見出し画像

食の転換期が来た 〈後編〉

変化の兆しが見えはじめた外食市場で、4つの商品はどのように評価され、どのような役割を果たしていくのだろうか。外食店の皆さんにご評価いただこう。

文・撮影/長尾謙一

食の転換期が来た〈前編〉はこちら

〈キッコーマン ワン・ファミリーシリーズ〉
・キッコーマン ワン・ファミリー つゆ
・キッコーマン ワン・ファミリー ぽんず
・キッコーマン ワン・ファミリー てりやきのたれ
・デルモンテ ワン・ファミリー クリームコーン あらごしタイプ
(素材のちから第42号より)

画像1

〝プラントベースフード〟の流れに外食店はどう向かい合う? ①
【ハンバーガーショップ】 Hamburger shop

画像2

代表取締役社長 村谷 幸彦 さん

画像3

ベジタリアンブッチャー 東京都豊島区西池袋
食肉界の革命といわれるオランダ発の〝プラントベースドミート〟のブランドを輸入販売する(株)ベジタリアンブッチャージャパンが経営する未来型ハンバーガーショップ。お客様の8割が女性で、〝プラントベースドミート〟を使った低脂肪で低カロリー、コレステロールフリーのヘルシーなメニューは20代、30代の女性を中心に人気が高い。また、飲食店への卸売りも行なっている。

世界の食肉界が転換期を迎えようとしている

今、食肉界にも転換期が訪れようとしています。当たり前のように食べられている肉の他に、〝プラントベースドミート〟と呼ばれている植物性の原料だけでつくられる新しい肉が、世界で認められはじめました。

その背景はSDGsなどに見られる、世界の環境問題を解決するということが一番の起源でしょう。

今までベジタリアンやヴィーガンが、動物性由来のものは食べないと自らの食のスタイルを貫くことで環境問題に向かい合ってきましたが、その数は世界人口の5%くらいといわれていて、ブームとして聞こえてくる割には少ないのです。

多様性をうたいながらもベジタリアンやヴィーガンという線引きをしてしまうことで、〝プラントベースドミート〟に消極的になってしまう現象が日本では起きないように、環境問題はもう完全に地球に住むすべての人が向かい合わなくてはならない問題なのだと伝えていきたいと思います。

コロナ禍によって今までの社会常識が変わる中、〝プラントベースドミート〟に対しても意識変化が確実に起きていますし、環境問題に対する参加意識も変わってきました。

「ワン・ファミリー てりやきのたれ」は凄くおいしいですね。濃厚な旨みとコクは私どものメニューにもぴったりです。

画像4

クリスピーチキンナゲット
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー てりやきのたれ」

大豆ミートの大豆臭をカバーするには、ちょっとした酸味が必要かなと思っているのですが、「ワン・ファミリー てりやきのたれ」には野菜やフルーツのちょうどいい酸味があって、大豆臭を抑えるというよりは味を調和させる印象を凄く受けました。メニュー全体の風味がバランスよく綺麗に収まっていると思います。

このジューシーでリアルな食感はまるでチキンだ!

画像5

チキンチャンクバーガー
〝ベジタリアンブッチャー〟一番の看板商品。植物性の原料で鶏モモを皮の食感までリアルに再現したものをフライにしてサンド。「ワン・ファミリー てりやきのたれ」が〝チキンチャンク〟に旨みとコクを加えジューシーなおいしさに。
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー てりやきのたれ」

一般的には、大豆臭は濃いタレの風味で覆い尽くしてしまおうというパターンが多いのですが、「ワン・ファミリー てりやきのたれ」は、短所を隠しながら長所はしっかりといかすみたいな、凄くバランスのいい商品です。

肉汁が溢れ出しそうな牛肉の旨みとコク、香りを再現!

