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クラシック音楽歳時期 2021-2024

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毎日聴いたり演奏したクラシック音楽のためのノート。どんな音楽に触れて思い書いたかを思い出せば、あの頃の自分を思い出すことができる。もちろん誰に読んでもらえてどんな感想をいただける… もっと読む
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猫の歌: Miau, Miau, Miau

猫の歌: Miau, Miau, Miau

猫を長年飼っていますが、我が家の猫はあまりピアノの音には興味を示しません。猫は音楽好きという評判なのですが。

犬を飼っていた時、フルートを吹くと、今は亡き愛犬はすぐに音に反応して耳を震わせたり、クゥンクゥンと鳴いたりして、明らかに笛の音に関心を払っていました。

犬猫は人間の耳とは違う周波数の音をも知覚することができるそうです。

以下の周波数データが大体の目安です。

ネコ:20 Hz ~20

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守護天使のパッサカリア(鍵盤楽器音楽の歴史、第73回)

守護天使のパッサカリア(鍵盤楽器音楽の歴史、第73回)

ザルツブルクといえばモーツァルトの街ですが、今はまだ彼が生まれる100年ほど前の話。

三十年戦争において小国ザルツブルクは、時のザルツブルク大司教パリス・ロードロンの外交手腕によって中立を貫き、戦争を回避することに成功しました。戦禍を免れたザルツブルクは、難を逃れて流入した人々を取り込んで発展を遂げていきます。

Salzburg 1644, Philipp Harpff.

17世紀後半のザル

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【クラシックとはどんな音楽か】思わず笑ってしまう曲もある

【クラシックとはどんな音楽か】思わず笑ってしまう曲もある

クラシック音楽が好きな人は、あれこれと言うかもしれないけれど、邦楽・洋楽・演歌派や、敬遠派の人に言わせると、やっぱり、堅苦しい、というのが、クラシック音楽のイメージではないでしょうか。

そんな感じで、どうも、とっつきが悪いし、気軽に付き合うことができない。

ロックを聴いたり、落語を聴くような感覚で、付き合うことができたら、同じ音楽として、それほど、敬遠することもないのにね、な~んて、人がいるか

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ピアノのバッハ 13: ピアノで奏でるコラール(1)

ピアノのバッハ 13: ピアノで奏でるコラール(1)

ピアノはレガートすると独特な澄んだ音の美しい音楽を生み出してくれる楽器なのですが、バッハの鍵盤音楽作品をピアノで弾くならばノン・レガートというのがピアノの世界の常識です。

どうしてなのでしょうか?

ピアノはレガート音と音をつないで奏でるレガートはピアノ演奏の生命線です。

打楽器であるピアノに美しいオペラアリアのような歌を歌わせるためには、鍵を叩いてポツポツと切れた音を鳴らすのではなく、可能な

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ラモー「レ・ボレアド」の間奏曲  (編曲:ヴィギングル・オラフソン)

ラモー「レ・ボレアド」の間奏曲  (編曲:ヴィギングル・オラフソン)

ヴィギングル・オラフソンという素敵なピアニストを知ったのはコロナ渦において、外出自粛を余儀なくされていた頃でした。
その日いつものようにYoutubeをかけながら仕事をしていた私は、聞いた事のない様な柔らかい響きに、思わず「誰の演奏かな?」とPCを打つ手を止めたのでした。

このラモー「レ・ボレアド」の間奏曲をヴィギングル・オラフソンが編曲した曲は本当に優しい世界です。(得意ではない英語なので曲名

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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第47番 回文 (Sinfonia No.47 "Palindrom", 1772)

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第47番 回文 (Sinfonia No.47 "Palindrom", 1772)

交響曲第47番は、残された自筆譜により1772年の作品であり、疾風怒濤期に作曲されたものです。愛称の「パリンドローム」とは、上から読んでも下から読んでも同じという意味の「回文」のことです。「たけやぶやけた」「ダンスはすんだ」「山本山(これは厳密には違いますね!)」のことです。

Logophileさんのnoteの記事です。

交響曲第47番ト長調「パリンドローム(回文)」(Sinfonia No.

