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放送技術のセカイ~放送を届ける現場に編集部が潜入!~

スカパー!は「衛星放送」という文字通り、映画、スポーツ、音楽ライブなどいろいろな番組をお届けするため放送衛星・通信衛星から各家庭に直接電波を送っています。
 
衛星から電波を送るためには、まず収録された番組の信号を衛星に送信しなければいけません。
その役目を担っているのが東京・東陽町にある、スカパー東京メディアセンター(通称TMC)、そして放送技術を担当している社員たちです。
 
このシリーズでは、担当社員にお話を聞きながら、そんな放送技術にフォーカスした内容をお伝えしていきたいと思います!
 
 
というわけで今回は、スカパー東京メディアセンターにnote編集部・タンタンが潜入。
その中で一体どんなことが行われているのか、レポートしたいと思います!
(実は私も全然知らなかったので、知識ゼロ状態で向かいました(小声)) 


お話を聞いた人


Tさん

・入社5年目社員(同期です!)
・以前、パ・リーグ座談会で楽天ファンとしても登場していただきました。

 

まずは、TMCで行われていることをざっくり伺いました

手書きイラストで失礼します!笑


Tさん:まずTMCに、各チャンネルの映像・音声の信号が届きます。
信号が届いたらまずは、この信号をプレイリスト(何時何分からこれを流して、何時何分からCMに入って等々の番組の設計図みたいなもの)の通りに組み立てて、一つの番組を成り立たせます。

この信号はとてもきれいな映像・音声の状態となっており、データ容量がとても大きく、このままでは衛星に打ち上げることが出来ません。

Tさん:なので、衛星に打ち上げられるくらいに容量を圧縮する必要があります。
また、圧縮したあと、番組表の情報を付与したり、そのチャンネルを契約している人しか視聴できないように「鍵」をかけたりします。

Tさん:全部の工程が終わったら、信号を電波に変換して、TMCのアンテナから衛星に送ります。
そしてその衛星から各家庭に送信。そうすることで、番組が視聴できるようになります。
 
―なるほど…その中でもTさんの仕事内容としてはどのようなことをされているのですか?
Tさん:先ほどの行程の全部を俯瞰していて、「ちょっとここおかしいかも」っていうことが起きたときにすぐにリカバリーする部隊が「マスター」という方たちなのですが、そのマスターを運用、管理するような仕事をしています。
 
―マスターの方は24時間365日チェックしているのですか?
Tさん:はい。台風でも、雪でも、24時間365日いつでも稼働しています。
 
―放送はずっと流れていますもんね。なんとなくイメージは沸きましたが…まだふわっとしています(笑)
Tさん:話を聞いているだけだとあまり想像がつかないですよね。僕も最初全然理解できなかったです。(笑)
この流れが実際にTMCの中でどのように行われているか見に行ってみましょう。
 

ということで、いざTMCの中へ。

まずはスタジオにやってきました。
基本的には各チャンネルで製作が完了した番組が届きますが、チャンネルや番組によってはTMCで撮影することも。
 
―ここで撮影に来ている演者さんとすれ違ったりすることもあるんですか?
Tさん:芸人やプロ野球OB、アイドルの方などはよくいらっしゃるので、すれ違う事も多いですね。
ーなんと!羨ましいです。


 次にやってきたのは何やら番組の映像が流れている部屋。

Tさん:ここはスタジアムなど、様々な拠点から伝送されてきた「圧縮される前」の信号を確認する場所です。

―問題ないかをしらみつぶしに見ていくの、結構大変なのでは?
Tさん:来るべきところから信号が問題なく来ているか、来ている信号は異常がないかを人力でチェックはしつつ、何か異変があったときはアラートが発呼するようになっているので、それをもとにチェックしていくっていう流れですね。

―なるほど。
 Tさん:そうしたら、このあとこの番組たちを圧縮したりしている設備を見に行きましょう。あっそうだ、スリッパに履き替えてもらって。

―なんだか工場見学感が出てきました。緊張します。

 Tさん:これらの機械で先ほどの番組を圧縮して、情報を付与しています。

―「放送中」の張り紙がされていますね。いまスカパー!で放送が見れているのもすべてはこの黒い箱たちががんばってくれているからなのか…!感慨深い。
 
Tさん:次はこの部屋です。


 ―画面だけ見ると、さっきの圧縮前の番組を確認する部屋にも似ていますね。
Tさん:ここではプレイリスト通りに組み立てる工程と、さきほどの黒いサーバーの部屋で処理している「圧縮後」の番組を確認するための部屋になっています。

ほかにも配信サービスや光ファイバーでのテレビ配信サービス(FTTH)の品質もチェックしています。

―確かに、スマホ見ながら確認している人がいます。あの方は配信担当ってことなんですね。
Tさん:ですね。そしてこうやって確認が完了した番組が、信号としてアンテナから衛星に届けられます。アンテナも見にいきましょうか。

ヘルメットを被って屋上へ向かいます。ドキドキ!

