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『#SpicySessions』の番組観覧が楽しかった、という話

を、せっかく参加したのだから書いておこうと今更思い至ったのである。

『Spicy Sessions』とは、TBSチャンネル1で月イチ放送されている音楽番組。「全員ステゴロ」でお馴染みゴスペラーズのカレー担当・黒沢薫さん、そして我らが乃木坂46は5期生の1人・中西アルノちゃんをMCに、毎回ゲストを招いてその場で楽曲を選んで生演奏・生歌唱を披露する、といった趣旨の刺激的な番組である。

番組名の「Spicy」も黒沢さんのカレー好きから来ているし、他でもないエスビー食品がスポンサーに就いている、ということはあらかじめ明かしておこう。

番組観覧に参加したのは、今週土曜日の3月23日(サニーさんの日)にオンエアされる#3。公式Xにある通り、Penthouseのボーカル・浪岡なみおか真太郎しんたろうさん、大島おおしま真帆まほさんのお2人がゲスト出演された回である。

ちなみに収録が行われたのは1月31日(クリス・ハートさんがゲスト出演された#2を昼、#3を夜に撮る2本撮りであった)、場所はTBS赤坂BLITZ STUDIOにて。観覧募集要項にあらかじめ書かれている情報はここでも書いて良いと判断している。

先に書いておくと、#4、#5の観覧募集が目下実施中である。収録予定日は
4月9日(火)、場所は同じ。応募条件は18歳以上であることのみ。1~2名で応募が可能だ。

一度参加した身としては「得しかないのでこの日が空いているのならすぐに応募すべき」と強く言いたい。なんなら今から無理やりにでも空けろ。

(締め切りは3月25日(月)の正午。)

「得しかないのでこの日が空いているのならすぐに応募すべき」を、もう少し紐解いていこう。ここから書いていく番組観覧体験記を通して、この想いが届くことを願っている。Clap your hands。

※放送前のネタバレ注意

※1ヶ月以上経過して全体的にうろ覚えなので、発言は一言一句一致しているとは限らないのでご容赦されたし。言っていないことを書くことは絶対に避ける所存である。

※あと視聴環境の関係で、今回の観覧が「『Spicy Sessions』初視聴」であることも最初に断っておきたい。

参加した番組観覧の日に歌われた曲目を最初に記そう。

…恋に落ちたら/Penthouse(浪岡・大島)
Layla/エリック・クラプトン(黒沢・浪岡)
やさしいキスをして/DREAMS COME TRUE(大島・中西)
壊れかけのRadio/徳永英明(黒沢・浪岡・大島)
On My Own/ミュージカル『レ・ミゼラブル』(中西)

はじめに白状しておくと、大変失礼ながら、Penthouseというミュージシャンの存在を今回参加するまで全く知らなかった。完全にこちらの落ち度である。新しいものや観測範囲外のものへのアンテナが乾ききっている悲しい人間である。

そんな中、あいさつ代わりに披露された『…恋に落ちたら』がまずとにかく良くて心つかまれた。後から知ったが、Penthouseは「シティソウル」を標榜しており、まずもってもうそれがジャンルとして個人的に好み満点。この日から今日まで何回リピートしていることか。

中盤の〈Na na na~〉のコーラスに乗せて手を左右に振るパートがある。もちろん客席も歌う2人に合わせて一緒に手を振って、しょっぱならから盛り上がる良い空間が出来上がっていることに客席の中の一人ながら感動した。

収録の終わりしなにプロデューサー・竹中優介さんが「今回が一番(客の)ノリが良かった」と喜んでいた。始まる前に「イェ~イとかフゥ~とかどんどん言ってください」と求められていたので、それに各々が応えた形であるが、その結果アットホームな良い空気が構築されていたように思う。近くに座っていたお姉様が陽気でノリノリだったことをよく覚えている。

(あと竹中プロデューサーがXのアイコンにしておられる似顔絵が、実際のお顔と絶妙に似ていることがわかって面白かった。スタッフさんの顔が見られることも番組観覧の醍醐味。)

そもそも、黒沢さんとPenthouseのお2人がよく知る仲とのことで、その程よい先輩後輩の関係性が滲んだ空気感が、今回の収録ではずっと感じられた。

まさに「アットホーム」といった感じで、終始朗らかで和やか。良い意味で緊張感がなく、それが客のノリの良さをさらに引き出したのかもしれない。

黒沢さんがご自宅でカレーを振舞ったというエピソードや、『…恋に落ちたら』の制作にあたって黒沢さんからのアドバイスが決め手になったことも語られていた。後者については、浪岡さんご本人によるnoteにも詳細が記されている。

歌う曲目の候補はあらかじめリストアップしてもらっていたとのことで、トーク部分でお2人の音楽的ルーツを引き出しつつ、「じゃあ歌いましょうか」で歌に入る様子も印象的だった。

