ねこもち

奇矯な叫びを繰り返す困った人。情感に欠ける傾向あり。10年に一度、大病をするが、なぜか…

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奇矯な叫びを繰り返す困った人。情感に欠ける傾向あり。10年に一度、大病をするが、なぜか悪運強く生き返る。ここでは主に映画、舞台、本など、心の琴線に触れたものについて書いて行きます。アイコンは2016年に大往生された先代猫様。ヘッダーは竹富島の朝焼け。

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「オレのはなしをきけ」『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』 原題 Little Women 監督 グレタ・ガーウィグ  我々世代は、世界名作劇場で知っている「若草物語」と、その後を描いた作品。(原作では、第四作くらいまであるらしい)  ドラマティックな仕上がりのなかに、「ジョー」と言う主人公=シアーシャ・ローナン=ルイザ・メイ・オルコット=監督のグレタ・ガーウィグの姿が見える。  時系列があちこち飛んじゃうので、少し追うのがつらい。ただ、「ああ、過去は暖色系で撮っているのね」と分か

    • 90年に一度の奇祭があるんだ。こない?

       雑監督こと、アリアスターがおくるヒーリングシネマ。それが「ミッドサマー」。  以下、鑑賞した際に書いた覚え書きを元にしております。  アリアスターは別にホラーを撮っているわけではないと思うし、これは過去の恋人への強烈壮大な意趣返しなんだろうなって思いながら見てたんですが、雑監督の割には、「ホラーにおける被害者の男女逆転」にこだわっている。  あと、パンフレット、美麗作家ヒグチユウコさんが描いたので、売り切れてました。あと、凄い大きなシネコンでいっぱいだった。それとみん

      • 映画「タレンタイム」講評

        こちらは「元町映画館」映画レビュー入門講座の課題で出したものになります。 「血がみたい」 「タレンタイム」を鑑賞している間、私はずっと韓国映画「アシュラ」が見たかった。屑しかいない映画。墜ちていく汚職刑事ドギョンをチョン・ウソンが熱演している。どいつもこいつも、どこに出しても恥ずかしい倫理観のない奴らだ。利権をめぐって人を殺すなんて、へっちゃら。だからこそ、そこには純粋な悪がある。純化された悪はピュアな子供と似ている。繰り広げられるバイオレンス、素敵でしゃれた劇伴、斬新な拷

        • 映画感想「くる」

          「くる」 2018年 中島哲也監督  複数の人から「意味が分からん! 見て!」と言われたので、2019年映画初めに選びました。  原作もななめ読みしたのですが、大きな改変があり、原作ファンは戸惑ったのではないでしょうか。何より「怪奇に関しては、実は人が行っていましたって言うのが、いやなんですよね」って語っていた原作者の意図を歪曲した印象です。原作者は物語の作り手としてうまく嘘をつく、それらしいことを放り込んでくる能力がある人です。  ホラーを見ると怖さのあまり、脳が情報を

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        • #映画感想
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          大河ドラマ「いだてん」一話感想

           タイガータイガーアリガタイガー。と、脚本宮藤官九郎の過去の作品「タイガー&ドラゴン」の締め言葉を言ってしまう出来。  宮藤官九郎作2019年「いだてん〜東京オリムピック噺〜」個人的に、この「ム」ださい。  クドカンは入れ子構造、複層構造を得意とする作家です。今回も明治と昭和を同時にいったりきたりしている。これ、脚本ではかなりアウトとされる方法論です。ところが、彼は筆力があるので、やってのけるんですね。(それ以上に、去年までの「西郷どん」に慣れた人はついていけるのか、という

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          JKローリングと湊かなえの「精神的な暴力性」について

           Twitterで「JKローリングは小林靖子説」を提唱したところ、フォロワーさんが「いや、湊かなえです」と突っ込んできた。  膝を打ち抜く思いだった。  小林靖子さんはジョジョの奇妙な冒険シリーズ、仮面ライダーシリーズ、進撃の巨人シリーズなどの構成、脚本を担当しており、「死んだほうがましだと登場人物に思わせる」設定を用意する一方、「イケてる男の死に場所」はちゃんと作ってくれます。  そこがローリング姐さんや湊かなえさんの「ひんやりとした恐ろしさ」とは一線を画していると言える

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          「ハリー・ポッターのトリネコの杖」と「指輪物語の指輪」について、占星術から考える

           タイトルにおける二つの作品には「最終兵器」とも言える「杖」と「指輪」が出てきます。杖と指輪を巡って、争いが引き起こされ、主人公は時に生死をさまよう。特に後者において、滅びの山に指輪を捨てる旅に出たフロドは、結果的に指輪の吸引力に飲み込まれてしまいます。  あらがいがたい運命、押しつぶされる運命、死とそして再生を、占星術では冥王星で示します。現在、冥王星は山羊座を運行しており、各所から山羊座の悲鳴が聞こえてきます。 冥王星とは 公転周期…248.54年 一つのサインに滞在

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          映画感想「スリー・ビルボード」

          Three Billboards Outside Ebbing, Missouri  2017年 監督 マーティン・マクドナー  アメリカの片田舎、ミズーリのとある街でアンジェラ・ヘイズと言う若い女性がレイプされ、焼き殺された。喪失感にさいなまれる母親のミルドレッドは、犯人が捕まらないことに業を煮やし、三つの立て看板を立てる。 「RAPED WHILE DYING」(娘はレイプされて殺された) 「AND STILLING ARRESTS?」(犯人は野放しなの?) 「HOW

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          ひとりがたり「この世は地獄」

           長い地獄のトンネルを抜けるとまたしても地獄だった。  現世に生きていると、そのように感じる瞬間が多々あります。底辺校を脱出したはずが、また愚痴とコンプレックスの吹きだまりだったり。運命的な恋に落ちたと思ったら、相手が借金持ちのモラル崩壊している人間だったり。結婚して幸せになったかと思えば、旦那が密かに120万円もの奨学金未返済を隠していたり。初めて出会った時、羽根が見えた相手と結婚したのに、流産した時に役に立たず、離婚をしたらうっかり銀行のカードを渡したままで、全財産を

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          映画感想「メアリーの総て」

          Mary Shelley 2017 ハイファ・アル=マンスール監督  ゴシックホラー「フランケンシュタイン」の作者、メアリー・シェリーがいかにして作品を執筆し、出版するのかどうか……までをメアリーの個人的な観点で描いた物語。  確実にMetoo運動の影響も感じさせるのですが、「フェミニズム」の論点からは甘いんじゃないか、時系列があちこち飛んでないか……と言う印象です。ただ、200年以上経っているけど、女の扱い、変わってないのが心に痛いのは特筆する部分です。 「女性権利の擁

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          映画感想「聖なる鹿殺し」

          「聖なる鹿殺し」The Killing of a Sacred Deer  2017年 ヨルゴス・ランティモス あらすじ  心臓科医スティーブンは美しい眼科医の妻、聡明で健康な娘、息子を持ち、郊外で恵まれた家庭を営んでいた。ところが彼には秘密があった。その秘密を握るマーティンと、疑似親子のような交流を続けるスティーブン。  ある日、マーティンを家に招いた時から悲劇は起こり始める。まずは息子、そして娘の足が動かなくなっていく。原因は分からず、ただ、家を這いずり回る二人の子ども

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