―わぁ、いつ見てもアンテナはでっかいですね。
Tさん:そうですね。TMCでは直径約6メートル超サイズのアンテナが10機あります。
スカパー!サービスを届けている衛星、プレミアムサービスを届けている衛星に向いているので、ちょっとずつ角度が異なります。
 
―なるほど。
仕組みは分かっていても、このアンテナの先からいくつもの番組が信号として飛んでいっているっていうのはやっぱり不思議ですし…夢がありますね!

 

放送技術担当社員インタビュー

TMCを案内してくれたTさんに、ご自身のお仕事のこともいろいろ聞いてみました。
 
―ご案内ありがとうございました。TMCをぐるっと回ってきましたが、Tさん的にTMCの中でお気に入りスポットはありますか?
Tさん:自身が運用・管理してきただけあって、マスター(プレイリスト通りに組み立てる工程と、「圧縮後」の番組を確認するための部屋)にはやっぱり愛着がありますね。
 
―やっぱり担当しているとよく出入りもされるでしょうし愛着感じますよね!さて、今まで経験してきた中で、Tさんがこれまでで大変だったなという業務は何でしたでしょうか?
Tさん:そうですね…一昨年の10月に「スカパー!番組配信」というサービスがローンチされるときに、新しいサービスだったのでシステムの監視やサービスの監視体制を1から作ったことですかね。
 
―「こういうことが起きたらこういう対応をしてください」っていうのを、1から作っていったということですか?
Tさん:そうなんです。そういうのって本当に無限に出てくるんです(笑)
「こういうことが起きたらこのシステムに対処が必要だろう」っていうのを論理的に推測立てて、くまなく考えていくのが大変でした……大変だったけど、自分としては良かったなと思って。
 
―「良かった」?
Tさん:はい。放送の方のシステムは長いこと稼働していて自分たちで管理しやすいのですが、配信の方はクラウドサービスなので、オペレーションを設計しながらも予想外の部分もたくさんあって。
そのたびに「じゃあこうしなきゃいけないね」っていうのを毎度毎度考えてPDCAを回し続けた感じだったので、やりがいはありました。
 
―そこから数年経ち、開始時よりはひと段落したと思いますが、今の部署やTMCとしてこれからやっていこうとしていることはありますか?
Tさん:結構部内限りとか部門限りの情報も多くて…(笑)
リリースされていないことはお話しできないかもしれないです。
 
―そうなんですね!(笑) もし、これまでにリリースされた内容としてお話しできることがあれば。
Tさん:放送技術として力を入れてきたことでいうと、「放送設備のIP化」ですかね。
いま放送業界としてIP化を進めていくっていうのがトレンドの1つになっていて、それを当社としては2019年ごろから取り組んでいました。
 
―放送設備のIP化とは?
Tさん:従来の放送設備の通信規格(SDI)から、インターネット上で通信を行う通信規格(IP)に置き換えることです。
「長距離・大容量の通信」「信号処理のシームレス化」「省コスト」「省スペース」等の利点があると考えられています。
 
―メリットがたくさん!それを他の会社に先んじてやっていたということでしょうか。
Tさん:業界としても、早い段階からIP化の検討や適用を実施した会社の一つであると自負しています。
当社は新しい技術好きってこともありますが(笑)
 
―それが放送技術としての当社の強みっていうことかもしれませんね! Tさんは、入社時から放送技術に携わりたいと思っていたのですか?
Tさん:そうですね。通信に携わりたいと思っていたので、入社してからのギャップもなかったです。
 
―今後やっていきたいことなどはありますか?
Tさん:衛星通信の技術を持っている会社だから、そこに立ち戻ったときに、放送に限らず今後どういうことができるのかなっていう可能性を考え続けられたらなと思っています!




放送技術シリーズ第1弾は、どうやって衛星放送が各家庭で見られているのか、そしてそれを支えている技術設備・スカパー東京メディアセンターはどんな場所なのかお届けしました!
 
いまこの時間も皆さんに番組を綺麗な状態で見ていただくために、TMCは動き続けています。
どうやら新しい取り組みも動いているようで…?いつかレポートできる日が楽しみです!
 
 
放送技術シリーズ、次回もお楽しみに!
(取材・文 タンタン)

Tさんが参加してくれたプロ野球座談会パ・リーグ編記事はこちら。


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