画像6

ホーリーカウビーフバーガー
植物性の原料とヨーロッパ特有のハーブやスパイスで再現された牛肉に「ワン・ファミリー てりやきのたれ」が旨みとコクを加えている。そぼろ状の〝マジックミンチ〟は食感もミンチ肉そっくりでリアリティを感じる。
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー てりやきのたれ」

日本ではアレルギーへの対応がかなり遅れているので、〝7大アレルゲン不使用〟で〝グルテンフリー〟、さらにベジタリアン対応のこの商品を喜ぶ方は、たくさんいらっしゃるだろうと思います。食制限に対応していてここまでクオリティーが高いものって、まだ出回っていないと思いますから、こうした商品が登場してくることは、私たちにとってとても追い風になります。

〝プラントベースフード〟の流れに外食店はどう向かい合う? ②
【日本料理店】 Japanese restaurant

画像8

総料理長 野﨑  洋光 さん

画像8

分とく山 東京都港区南麻布
伝統的かつ独創的な料理で料理界に新風を吹き込んだ野﨑洋光氏が総料理長を務める「分とく山」は、高級日本料理店でありながらどこか親しみやすい。「おもてなしの心」を大切に丁寧に提供される料理は、旬の大事さ、素材のおいしさをあらためて教えてくれる。やさしいだしで味付けられた心づくしの料理が忘れられない。

食べた後に心地よさが残る淡味をいかす調味料が欲しかった

今回の〝キッコーマン ワン・ファミリーシリーズ〟の商品を使わせていただいて、これは料理を本来のおいしさに原点回帰させてくれる調味料だと思いました。

余計な風味を加えて料理を複雑につくり込んでいくのではなく、あくまでも素材のおいしさをシンプルに楽しませてくれるものでした。

たとえば、〝筑前煮〟は素材を炒めたりしないで、「ワン・ファミリー つゆ」を水で5倍に薄めた煮汁で炊きました。

〝野菜だし〟のコクと旨みが〝淡味〟という日本料理の極意を表現する。

画像12

筑前煮
調理のポイントは、味をつくりすぎないこと。おいしさは素材そのもののポテンシャルにゆだね、調味料は何も入れない。素材から染み出す風味を〝北海道産の真昆布〟と〝野菜だし〟がやさしくまとめる。
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー つゆ」

〝茄子の煮浸し〟は茄子を揚げて油抜きをして「ワン・ファミリー つゆ」を水で3倍に薄めた煮汁でさっと一煮立ちさせて火を止めてそのまま漬けました。それで十分です。

画像11

茄子の煮浸し 
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー つゆ」

素材の味がしっかりと出てきて本当に簡単でおいしく、クセのある口残りがなくて、まさに〝野菜が生きている〟仕上がりになりました。

それにしても、この野菜から旨みを持ってくるという技術は凄いと思います。料理人の皆さんもきっとこれが欲しかったのではないでしょうか。

「ワン・ファミリー ぽんず」には、おろした玉ねぎと人参、サラダ油、ごま油、白ごまを加えてドレッシングをつくると、焼けた野菜の凝縮感に柚子がさわやかに香るサラダができます。

野菜の焼けた香りが立つのは国産柚子の香りが豊かでさわやかだから。

画像12

焼き野菜のぽんずドレッシングがけ
「ワン・ファミリー ぽんず」に、おろした玉ねぎと人参、サラダ油、ごま油、白ごまを加えドレッシングをつくる。野菜を焼いて濃縮させた旨みと焦げた香りを自然な柚子の香りが包み込む。
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー ぽんず」

また同量の豆乳で割るとまろやかなドレッシングになり、〝二寸野菜の生湯葉巻き〟の素朴な味わいをいかしたフレッシュ感のあるサラダが簡単にできます。不自然に旨みを補うような風味がなく、野菜本来の味が楽しめます。

画像12

二寸野菜の生湯葉巻 
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー ぽんず」

和食は精進料理を元に発展しましたから、動物性由来の素材を使わないベジタリアンなどには、ある程度柔軟に対応できると思いますが、「ワン・ファミリー つゆ」や「ワン・ファミリー ぽんず」のような商品があればとても助かりますね。

