見出し画像

星座解説第2回 みなみじゅうじ座編

どうもyoutubeチャンネル「宇宙冒険隊」のHommaです!

今回はみなみじゅうじ座の天体について解説していきたいと思います。

みなみじゅうじ座の基本情報

みなみじゅうじ座は南天の星座であるため日本からは見ることができません。そのため前回のケンタウルス座と同様、はっきり見るには南半球にいく必要があります。

みなみじゅうじ座は北半球での北極星と同じように、南半球では南の空に一年中輝いて見え、そして一等星を2つ持つ数少ない明るい星座なので、南天の星座のシンボルとなっています。

オーストラリアやニュージーランド、ブラジルやパプアニューギニアなど多くの南半球の国旗にも描かれていますね。

スクリーンショット 2020-07-22 20.35.45

一番明るいα星は、十字の一番南に位置している星でアクルックスと言います。次に明るい星が東側に位置する星でベクルックス(別名ミモザ)といい、この二つの星が一等星となります。

そして、三番目に明るい星は北の星でガクルックスというのですが、ここまで名前が似ていることに気づいたでしょうか?

実は、それぞれの星の名前の意味は、みなみじゅうじ座の学名、Crux(クルックス)に、明るさの符号であるα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)をつけて省略したものとなっています。

このようにみなみじゅうじ座の星の名前は覚えやすいのですが、Imai(イマイ)は別の由来の名前となっています。

エチオピアに住むムルシ族の人々が、川の氾濫の時期を知るための指標としてこの星を用いていて、彼らの住む土地を流れる川の土手に生えている川の水位の指標となる草の名前をとってつけられた名称であると考えられているそうです。

みなみじゅうじ座の探し方

みなみじゅうじ座は、南天の星空では南の空に一年中輝いて見えます。

みなみじゅうじ座を探すときは前回のケンタウルス座の2つの一等星(リギル・ ケンタウルスとハダル)を目印にします。この2つの一等星はみなみじゅうじ座を探すポインターとも呼ばれています。

このポインターをおよそ2倍伸ばした先にみなみじゅうじ座があります。

みなみじゅうじ座の探し方

注意したいのが、ニセ十字です。

みなみじゅうじ座から少し離れたところ、りゅうこつ座やほ座のあたりに、みなみじゅうじ座に似た4つの星の並びがあります。

みなみじゅうじ座より大きく、4つの星どれもが同じような明るさをしているため、初めて見た人はこちらをみなみじゅうじ座と勘違いしてしまう人が多いようです。

ケンタウルス座のポインターを目印にしっかり本物のみなみじゅうじ座を探しましょう!

天の川に空いた大きな穴「コールサック」

さて、これからみなみじゅうじ座の天体について解説していきます。

まず、みなみじゅうじ座の左下に、天の川の中にポッカリと穴が空いたように見える部分があります。

スクリーンショット 2020-07-22 23.37.31

これはコールサックと言い、日本語で石炭袋という意味なのですが、その正体は暗黒星雲です。

暗黒星雲は塵を多く含む密度の高い星雲で、可視光線を遮ってしまうため、このように真っ暗に見えます。

宮澤賢治の銀河鉄道の夜では「空の穴」と表現されており、以前は「何もない場所」と考えられていました。しかし、そのご、電波や赤外線による観測が行われるようになって、考え方は一変しました。

赤外線や電波はガスや塵を通り抜けて熱を発する物質だけを見ることができます。これによって暗黒星雲の中では星が誕生していることがわかってきました。

画像6

こちらはBHR71というコールサックのすぐ近くにある暗黒星雲を可視光線と赤外線で撮影した写真なのですが、目に見える光では真っ暗にしか見えませんが、赤外線ではたくさんの星を見ることができます。

暗黒星雲はガスがたくさんあるところという話をしましたが、暗黒星雲などの分子雲の濃い部分では密度が高いため自分の重力で収縮していきます。収縮するとさらに暗黒星雲の密度が高くなるのでどんどん収縮していきます。収縮が過度になると、やがて、原始星という星の赤ちゃんが誕生します。

ただし、この段階では原始星はまだ低温であり、星からの放射は周りのダストによって吸収されるため、可視光線ではほとんど見えず赤外線で明るく輝きます。

その光がこの赤外線写真で見ることができるのです。

また、原始星に落ちたガスの一部は極方向(回転する軸の方向)に高速で吹き出します。このガスの噴出をジェット、または双極分子流といい、このように星雲を貫く虹色の筋として見ることができます。

図1

このジェットは可視光でも少し見ることができ、これはいわば"暗黒星雲という殻を突き割る星の「ひな」"と言えます。

若く元気な星で構成された「宝石箱」

次に、南十字座の近くにはNGC4755という散開星団があります。中心に赤色超巨星があり、それを青い星が取り巻いています。その美しい色の対比から宝石箱と呼ばれています。

スクリーンショット 2020-07-22 23.40.39

散開星団とは、前回解説した球状星団とは対照的に、数十から数百個の星が比較的ゆるく集合した星団で、約1000万年前に誕生した若くて元気な星の集団です。

星は誕生する時、暗黒星雲などの高密度のガスや塵のなかで誕生します。その時、星は単独では無く集団で星が形成されるため、成長した後、散開星団となります。

そして、散開星団の星々は互いの重力よりも速い速度で動いていくため、時間が経つにつれて成長するとともに離れていきます

私たちの太陽も元はたくさんの兄弟星と一緒に誕生しましたが、46億年もの時間をかけて、まるで子が巣立つように、やがて離れていったのだと考えられています。


みなみじゅうじ座の天体についての解説は以上になります。みなみじゅうじ座は、暗黒星雲から始まり、散開星団、それぞれの恒星へと、恒星の誕生の流れを一度に見ることのできる星座となっています。

ぜひ、みなみじゅうじ座を見るときはこのような星の誕生と進化に思いを馳せながら見てみてください!

次回ははくちょう座について解説します。今回は星の誕生についてお話しましたが「星の様々な死」についてお話します!今話題のブラックホールも登場!

画像クレジット:
・Stellarium(https://stellarium.org/ja/)
・NASA/JPL-Caltech/T.Bourke (Harvard-Smithsonian CfA)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?