トーク→歌→トーク……と、つどつど椅子やマイクを出し入れする様子は一見バタバタしているようにも思えるかもしれないが、むしろ後から編集する前提でパートを固めるのではなく、生の流れのままに喋って歌っていることがわかる、良かった部分であったと感じた。

観ているこちらの興味や期待をそのまま音楽に連れて行ってくれる感じがして、歌を聴くにしてもより入り込めた実感があった。

かつ、何を歌うかは本当にトークの流れで決めているし、組み合わせも流れで決めているし、そのパート割りも「じゃあ歌いましょうか」のタイミングで相談してぶっつけで歌っているし、かなりアドリブ性に特化したやり方をしていて、本当に(言葉を借りると)刺激的であった。

もちろん、分かりやすく「1番はそっち、2番はこっち」くらいの分け方だったりするのだが、逆に「ハモりは適当に入る感じでやりましょうか」くらいの軽さだったりしたので、それであのレベルの歌唱をしてくれちゃっちゃあ「プロすげえな」としか言えなくなるというもの(バンドチームも「ギターソロ入れよう」とか「アウトロはリフを活かして8小節で」みたいな相談ですぐに固めていてビビった)。

今回はゲストが男女ボーカル2人ということで、男チーム・女チームで1曲ずつ歌うことが(トークの流れで)決まった。

黒沢さん・浪岡さんで歌ったのはエリック・クラプトン『Layla』(誰でも聞いたことがあるであろうイントロ)。浪岡さんが洋ハードロックからの影響が色濃いということで、そのうちの1曲が選ばれた。

黒沢さんは「ロックをちゃんと人前で歌うの初めてかもしれない」と仰っており、また浪岡さんもPenthouseではあまりやらない歌い方とのことで(前進のバンドではもっとロックだったらしい)、揃って貴重な、歪みを感じるしゃがれた歌を聞かせてくれた。

とりわけ浪岡さんの歌は既に一曲聴いていただけに、『…恋に落ちたら』のキラキラした雰囲気と打って変わって、どこか張り詰めたようなニュアンスのある歌唱にグッと掴まれたものである。Penthouseファンならばたまらない体験だったろう(実際、喜びの声が客席の方々から聞こえてきた)。

ちなみに余談だが、Penthouseでギターを担当されている矢野やの慎太郎しんたろうさんが乃木坂46ファンで、一般客に紛れて観覧していた。今日はギター持ってきてないとのことで演奏には参加しなかったが、なるほどちゃっかりしている。

そして、真帆さんのルーツからDREAMS COME TRUE『やさしいキスをして』がアルノちゃんとのペアで披露された。ボーカリストとして、吉田美和さんからの影響が強いという。

パート分けの相談はその場であることは言うまでもないとして、経験値的な部分を加味し、真帆さんがアルノちゃんをリードしていくことを話したりしていたのが印象的である。

加えて、真帆さんはいつもの歌い方よりも吉田美和さんにガッツリ寄せて歌うことをここで話していた。逆にアルノちゃんは敢えていつも通りに、と。はっきり異なった声質が重なる『やさしいキスをして』に仕上がり、「この曲を2人で歌う意味」のようなものが肉付けされているパフォーマンスであったと強く感じた。

パフォーマー視点で考えても、アルノちゃんは「習うより慣れろ」的な感じで、他に代え難い経験を今まさにしているんだろうなぁとも勝手に感じた。いやそれを差し引いても、全く遜色ない歌声であったと思う。もちろん、吉田美和さんへの愛に満ちた真帆さんの歌声も最高であった。こちらもまた、こういう機会でなければ聴けなかった歌であろう。

歌の前、真帆さんがバンドメンバーと「歌の方にあえて合わせずに進んでいってもらった方がむしろこちらは歌いやすい」みたいなことを相談していたように記憶している(※言い方は正確じゃないです)。歌・楽器を総合した「演奏」についての議論である。一般カラオケプレイヤーでは感じることのない、プロの視点を垣間見た。

そして黒沢さん・浪岡さん・真帆さんの3人による、徳永英明『壊れかけのRadio』。これについてはまず、黒沢さんの歌い出しがうまくいかず、やり直しを自ら申し出ていたのが印象的というか可愛らしいというか。

収録の冒頭から「ミスったらやり直します(それを全部見せます)」と話していたが、まさにそうなってしまった場面に、いいもんみたなと思わせられた。歌を脇に置いた感想で大変申し訳ないが、やり直しに対して「いいよいいよ」と客席が応えている雰囲気含め、これまた番組観覧の醍醐味である。

ちなみにあえて書くが、アルノちゃんもまた、ゲストのプロフィール紹介や曲振りの際に何度か嚙んでやり直す場面があり、大変にほっこりしたものである。人のフルネームって意外と言いづらいよね。