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ちょいちょい書くかもしれない日記(フジコ・へミングさん)

ちょいちょい書くかもしれない日記(フジコ・へミングさん)

多くの人と同じだと思うが、私がフジコさんを知ったのは、例のNHKのドキュメンタリーだった。
何の気なしに見て、めちゃくちゃに衝撃を受けた。
かつて、「調律はプロがやっちゃうんだから、誰が弾いても同じ音が出てつまんない」なんて言いぐさでピアノをやめてしまった不見識な自分をどつき倒したいと思った。
画面の中で鍵盤を叩く人は、その指先にこれまで越えてきたすべてを込めていた。
テレビのスピーカーからの音で

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ピアノのバッハ(番外編2):リュートの弦を張ったチェンバロ

ピアノのバッハ(番外編2):リュートの弦を張ったチェンバロ

今回は短めのお話。

バッハの器楽曲はあらゆる楽器のために編曲され、どんな楽器で演奏されようとも「バッハだから」と許されてしまうのが「音楽の父」バッハの凄さ。

拍子のリズムを誰よりも重んじるバッハの音楽は規則正しいリズムの躍動感ゆえにどんな楽器で演奏されようとも素晴らしい。

電子楽器でも非西洋楽器の尺八や和笛でも。

あまりの汎用性の高さに脱帽するほかないのですが、やはり個性的な楽曲には楽器と

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ピアノのバッハ(番外編):知られざる楽器「モダンチェンバロ」

ピアノのバッハ(番外編):知られざる楽器「モダンチェンバロ」

「チェンバロ」または「ハープシコード」と呼ばれる楽器は、とても特徴的な鋭い金属的な音色が魅力的です。

狭義ではチェンバロとハープシコードは違う楽器なのだそうですが、一般的には「ハープシコード Harpsichord 」はラテン系言語、「チェンバロ Cembalo 」はドイツ(ゲルマン)系言語での呼び名、つまり同じ構造を持つ同じ楽器をどちらも意味しています。

ちなみに英語読みすると

ややこしい

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今日の1枚:ファリャ《ペドロ親方の人形芝居》、チェンバロ協奏曲ほか(エラス=カサド指揮)

今日の1枚:ファリャ《ペドロ親方の人形芝居》、チェンバロ協奏曲ほか(エラス=カサド指揮)

ファリャ:歌劇《ペドロ親方の人形芝居》全曲、チェンバロ協奏曲
ストラヴィンスキー:《プルチネルラ》組曲
Harmonia Mundi, HMM902653

バンジャマン・アラール(チェンバロ)
ペドロ親方:アイラム・エルナンデス(テノール)
ドン・キホーテ:ホセ・アントニオ・ロペス(バリトン)
口上:エクトル・ロペス・デ・アジャーラ・ウリベ(ボーイ・ソプラノ)
パブロ・エラス=カサド指揮マーラー

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偏愛の1曲:ヤナーチェク《カプリッチョ》

偏愛の1曲:ヤナーチェク《カプリッチョ》

レオシュ・ヤナーチェク:左手と管楽のための《カプリッチョ》
EMI Classics, CMS2376062
ミハイル・ルーディ(ピアノ)
チャールズ・マッケラス指揮パリ・オペラ座管のメンバー
録音:1995年6月

 好きな作曲家をひとり挙げるならば誰?という質問に対しては答えようがないけれども、「こういう作曲家になりたかった、という人をひとり」ならば、私の場合迷うことなく答えはレオシュ・ヤナー

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木のあれこれ。no.5 ピアノを知る、ベーゼンドルファー。

木のあれこれ。no.5 ピアノを知る、ベーゼンドルファー。

ピアノのほとんんどは木材でできている。
世界3大ピアノと呼ばれる、
「スタンウェイ」「ベーゼンドルファー」「ベヒシュタイン」
のピアノたちはどれも何人もの職人の手で1台を数年かけて作るような傑作である。木と音楽は切り離せない。
音でも木は昔から人々を楽しませてくれた。

ピアノの良し悪しを決めるのは
①設計
②素材
③製造方法
だそうだ、ものづくりはやはりこの3次元に集約される。

ピアノの木につ

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ヤーッコ・クーシストによる、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」

ヤーッコ・クーシストによる、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」

私のアマチュアとしての音楽活動における演奏楽器は、合唱と管弦楽のホルンである。どちらもとても発音(アーティキュレーション)の大切な楽器である。

きれいに発音された音は、はっきりとしつつ雑音の少ない音で始まり、中間部はきれいに伸びて、音の最後は雑音なく自然に消える。

私は、声楽と管楽器のホルンの経験から、口(アンブシュア)を活用した発音については、感覚的にも理論的にもある程度説明できる。しかし、

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モダンチェンバロと呼ばれている楽器について(フランス)

モダンチェンバロと呼ばれている楽器について(フランス)

「モダンチェンバロ」という名称に多少違和感がありまして、調べてみました。

この本の場合「Modern Harpsichord Makers]は現代(近代)のチェンバロ製作者たちということです。いわゆるモダンチェンバロも製作したアーノルド・ドルメッチについては息子のリコーダー奏者カール・ドルメッチが執筆しています。イギリスについてはまた後ほど。

モダンチェンバロは19世紀末にヨーロッパで起こった

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