聖歌ではないクリスマスソング
教会に親しい私にはクリスマスといえば聖歌(クリスマスキャロル)なのですが、街中でポップなクリスマスソングを耳にすることは多いですよね。
今回はポップスに詳しくないわたしが街中に流れていて知ってはいるけど、名前を知らなかったクリスマスソングを集めてみました。
図書館でこういう楽譜を見つけてみたので弾いてみて、ああ、あのメロデイはこういう曲だったのかと勉強になりました。
Easy Pianoと書かれていますが、コードがしっかりと書かれているので、なかなか弾きごたえがあります。
中級者以上の方には初見弾きの良い練習。初見弾きほど、楽器演奏の練習になることはあまりないものです。リズムがずれているのが丁度いい。
シンコペーションしている曲がほとんどなのですが、ずれていても半拍リズムがずれているといった程度なので、弾きやすい易しい楽譜です。
とても楽しめたので、歌詞も含めてご紹介いたします。
YouTubeリンクから曲を聞かれて、あああの曲はこんな題名だったのかなどと楽しんでいただけると嬉しいです。メリークリスマス!
Feliz Navidad (1970)
1970年にプエルトリコのホセ・フェリチアーノによって録音されたことで有名になった歌。
Navidadは英語のNativity(生誕記念)。
FelizはHappyやMerry。つまりスペイン語でメリークリスマスという意味。
伝統的なスペインの歌にフェリチアーノが英語の歌詞を加えて現在知られている形の歌にしたのだそうです。
発表されてから半世紀後の今日、もはや定番のクリスマスソング。
でも私は題名も歌詞の内容も最近まで知りませんでした。
Believe(2004)
1985年に出版された絵本が2004年に映画化。
それ以来、クリスマスといえばもう定番の映画となりました。外国ではクリスマスには毎年のように放映されている映画。
原作の絵本は小説家村上春樹の翻訳版がよく知られています。
クリスマスを信じることがテーマなので、主題歌も「Believe」。
Blue Christmas (1964)
1948年に書かれたクリスマスソングですが、1964年にエルヴィス・プレスリーによって世界的に知られるクリスマスソングになりました。
君がいないと楽しいはずのクリスマスもブルー(憂鬱)になってしまうという少し切ないラブソング。
Blueは色の形容詞ですが、気分を表現するときには憂鬱、落ち込んでいるという意味になります。ジャズもBluesも本来は憂鬱な黒人霊歌由来だから。
I feel blueで落ち込むよっていう意味。
一年で最も素晴らしいはずのクリスマスイヴに彼女がいないことでこんなに落ち込むことはないと歌うのです。逆に言えば、あなたがいるからこれほどクリスマスは素晴らしくなるのだということです。
こちらはもっと新しいマイケル・ブーブレ(ブーブレイ)による新しいヴァージョン。
It's the Most Wonderful Time of the Year (1963)
「一年で最も素晴らしいとき」という歌。
西欧諸国ではこういう感覚があるので、上記のBlue Christmasみたいな歌が生まれるわけです。わかりやすい楽しい歌です。
Winter Wonderland (1934)
誰だってどこかで聞いたことのある歌。
でもあまりにBGMになりすぎていて、私はまともに聞いたことはありませんでした。
クリスマスのイメージであるホワイトクリスマスは素晴らしいという歌。1934年の歌。
White Christmas という歌もありますね。この曲集には含まれてはいませんでしたが。I’m dreaming of the White Christmas🎵という歌です。
Sleigh Ride (1948)
ボストンポップス管弦楽団などと一緒に活動したポップ作曲家レロイ・アンダーソンの「そり乗り」。
原曲がオーケストラなのでインストルメンタルで演奏されることが多いのですが、歌詞が付いているヴァージョンもとても楽しめます。
Jingle Bell Rock (1957)
どこかで必ず聞いたことのある定番ソング。
聴きすぎてしまって、ああまたかと嫌になる曲 (笑) かもしれませんが、よく聞くと確かにしっかりと書かれた音楽的に立派な名作です。。
サンタ=クロースはアメリカ生まれ!
