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デザインの認識のズレについて

こんにちは。友人から「デザイナーっぽいよね」と言われるデザイナーの坪田です。良し悪しを別にして「世の中でデザインされていないものはない」といわれるほどデザインは身近なものです。身近であるがゆえに誰もが口を出しやすい分野でもあります。その反面、デザインを生み出すことは専門的な技術や知識を必要とします。

最近このデザインに関するポスト(ツイート)がプチ炎上しました。基本的に炎上案件には触れないようにしていましたが、デザインの認識についてとても分かりやすいのでこちらをもとに説明したいと思います(後で削除するかもですが)。※一応説明しておくと、このポストを批判する意図はなく、なぜ炎上したのか、指摘している人はどういう認識なのか、デザインとはなにかを説明したいと考えています。

デザイナーはあらゆる案件で、つい左のAのようなデザインを作りがちですが、目的によっては一見ダサいBが正解になることも多々あります。
自戒も込めて、必ずしも「かっこいい・おしゃれだから良い」わけではないことを肝に銘じたいものです。

プチ炎上したポストより

現役デザイナー陣から批判や指摘をされていたものの、デザイン初心者やデザイナー以外の人は「勉強になった!」や「正しそうなのになぜ炎上しているの?」という声が出ていました。

サンプル(左右両方)のデザインのクオリティに関して色々と言いたいところはありますが、今回の論点はここではないので置いておきます。ダサいという表現に関して問題点がありますが、こちらは後で説明します。ツイートされた本人をはじめ「反例が極端」であることを批判されていると勘違いされている人も多くおられましたが、そこはポイントではありません。

多くのデザイナーが引っかかったのは1文目の前半『デザイナーはあらゆる案件で、つい左のAのようなデザインを作りがちですが』の部分です。なぜ引っかかるデザイナーが多かったのでしょうか。

デザインとは「生まれ持ったセンスをもとにオシャレなものを作ることではありません詳しくはこちら)」。デザインは理論と感覚が上手く噛み合い、クライアントやユーザーに刺さるものを提案、もしくはまだ顕在化していない問題や未来に対して問題定義をする分野です。必ずしもスタイリッシュなものが良いわけではない、というのは初歩中の初歩で、むしろクライアントに寄り添った提案を大切にしているデザイナーがほとんどです。感覚でデザインされているものなんて使いにくいし見にくいです。というより、クライアントを一切無視した提案をしているとデザイナーは仕事をもらえなくなります。また「デザイナーは」と、主語が大きかったことも引っ掛かった人が多かったポイントです。

要するにこのポストの言い方では「肝に銘じたい」と言いつつも『必ずしも「かっこいい・おしゃれだから良い」わけではないのに、ほとんどのデザイナーは自分の好みだけであらゆる案件の提案をするよ』と言っているように聞こえるのです。現役デザイナーたちが声を上げたのは、「主語の大きさ」と「言い方」によって、デザイナーという職業が勘違いされることを危惧したのです。

また、ここでは左のデザインAを「かっこいい・おしゃれ」と表現し、右のデザインBを「ダサい」と表現されています。しかし作例を読み取るとこの表現は間違いで、正しくは「デザインA=高級感」、「デザインB=敷居の低さ/親しみやすさ」です。

ダサいという言葉には「恰好悪い/野暮ったい(洗練されていない)/垢抜けない」という意味があります。デザイナーたちは敷居の低いデザインでも何が正しいのかを考え、色の組み合わせや文字の使い方、見え方を突き詰めてデザインしています。納期が優先されてしまい時間内にクオリティが高められない場合があるものの、どんなデザインでも洗練されていない低クオリティのものを求められることはありません。親しみやすいデザインを求められる場合も、考えるのはユーザーに刺さるデザインであり、ブランドや使用者の使いやすい高クオリティなデザインです。決してダサいデザインではありません。

デザインには専門的な技術や知識を必要としますが、生活する上でデザインの知識を持つことは役に立つので、幅広い人にデザインの面白さと素晴らしさを知ってほしいと考えています。それではー。

SPOT DESIGN 坪田将知

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