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目からビーム!56ミーシャの悲劇

「東京五輪は人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、完全な形で実施したい」
 16日夜、史上初のテレビ電話によるG7首脳会議を終えたあとの記者会見で安倍首相はそう語った。他6カ国首脳からは支持を取り付けたという。
 この発言を素直に受け止めれば、五輪延期の方向で話が進んでいると読める。このままコロナ禍が広がっていけば、今夏に五輪を「完全な形で実施」することはとうてい不可能だからだ。
首相の口から明確にそれが告げられないのは、まだその時期ではないという判断からに相違ない。IOCとの綱引きもあるだろう。スポンサー企業への根回しも必要だ。延期となれば、一時的に株価も急落するし、国内経済の打撃も計り知れない。五輪を当て込んでいたホテル業界や食品業界の中にはコロナとのダブル・パンチで倒産する会社もあるはずだ。
それにつけて思い出すのは、1980年の流行語にもなった「ミーシャ倒産」である。
この年、モスクワ五輪が開催された。当時は旧ソ連時代で、社会主義圏では初の五輪開催であった。しかし、前年のソ連によるアフガン侵攻に抗議するという名目で、米国をはじめとする西側各国は、こぞって出場をボイコットしてしまう。これもまた前代未聞のことだった。むろん、その西側諸国に日本も入っていた。
ミーシャは同五輪のマスコットの子熊のキャラクターである。版権を収得してミーシャのぬいぐるみやグッズを製造販売していた日本の零細おもちゃメーカーはこのボイコットで大損害をこうむるのだ。そして多くは倒産を余儀なくされた。これがミーシャ倒産だ。
こういう被害を最小限に留めるためにも、今のうちにしっかりとした対策は必要だろう。

ミーシャ人形。今持ってたら、逆にレアもの価値がつくかも。
『こぐまのミーシャ』は日本でアニメにもなった。むろんモスクワオリンピック組織委員会公認。製作は日本アニメーション。モスクワ五輪単独放送権を得たテレ朝の放送。全26話。ボイコット騒動でテレ朝も大損をこいた。
子供用ミーシャ茶碗。高い版権料を払って、これを作っていた零細メーカーの悲鳴が聞こえる。

 やれ準備不足だ、やれ炎天下のマラソンだ、と開催前からネガティブ視線ばかり浴びせられている東京五輪。ここいらでいっちょ仕切り直して、1年後に新たな気持ちで開催してみるのも悪くない。
東京五輪には空手が種目に入る。大会の成否によれば、今後正式種目に決まることも夢ではない。空手発祥の地、沖縄からも熱い注目が集まることだろう。


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