ほかにも赤鼻ルドルフの歌やフランクシナトラの歌うクリスマスソングなどがこの曲集に載せられています。
でもこうして並べてみると、どれも1930年から1970年くらいまでのアメリカ合衆国由来の歌ばかり。20世紀の大衆音楽はアメリカ主導だったのだなとつくづく思い知らさらます。
トナカイの引く橇に乗った赤と白のおじいさんのサンタのイメージはアメリカ由来。
四世紀ごろに実在したギリシア正教の聖ニコラスSt. Nicolausがなぜだか新大陸でアメリカ建国のころに Santa (St) Clauseとしてキリスト教から切り離されてクリスマスの風物となったのでした。
興味のある方はサンタ=クロースの起源を調べてみてください。
あまり世間的には知られていないかもしれませんが歴史的事実です。
19世紀のディケンズ(イギリス)の名作「クリスマスキャロル」やアンデルセン(デンマーク)の「マッチ売りの少女」には赤い服を着たサンタ=クロースなどは登場しないのはそのためです。
トナカイの引く橇に乗った、煙突を通って夜中に枕元にプレゼントを置いて回る、赤い服を着た髭のサンタなんて、20世紀ごろまで存在していなかったことが文献的に証明できるのです。
子供には聞かせたくないことかもしれませんが。
さらにはクリスマスはキリスト生誕の日ではなく(聖書にはどこにもナザレのイエスがクリスマスの日の生まれたとは書かれてはいません)、まさにサンタ=クロースの日。
この歌は曲集には含まれていませんが、「聖書はクリスマスの日にベツレヘムで生まれた」なんていう歌詞を含む歌もあります。
メロディは極めて美しいので大好きな歌なのですが、歌詞がどうにもおかしい。
キリストの生まれた日がクリスマスという日(Christ+Mas)であり、その日がのちにローマ帝国の祝日だった12月25日に定められたと考えるならば、それはそれでいいのかも。
なにはともあれ、サンタ=クロースの別名は Father Christmas。
もはや20世紀以降の世俗のクリスマスには、聖書やイエス生誕物語はあまり関連はないものなのでしょう。
文化として受け継がれてはいるのですが、市井に流れている歌は非宗教的なジングルベルばかり。
Santa Baby (1953)
その意味で世俗のクリスマスソングでもっとも面白いと思った曲は「Santa Baby」。
1953年に発表されてそれ以来、いろんな歌手に歌われ続けている曲。
ポーラーエクスプレスの繊細な少年が信じる希望溢れたクリスマスとは別次元の歌。
綺麗な女性というものは、サンタクロース(男)からこうやって欲しいものを貢がせるものなのです(笑)。
歌詞はまだ続きますが、このあたりで止めておきます。
同じようなおねだりがずっと続きます。
あまりにせびり方が露骨で笑えるこの歌、プレゼント目当てに男にしだれかかる女性歌手の甘ったるい歌い方が決め手です!
カイリー・ミノーグの歌唱、本家のアーサ・キットにも負けない、とろけるような表現。
でも、こんなクリスマス、男にはなんとも困ったものです。
お金がなきゃ恋愛もできないのか?
ああ世知辛い。
この歌は1953年の歌。21世紀になっても次々と新ヴァージョンが歌われている。
世の中って何も変わらないということがわかる歌なのでした。
いずれにせよ、いろんなクリスマスがあるんだなということがわかります。
クリスマスはサンタクロース=プレゼントの日。まあ年に一度のそういう習慣は悪くないのですが。
南半球のクリスマス
最後に南半球のクリスマスの画像をどうぞ。
真夏なのでサンタもビーチでリラックス。
サーフィンしてたり、アイスクリームを食べているクリスマス。
ほんの小さなサポートでも、とても嬉しいです。わたしにとって遠い異国からの励ましほどに嬉しいものはないのですから。