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昼寝


今日昼寝して夢を見た。

母と小さなスーパーで買い物をしていた。全く知らないスーパーで、店員含め他の人は誰一人としていなかった。

ビーフジャーキーみたいなやつと、鮭を使ったご飯のお供系の瓶を買っていた。

会計がお店の外にあってセルフレジだったけど、タッチパネルが自分の身長の上に設置してあって、まともに会計ができなかった。

どうしようって思っていたら、機械系全く分からない母がいじくりまわして大量の1円玉が出てきた。

母がその1円玉をこれでもかというほど握りしめて、ポロポロ落としながらすぐ後ろにある空き地に向かった。

それは誰もが見たことのある、雑草や芝生の生えたどこにでもあるような空き地。

母がその空き地で、1円玉を5回に分けて盛大に撒いた。

私はびっくりして「なにやってるの!やめなよ!」と言ったが全く聞く耳を持たない。

高齢だし少しボケ始めたのかなと思った。

すると今度は「私に向かって3回投げなさい」と、片手に握られた数十枚の1円玉を渡してきた。

圧倒されて断ることもできず、母の頭の上に3回に分けて数枚軽く投げた。

「なんなのこれ。」と聞くと、

「これをやるとずっと仲良しでいられるんだよ。」とだけ言った。

私は照れくさそうにしながら俯いていた。

そしてその日の翌日に母が他界した。




ここで目が覚めたと脳が感じた。

だけどしばらくは目を開けることができなかった。

悲しくて仰向けのまま泣いていた。

両こめかみを伝う涙を感じた。

たくさん溢れていた。涙が止まらなかった。

キッチンの方から料理をしている音が聞こえてきて、母はまだこの世にいるんだと安心した。

安心したらまたたくさん涙が溢れてきた。

目を閉じながら表情が崩れるくらい泣いた。


高齢の母と過ごせる日はもう限られている。

だから何気ない日常でも、大切にしなさいというメッセージなんだと思った。

人はこの世を去ったら、その人とはもう一生会うことはできない。

当たり前だと思ってた日が、当たり前ではなくなる。

だから母と過ごせる残された日々を、もっと大切に過ごそうと強く思った。




落ち着いてきたから涙を拭かなきゃと体を起こしたら、体がとても熱っぽくだるかった。

どうやら私はうなされていたようだ。

幸いにも熱はなかったけど、子供の頃に高熱が出て食欲がない時、母が林檎をすりおろしてくれたのを思い出した。

食欲がなくても、あれだけは食べられた。どんな薬よりも、母がすりおろしてくれた林檎が特効薬だった。

また食べたいけど、さすがに恥ずかしいな。

熱があるって嘘をつこうかな。


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