どのお店でもこれを使えばどんなお客様にも対応できる、こういったグローバルなものは今までなかったのではないでしょうか。

〝プラントベースフード〟の流れに外食店はどう向かい合う? ③
【ホテル】 Hotel

画像13

総料理長 曽我部 俊典 さん

画像14

ザ・キャピトルホテル 東急 東京都千代田区永田町
日本の中心・永田町にあり国会議事堂前駅・溜池山王駅直結という抜群の利便性を持ちながら、日枝神社の豊かな緑に囲まれ、都会の喧騒を忘れる閑静な落ち着きを持つ。世界中から訪れる多くのゲストに、洗練された和のたしなみで、日常から解き放たれた「和らぎ」をお届けする、本質的な和が貫かれた世界に一つだけのホテル。

〝ベジタリアン〟〝ヴィーガン〟を含んでしまう〝プラントベースフード〟への食の流れ

今後、注目しなくてはならないのは〝SDGs〟ですね。日本でもSDGsによって食が多様化するでしょう。

外国からのお客様はもちろん、特に都内にはそうした感覚の方が多くいらっしゃいますから〝植物性由来の素材〟にこだわったメニューはすでに人気があります。

健康志向もあり女性が中心で、ちょっと前までは〝ベジタリアン〟〝ヴィーガン〟って言っていましたけれど、そうやってカテゴライズされるのを嫌がる人たちが増えて、今は〝プラントベースフード〟という風に言い方が変わってきました。〝SDGs〟は2030年まで活動が続く世界的な流れですから、食への影響はもう避けて通れないですね。

今回は、「ワン・ファミリー てりやきのたれ」と「ワン・ファミリー クリームコーンあらごしタイプ」を使ってみました。

まず、ベジハムを使って〝ハーブティーで食べる雑炊仕立て〟です。ベジハムをソテーして、「ワン・ファミリー てりやきのたれ」と海苔を加えると鮭の味になります。それにフレッシュハーブティーを注いで洋風に仕立てました。

画像15

ベジしゃけフレークの雑炊仕立て ハーブティーで召し上がれ
使用商品▶「キッコーマン ワン・ファミリー てりやきのたれ」

〝エリンギ茸のグリル〟は、「ワン・ファミリー てりやきのたれ」で炙り焼きにして、蕪のピュレとオリジナルの香味オイルで仕上げました。「ワン・ファミリー てりやきのたれ」は〝五葷不使用〟ですので、〝オリエンタルベジタリアン〟を意識しました。化学調味料やビーフエキスなどの動物系のエキスを使わず、ここまでコクと旨みが出ているのには驚きましたね。

ニンニクも玉ねぎも使わずに豊かなコクと旨みを表現する技術に驚く。

画像18

エリンギ茸のグリル  てりやきのたれの炙り焼き 蕪のピュレと香味オイルのアクセント
「ワン・ファミリー てりやきのたれ」をたっぷりと塗ったきのこを炙る。香り立つ風味に特製の香味オイルが未知数のおいしさを添える。オリエンタルベジタリアン、〝五葷不使用〟の一皿。

「ワン・ファミリー クリームコーン あらごしタイプ」は50%がコーンという濃厚さをいかして冷製と温製のホテル仕様のクリームコーンスープをつくりました。豆乳クリームを加えてエスプーマで空気を抱かせ濃厚感を持った泡をつくり、冷製はピンクグアバジュースのゼリーに、温製は豆乳でのばしたクリームコーンスープの上に絞りました。

画像17

ホテル仕様  冷製クリームコーンスープ
使用商品▶「デルモンテ ワン・ファミリー クリームコーン あらごしタイプ」

動物性エキスも乳も不使用だからヴィーガンにも対応できる。

画像18

ホテル仕様  温製クリームコーンスープ
温かなクリームコーンスープに、豆乳クリームを加えてつくったクリームコーンのエスプーマを絞る。濃厚でありながら軽くキレのいいスープだ。
使用商品▶「デルモンテ ワン・ファミリー クリームコーン あらごしタイプ」

一般的にはベジタリアンやヴィーガンなど食制限対応の商品はどうしても味は二の次ですが、どちらも従来品と比べてもおいしく仕上がりました。

食の転換期が来た〈前編〉はこちら


協力/お問い合わせ:キッコーマン食品株式会社

(2021年9月30日発行「素材のちから」第42号掲載記事)

※「素材のちから」本誌をPDFでご覧になりたい方はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?