昼寝
今日昼寝して夢を見た。
母と小さなスーパーで買い物をしていた。全く知らないスーパーで、店員含め他の人は誰一人としていなかった。
ビーフジャーキーみたいなやつと、鮭を使ったご飯のお供系の瓶を買っていた。
会計がお店の外にあってセルフレジだったけど、タッチパネルが自分の身長の上に設置してあって、まともに会計ができなかった。
どうしようって思っていたら、機械系全く分からない母がいじくりまわして大量の1円玉が出てきた。
母がその1円玉をこれでもかというほど握りしめて、ポロポロ落としながらすぐ後ろにある空き地に向かった。
それは誰もが見たことのある、雑草や芝生の生えたどこにでもあるような空き地。
母がその空き地で、1円玉を5回に分けて盛大に撒いた。
私はびっくりして「なにやってるの!やめなよ!」と言ったが全く聞く耳を持たない。
高齢だし少しボケ始めたのかなと思った。
すると今度は「私に向かって3回投げなさい」と、片手に握られた数十枚の1円玉を渡してきた。
圧倒されて断ることもできず、母の頭の上に3回に分けて数枚軽く投げた。
「なんなのこれ。」と聞くと、
「これをやるとずっと仲良しでいられるんだよ。」とだけ言った。
私は照れくさそうにしながら俯いていた。
そしてその日の翌日に母が他界した。
◇
ここで目が覚めたと脳が感じた。
だけどしばらくは目を開けることができなかった。
悲しくて仰向けのまま泣いていた。
両こめかみを伝う涙を感じた。
たくさん溢れていた。涙が止まらなかった。
キッチンの方から料理をしている音が聞こえてきて、母はまだこの世にいるんだと安心した。
安心したらまたたくさん涙が溢れてきた。
目を閉じながら表情が崩れるくらい泣いた。
◇
高齢の母と過ごせる日はもう限られている。
だから何気ない日常でも、大切にしなさいというメッセージなんだと思った。
人はこの世を去ったら、その人とはもう一生会うことはできない。
当たり前だと思ってた日が、当たり前ではなくなる。
だから母と過ごせる残された日々を、もっと大切に過ごそうと強く思った。
◇
落ち着いてきたから涙を拭かなきゃと体を起こしたら、体がとても熱っぽくだるかった。
どうやら私はうなされていたようだ。
幸いにも熱はなかったけど、子供の頃に高熱が出て食欲がない時、母が林檎をすりおろしてくれたのを思い出した。
食欲がなくても、あれだけは食べられた。どんな薬よりも、母がすりおろしてくれた林檎が特効薬だった。
また食べたいけど、さすがに恥ずかしいな。
熱があるって嘘をつこうかな。
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