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〜楽天高卒ルーキー3投手の現状と展望〜

お世話になっております。たけもとと申します。

2月に書いたnoteで「今年は2軍に関する記事を書いていきたい」と所信表明したにも関わらず、なかなかテーマが決まらずこの時期となってしまいました。

そんなわけでXでテーマを募集させていただき、いくつか案をいただいた中から、今回は楽天の高卒ルーキー3投手の現状についてまとめさせていただきたいと思います。

…がその前に。前提として今のファームの現状について軽くまとめたいと思います。それを踏まえてルーキー3人の現状をお話ししていきます。

0.ファームの現状

これから話していきたいと思っているルーキーの3投手についてですが、まず言っておきたいのが4月終了時にして3人ともがファーム公式戦デビューを果たしているということです。

今まで経験したことのないプロの日程に対する負荷(練習、試合を含めて常に野球漬け)に耐えうる身体を作るのが先と考える方が多いでしょう。

それでも3人がデビューを果たしている原因としてファームの投手不足が挙げられます。

まず、昨オフに9投手を戦力外にしていることで、そもそもの物量が足りていません。詳細については下記のnoteの前半を参照していただければと思います(宣伝)。

そしてドラフトで獲得した投手が古謝、坂井、日當、松田、大内の5人。ポンセ、ターリーの外国人を入れてもマイナス2人で戦っている状況です。

理想としては育成ドラフトや戦力外からの補充が欲しかったところですが、資金不足なのか実現していません。

さらに4月に則本、荘司、ターリーといった1軍の主力投手3人が体調不良で登録抹消されたことが追い討ちとなりました。

先発の瀧中や松井友飛、リリーフの吉川や伊藤茉央が穴埋めに1軍に昇格したことでファームの投手事情はかなり苦しい状況となりました。

おまけに西口、林、泰、小峯といったリハビリ組もいます。

こうした複数の要因により、結果的に3人の登板が実現したということをご理解いただいた上で、本題に入りたいと思います。

1.坂井 陽翔

後述する大内と同日(4/23)にファーム公式戦デビューを果たした坂井。ただ、大内は3/14の教育リーグで実戦登板を果たしています。ポテンシャルを高評価されていた坂井ですが、意外にも3投手の中で1番実戦登板が遅かったという結果になりました。(それでも十分早い)

主要な成績は、
2登板 3回 防 0.00 2奪三振(奪三振率6.00)
5四球 1失点(自責0) 被安打0
となっています。

特筆すべきなのは被安打が0というところだと思います。ストレート最速は148キロを記録しており、常時130後半〜140前半ながら打者を差し込んでいるように見えます。スライダー・カーブ・フォークといった変化球のレベルも高いです。現地観戦した初登板のゲームで、スライダーでロッテ茶谷のバットを折ったシーンが印象的でした。ある程度のゾーンに決まれば、1年目のこの時期ながら連打を浴びるようなシーンは想像しづらいです。

その反面、四球数が表すように安定感を欠くのが現状の課題でしょうか。どのボールも決まれば簡単には打たれないものの、急に荒れたりするシーンが目立ちます。もちろん小さくまとまって欲しくはないものの、再現性を高めて欲しいところです。

今のところの2登板はリリーフですが、将来的には同じチームの先輩、荘司のようなスケールの大きい投手に育って欲しいです。繰り返しになりますが各球種のクオリティ自体は既に高いレベルなので、充分可能と思います。

2.日當 直喜

ファーム開幕からまもない3/20に初登板を迎えた日當。他の2人よりも1ヶ月以上早いプロ公式戦デビューとなりましたが、投球の完成度に加えて190cm・105kgの体格を持っており、ある程度の負荷に耐えうるとの判断をされたのでしょう。無論最初に述べたように投手不足で登板が回って来た感は否めず、個人的にはここまでの投手MVPをあげたいような、ファームを救ってくれた存在です。

主要な成績は
9登板 10回 防 2.70 7奪三振(奪三振率6.30)
2四球 3失点(自責点3) 被安打5(被本塁打2)
となっています。

数字だけ見れば大卒の即戦力リリーフが入って来たような成績と言っても差し支えないでしょう。ファームではチーム4位の登板数を誇りながら、このクオリティを保っているのは驚きです。ストレートも150㌔を記録、変化球も落差の大きなフォークにカウントを取るカーブも持ち合わせています。上記に載せなかった成績でいうとWHIP0.70、被打率.152などサンプルが少ないとはいえ高卒1年目の投手とは思えません。

課題…といっても日當のレベルが高いため酷な内容になりますが、ストレートに関しては球速にばらつきがあるので、平均球速が上げたいところです。変化球はフォークの落ちが大きすぎるのか、意外とカウント球の役割に留まっているので、もう少し小さく鋭い変化で空振りの取れる変化球があれば言うことがないでしょう。

順調にいけば来季には1軍のリリーフとして投げていても驚きはありません。本人もリリーフ志望ですが、先輩の内投手をロールモデルに、先発にも挑戦して欲しい逸材です。

3.大内 誠弥

身長は191cmながら体重77kgと細身であり、最速も144キロということで素材型としての見方が強く、初登板は来季以降か?と思っていました。…がしかし、4/23にまさかの先発デビューを飾った大内。しかも中9日で2度目の先発も果たし、田中将や泰あたりが復帰するまでは間隔を空けながら先発をする構えにも見えます。個人的には1番のサプライズ人事です。

主要な成績は、
2登板 9回 防 2.00 2奪三振(奪三振率2.00)
四球2 3失点(自責点2) 被安打10
となっています。

長身で細身、手足も長く操作も難しいところですが、ストレート変化球ともに制球にあまり苦しんでいないのが長所かと思います。スライダー・カーブ・フォークと3球種を操れており、5/3の試合ではバックドアのスライダーで1軍経験も豊富なハム若林から見逃し三振を奪っていました。ストレートに関しても、先述の試合で最速を146キロに更新。アベレージも140キロをキープしています。(個人的に気になったので5/3の試合の球速を手計算しました)
伸び代を十分残しつつ、ファームの試合を壊さないのは予想以上の完成度です。

課題としては、おそらく身体ができていないことによる、平均球速の低さでしょうか。(入団時のスペックからするとかなり伸びているので充分ですが…。)

逆にいえば身体さえ出来て、操作性を損なわずに球速が向上すれば一気に坂井や日當と肩を並べる、場合によれば抜き去るようなプロスペクトになると思います。伸び代で言えば1番でしょう。日本ハムの福島、柳川らのような伸び方に期待です。

おわりに

ファームの人員不足により登板の回って来た3人ですが、それぞれ結果を出しているのは嬉しすぎる誤算です。このまま順調に成長してくれることを願います。

一方で心配なのは故障です。特に坂井、大内は身体ができているとは言い難いので、ファーム首脳陣には登板間隔や球数の調整等の運用には細心の注意を払って欲しいですね。(本当ならファームを回す投手を獲得して欲しいですが。。。)

思った以上に長文となってしまいましたが、それだけルーキー3人への期待が大きいということでご容赦ください。

またリクエストを募るか、自分でまとめたい内容があればnoteを書いていきたいので、これからもよろしくお願いします!

たけもと

※データは全てスポナビ野球速報を参照しています。

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