよね。  なので今回は、「SNSがなければ、ひょっとしたら一生縁がなかったかもしれない! だけどSNSのおかげで出逢えた、ありがとう!」書籍を一部

          小匙の書室177 SNSで出逢う書籍

          小匙の書室176 ─マガツキ─

           “それ”に知られたら終わり。  “それ”からは逃げられない。  一通のDMが生み出す凶悪なホラー。  〜はじまりに〜 神永学 著  マガツキ  昨年、作家活動20周年記念として刊行された『ラザロの迷宮』。内容もさることながらどんでん返しカバーも話題となっていました。  その余韻が未だ脳の片隅に存在している中、発売された『マガツキ』。  とことん正体が伏せられている“それ”が何なのか、また表紙の妖しいデザインに惹かれて購入。  神永先生の作品といえばラザロもそうですが『心

          小匙の書室176 ─マガツキ─

          小匙の書室175 ─イデアの再臨─

           世界から⬛︎⬛︎が消えた──?!  前代未聞。超絶メタ学園ドラマ、ここに爆誕。  〜はじまりに〜 五条紀夫 著  イデアの再臨  『クローズドサスペンスヘブン』でデビューした五条先生による最新作。  『クローズド〜』は『全員もう死んでるクローズドサークル』として面白い特殊設定ミステリを提供してくれましたが、今度の作品は『犯人は⬛︎⬛︎を消す!?』の惹句の他「電子書籍、映像化不可能」となっています。  昨今「紙の書籍でしかできない!」みたいな作品を見かけますから、本作がど

          小匙の書室175 ─イデアの再臨─

          小匙の書室174 ─蠟燭は燃えているか─

           次々に燃え上がる、京都の文化財。  謎を前に立ち上がるのは、宇宙還りの女子高生で──。  〜はじまりに〜 桃野雑派 著  蠟燭は燃えているか  講談社さんのサイトで発売予定表をみたとき、「あ、桃野先生の新刊だ〜」と軽く思うだけだったけれど、やがてプルーフの画像をXで目にしたとき『宇宙還りの女子高生』という惹句に心臓が大きく跳ねたのを覚えています。  宇宙還りのって……そりゃあ、もう、あれしかないじゃないか!!  私が初めて読んだ桃野先生のデビュー2作目『星くずの殺人』に

          小匙の書室174 ─蠟燭は燃えているか─

          小匙の書室の173 ─三体II 黒暗森林 下─

           遂行される面壁計画。破壁人との心理戦。  羅輯が放った“呪文”は三体人に何をもたらすのか──。  〜はじまりに〜 劉慈欣 著  三体II 黒暗森林 下  ⇧上巻の記事はこちらよりご覧ください⇧  SFにほとんど馴染みがなく、『三体I』はスケールの大きな世界観に圧倒されはしたものの上手く馴染めたか不安だっただけに、『三体II』で感じた面白さは私に衝撃を与えました。  面壁計画にある面壁者の孤独。それを暴かんとする破壁人。そればかりか人類は三体文明から送られた艦隊とソフォ

          小匙の書室の173 ─三体II 黒暗森林 下─

          小匙の書室172 ─三体II 黒暗森林 上─

           三体艦隊襲来まで、400年。  人類の存亡を賭けた計画は、は四人の面壁者に託された──。  〜はじまりに〜 劉慈欣 著  三体II 黒暗森林 上  最大級のSFエンターテイメントとして爆発級の人気を博す〈三体〉シリーズ。今年になって第1作目がNetflixで映像化され、今でも新たに多くの人を沼へと引き寄せているシリーズです(私の意見)。  三体シリーズは昨年第1作目を読んでいたのですが、読み終わり直後に感じたカロリー消費に恐れをなし(私は普段からあまりSFを手に取らない

          小匙の書室172 ─三体II 黒暗森林 上─

          小匙の書室171 ─冬期限定ボンボンショコラ事件─

           轢き逃げに遭った小鳩。辛い入院生活を送る中、枕元に一通のメッセージカードが。  『ありがとう ごめんなさい ゆるさないから 小佐内』  小市民シリーズ、掉尾を飾る最終巻──。  〜はじまりに〜 米澤穂信 著  冬期限定ボンボンショコラ事件  ついについに、このときがきてしまいました。  2004年、『春期限定いちごタルト事件』から始まった〈小市民シリーズ〉。そこからぴったり20年の時を経て、最終巻が刊行されました。  この節目の年にアニメ化も決まり、界隈はフィーバー状態

          小匙の書室171 ─冬期限定ボンボンショコラ事件─

          小匙の書室170 江戸川乱歩賞最終候補作

           鮎川哲也賞、メフィスト賞、黒猫ミステリー賞、横溝正史ミステリー&ホラー大賞、このミステリーがすごい!大賞、新潮ミステリー大賞、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞、日本ミステリー文学大賞新人賞……などなど。  他にも短編に限ったものも含めれば、ミステリの賞っていうのはたくさんあるものです。  いやあ,毎回ワクワクさせられますよ。読書初めて五年の人間が何いってんだって話ですが、それでもやはり新たな可能性への期待というのは抱かざるを得ない。  今回の第70回江戸川乱歩賞だって、

          小匙の書室170 江戸川乱歩賞最終候補作