そして最後、収録においては一部前後したパート収録があった。黒沢さん・アルノちゃんのエンディングトークに加え、アルノちゃんのソロ歌唱コーナーである。

毎回、アルノちゃんのソロ歌唱コーナーが設けられている(黒沢さんが「修行」と表現していた……はず)。

本人の選曲で、これまでは椎名林檎『丸ノ内サディスティック』や、自身のセンター曲・乃木坂46『思い出が止まらなくなる』などを披露していたそうだが、今回彼女が選んだのはミュージカル『レ・ミゼラブル』より、エポニーヌのナンバー『On My Own』

ミュージカル愛を度々語っていた彼女だが、「本丸」と言える選曲である。ポップスとミュージカルナンバーは求められることが違うだろうから、これまた自ら困難に飛び込んでいく姿勢にシビれるぜ、と思っていたが、結論から言えば、杞憂さえ感じる隙もない歌唱であった。

歌い終わりのタイミングにて、なぜか気になって黒沢さんの方を見たら、「うんうん」と頷いていた姿が忘れられない。誇らしげにも見える表情をされていて、勝手な印象ながら、彼がいかにアルノちゃんを買っているかが現れた瞬間だと感じた(実際、その後のトークでも絶賛していた)。

そしてアットホームさの境地と言えるエンディング、黒沢さんによるお手製オリジナルカレーの試食会である。長机を2列に用意し、バンドメンバー含めた出演者全員が並んで座ってカレー食ってる様子が、なんかもう多幸感さえ覚えてしまう場面であった。

お菓子研究家・福田里香さんによる「フード理論」を参照すると、映画などフィクションにおける食事シーンは重要な意味を持ち、とりわけ登場人物たち皆で食卓を囲む場合は、その集団が仲間であること、打ち解け合った仲であることを示す描写である。

(映画『七人の侍』や『サマーウォーズ』、『ONE-PIECE』などで見受けられる。)

『Spicy Sessions』におけるカレーのパートも、単なる黒沢さんの趣味でもスポンサーコーナーでもない、「今この空間で生まれたつながり」「音楽が生むしあわせ」みたいなものを象徴している気がして、なんだか勝手に胸がいっぱいになったものだ。

食べつつ喋りつつ、程よいところで〆られたのだが、浪岡さん・真帆さんが「楽屋に持って行っていいですか?」と食べかけのカレーを持ったままはけていったところも可愛らしかった。

一方、カレーのくだりは、実はこの番組への唯一の不満点でもある。「美味そう。おあずけなんてひどいじゃないか。食わせろ」という食いしん坊の意見だ。

そんなことを思っていたら、帰り際になんとカレールー『GOLDEN CURRY 中辛』と「赤缶」の俗称で知られる『カレー 37g』がお土産として用意されていた。

雑な写真

加えて、『Spicy Sessions』公式Xでは毎回のカレーを簡単に紹介してくれている。これを使ってこれを作るのだ!ということに他ならない。なんなら「黒沢薫 カレー レシピ」で検索してもいい。つい大事に取っておいてしまっているけど、せっかくなら使わなければ。

といった感じで、そもそもは「無料タダでアルノの生歌が聴けるなんていいじゃない」と気軽な気持ちで応募した番組観覧だったが、大変に満足して帰路に就くことが出来た体験となったのである。

無料タダどころかお土産まで貰ってしまっているので、完全にプラス。

そう、「得しかないのでこの日が空いているのならすぐに応募すべき」という言葉の根拠はそれである。(当選さえすれば)チケット代などもかからず、挙句の果てにカレールーとカレー粉まで貰える。

しかしその点をもって「得しかない」と言っているわけじゃない。それはもちろん、ここまで書いてきた今回の番組観覧の体験と感動そのものが何よりギフトである。

やはり音楽のプロの「余裕」「自信」それによってもたらされる「音楽の凄み」、それは実際に生で目の当たりにしてこそ本質的に触れることが出来るように思う。以前スピッツのライブに観に行ったのだが、その時にも思ったものだ。

アルノちゃんのファンという視点で見ても、彼女がお肌身に感じているであろう諸先輩方からの刺激を観客の立場で少なからず体験できる場でもある。もちろん、彼女のソロ歌唱を聴いて「十分凄すぎませんか、ここから更に成長しようというのですか」という畏怖にも似た感動も味わえる。「ああ、あの曲歌ったんだ~」とかそういうレベルの話ではなかった。

ともかく、結構な感動を覚えてしまったので、ちゃっかり#4・#5の番組観覧の抽選にも応募してしまっている。#3の段階では、1000強の応募があった中での当選者であることが知らされ、また今回が2回目だという方もいた。今後、回を重ねるにつれて競争率は上がっていくことだろう。

その競争率を良くも悪くも上げかねないnoteを書いてしまったわけだが、それを承知でも『Spicy Sessions』めちゃくちゃよかったですと言わずにおれなかったので、書いた次第である。

以上。




明日飲むコーヒーを少し良いやつにしたい。良かったら↓。