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猫の歌: Miau, Miau, Miau

猫を長年飼っていますが、我が家の猫はあまりピアノの音には興味を示しません。猫は音楽好きという評判なのですが。

犬を飼っていた時、フルートを吹くと、今は亡き愛犬はすぐに音に反応して耳を震わせたり、クゥンクゥンと鳴いたりして、明らかに笛の音に関心を払っていました。

犬猫は人間の耳とは違う周波数の音をも知覚することができるそうです。

以下の周波数データが大体の目安です。

  • ネコ:20 Hz ~20,000 Hz

  • イヌ:40 Hz ~ 60,000 Hz

  • ヒト:20 Hz ~15,000 ~ 20,000 Hz (加齢で聴力はかなり変化する)

  • コウモリ:9,000 Hz  ~ 200,000 kHz

つまり、ネコの音を聴く能力は、ヒトとかなり似通っているのです。

だからでしょうか、一部の猫は飼い主がピアノなどを弾いて音楽を演奏していると、耳障りなのか気持ちいいのか、寄って来て邪魔したりするのです。

ある意味、猫は人間が好む音楽を聴くことができるともいえるのでは。

ピアノの場合、鍵盤の一番低い音は30Hz、真ん中の調律の基準のラが440Hz、一番高い音は4000Hz。

超音波コミュニケーションで知られるコウモリにはピアノの音が理解できないのですね。

しかしながら、猫は明らかにピアノの音を聞き取れる能力を備えているのです。

ネコはピアノがわかるのか?

検証してみたいところですが、我が家の猫は音痴なのか、おなかがすいた時にしか、ピアノを弾いているわたしの周りには寄ってこない(笑)。

ネコは人類が農業を始めたころ、貯蔵した農作物をネズミなどの小動物の害から守る目的で飼われ始めたといわれています。

古代エジプトでは猫は神様として崇拝の対象とさえ見做されていた特別な存在でした。

ウィキペディアより

イエネコは狼を飼いならしておとなしい個体を繁殖させて品種改良された犬とは違って、ずっと昔からネコはネコのままだったといわれています。

ネコはいつだって人間と一緒にいたわけでした。

西洋古典音楽が生まれたヨーロッパでもたくさんのネコは飼われていて、ネコは音楽の中にもしばしば登場します。

音楽の中に最もよく登場する動物は美しい歌を奏でる鳥なのは当然なことですが、ネコのミャーミャー(英語ではMeow)もネコ好きには素敵な歌であるといえるのかもしれません。

ネコが歌う音楽

ネコを題材にした音楽としてはミュージカルの「Cats」が題名そのもの。

オリジナルの詩を書いたT.S.エリオットの詩句は間違いなく、ネコ好きが夢中になる、ネコらしさを描き出した素晴らしいものなのですが、ロイド=ウェッバーの音楽は擬人化された猫らしさは特に感じさせません。

ネコにまつわるクラシック音楽としては、ネコ好きだったらしいバロック音楽の大作曲家ドメニコ・スカルラッティの「ネコのフーガ」が有名。

これは鍵盤上を歩き回るネコを描写したなどと言い伝えられていますが、特に描写音楽ではありません。

でもフーガとしてはとてもユーモラスな名作です。

忍び足で鍵盤を歩いている感じはよく表現されているでしょうか。

ネコの動きは独特で時にユーモラスですが、やはりネコのネコらしさは鳴き声にあるので、歌詞が「ミャーミャー(イタリア語:Miau)」だけでできているという二重唱もあります。

ロッシーニ作とされていますが、実はロッシーニに近い関係にあったらしい作曲家がロッシーニのオペラ「オセロ」にインスパイアされたとして作曲した曲で、非常にロッシーニっぽいスタイルで書かれた素晴らしいパロディ音楽。

美食家で喜劇オペラの大家ロッシーニ本人も作曲に関係しているのかもしれませんが、ロッシーニの真作ではないとされています。

大傑作です(笑)。

二匹の猫のデュエット:Duet for two Cats(Duetto Buffo di due Gatti 1825)

プロのソプラノ歌手が歌うよりも、少年合唱団の方がネコっぽい(笑)。

爆笑に包まれるコンサート会場!

音楽的にはプロの歌手が歌った、次の動画の方が優れていますが、ソプラノ歌唱は上品すぎるかも。

このヴァージョンでは途中で犬の鳴き声が挟まれているのも楽しい(笑)

ネコはニャーニャー鳴くのが楽しいので、スカルラッティのように動きを音だけで描写したのではいまいち面白みに欠けます。

セルゲイ・プロコフィエフの有名な「ピーターと狼」にはユーモラスな猫の動きが表現されています。

フルートソロの鳥の描写は素晴らしいのですが、わたしには猫の部分はネコだと説明されないと他の動物との区別がつかない。

L'enfant et les sortilèges(1925)

ですので、ネコ音楽としては、やはり猫好き楽聖ナンバーワンのモーリス・ラヴェルのオペラ「子供と魔法」の猫たちが素晴らしい。

ネコの声は歌われるのが一番です。

生涯独身だったラヴェルは、猫を愛して猫を家族として生きた作曲家でした。同性愛者だったらしいので、女性とのロマンティックなエピソードは伝記の中にもほぼ皆無です。

ですので、何よりもネコを愛した、ネコ好き作曲家代表の面目躍如たる音楽が次の音楽。

ラヴェル音楽では、管弦楽作品やピアノ作品ばかりに人気が集まりますが、ラヴェルは歌曲も大変に素晴らしく、二つある短いオペラもラヴェルらしいカラフルなオーケストレーションが楽しめる大傑作です。

少し教訓めいている台本は好みではありませんが、「子供と魔法」はフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」に通じるような、子どもの世界を描いた見事な作品。

演奏時間は一時間弱なので、フランス語が分からなくても字幕なしでも、大まかなストーリーさえ前もって理解していれば、無理なく楽しめます。

お話が分からなくても、音楽だけでも、ラヴェル好きにはとても楽しい。

音楽好きのネコを飼われている方がいらっしゃったらならば、お知らせください。お互いにわたしたちが愛するネコの音楽理解に関する情報を共有しましょう(笑)。

愛猫(シャム猫)を抱いているラヴェル
ラヴェルと猫のツーショットの写真はたくさん残されています。
ドビュッシーも猫好きですが、
ネコ愛は家族持ちでなかったラヴェルの方が深いのでは。
ちなみに犬好き作曲家代表はリヒャルト・ヴァーグナーです。
モーツァルトはムクドリを飼っていました笑

YouTubeには猫を眠らせるための音楽というものがたくさんあります。

ネコは本当にこんな癒し音楽が好きなのでしょうか?

日向ぼっこをしていれば、音楽なんてなくてもすぐに眠ってしまうのですが。寝子なので (=^・^=)。

Heisei カワイピアノの上で眠るのが大好きな我が家の猫ちゃん🐱。

ほんの小さなサポートでも、とても嬉しいです。わたしにとって遠い異国からの励ましほどに嬉しいものはないのですから。