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ソニーグループがパラマウント・グローバルに対し買収を提案か

1.【筆者のコメント】
ソニーならやると思っていた。

ソニーグループは、完全にIPビジネス(知的財産ビジネス)に舵を切っていて、映画市場は拡大する予測もあるので数少ない買収相手でしょうね。


【パラマウント・グローバル】は、多くの顧客接点(※1)を持っており、過去を含めての多くのコンテンツ(※2)が上手く生かされる事だけでも相乗効果はあるでしょう。

更に、ゲーム、アニメ、音楽の製作陣とその関連技術を持っているので、融合した場合の相乗効果は期待大です。

※1:テレビ・ラジオ・ネットワーク、アメリカ国内でのケーブルテレビ、衛星テレビ放送事業、国際的なケーブルテレビ、衛星テレビ事等

※2:ソニーグループが持っている、アニメやゲームやソニー・ピクチャーズや音楽コンテンツ等


【参考:映画市場】

世界の映画市場規模は、2021年に約909億2000万米ドルと評価されています。
2022年の年間興収では北米市場が1位で68億5000万ドル(約9000億円)を記録し、中国が5700億円、日本が第3位でした。

映画館市場規模は2023年2月時点で697億8,000万米ドルと推定されており、今後5年間で956億6,000万米ドルに達すると予測されています。

世界の映画とエンターテインメント市場は、2022年から2029年の予測期間には7.2%以上の健全な成長率で成長すると予測されています。

世界の映画市場で上位にランクインしている国々では、国産映画の興収シェアが高い数字を示しています。
アメリカ(94.6%)、中国(84.8%)、日本(68.8%)、インド(88.0%)など、自国の文化が着実に根を張っている国においては、国産映画の供給量こそが市場の未来を占う鍵と言えます。


2.ソニーグループがパラマウント・グローバルに対し買収を提案か

NHKニュース 2024年5月3日

ソニーグループと投資ファンドが、アメリカのメディア大手、パラマウント・グローバルに対して日本円でおよそ4兆円で買収を提案しているとアメリカのメディアが伝えました。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルなどアメリカの複数のメディアは2日、関係者の話として、ソニーグループ傘下の映画会社、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが投資ファンドと共同でアメリカのメディア大手、パラマウント・グローバルに対して260億ドル、日本円でおよそ4兆円で買収を提案していると伝えました。

パラマウント・グローバルは映画会社のパラマウント・ピクチャーズやアメリカの3大ネットワークの1つであるCBSを傘下におくメディア大手で、アメリカの映画製作会社、スカイダンス・メディアとの間でも合併に関する交渉が続いているということです。

ソニーグループは1989年にアメリカのコロンビア映画を買収して映画事業に力を入れていて、ウォール・ストリート・ジャーナルは買収が実現した場合にはソニーが大株主になると伝えています。


3.パラマウント・グローバル(ウィキペディア)

■4つの主要部門

1.CBSエンターテインメント・グループ(英語版)
  (CBS Entertainment Group)
   テレビ・ラジオ・ネットワークを有する放送局。

  ・CBSテレビジョン・ネットワーク(CBS Television Network)
  ・CBSニュース(CBS News)
  ・CBSスポーツ(CBS Sports)
  ・CWテレビジョンネットワーク(The CW Television Network)
    - ワーナー・ブラザースとの合弁会社。

2.パラマウント・メディア・ネットワークス
  (Paramount Media Networks) - アメリカ国内でのケーブルテレビ、
  衛星テレビ放送事業などを担当。

  ・MTV
  ・ニコロデオン(Nickelodeon)
  ・ショウタイム(Showtime)
  ・BET(Black Entertainment Television)
  ・コメディ・セントラル(Comedy Central)
  ・TV Land
  ・パラマウント・ネットワーク(Paramount Network)
  ・Logo TV
  ・CMT
  ・Pop TV
  ・VH1
  ・ムービー・チャンネル(The Movie Channel)
  ・Flix
  ・スミソニアン・チャンネル(Smithsonian Channel) -
   スミソニアン博物館との合弁事業。

3.パラマウント・インターナショナル・ネットワークス
 (Paramount International Networks)

  - 国際的なケーブルテレビ、衛星テレビ事業などを担当。
  ・パラマウント・ネットワークス・UK&オーストラリア
   (Paramount Networks UK & Australia)
   - 対象地域は、英、愛、豪、新、以
  ・パラマウント・ネットワークス・EMEAA
   (Paramount Networks EMEAA)
   - 対象地域は、ヨーロッパ、アフリカ、中東。
  ・パラマウント・ネットワークス・アメリカ
   (Paramount Networks Americas)
   - 対象地域は、南北アメリカ。
  ・チャンネル5(Channel 5) - イギリスの放送局。
  ・ネットワーク10(Network 10) - オーストラリアの放送局。
  ・テレフェ(Telefe) - アルゼンチンの放送局。

4.パラマウント・ストリーミング
 (Paramount Streaming)
 - 世界的なトップストリーミングサービスとインターネットプロパティ
  に焦点を当てている。

  ・Paramount+ - サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド・
   サービス。
  ・BET+
  ・Pluto TV - ストリーミングメディア。
  ・CBSN
  ・CBS Sports HQ
  ・Noggin
  ・Last.fm

●グローバル・コンテント・ライセンシング(Global Content Licensing) - パラマウント・グローバルの全ブランドの世界的な配信を担当。
  ・CBSメディア・ベンチャーズ(CBS Media Ventures)
    - アメリカ国内でのメディアの配信を担当。
  ・パラマウント・インターナショナル・スタジオ
   (Paramount International Studios)

その他企業
 ・
パラマウント・ピクチャーズ(Paramount Pictures)
  - 映画製作スタジオ。
 ・サイモン&シュスター(Simon & Schuster)
  - 書籍出版社
 ・VidCon - オンラインビデオ会議。
 ・ベラトールMMA(Bellator MMA) - 総合格闘技プロモーター
 ・AwesomenessTV - エンターテインメント企業。

関連項目
 ・
MTV
   ・MTVジャパン
 ・CBS
 ・CWテレビジョンネットワーク
 ・チャンネル5
 ・テレフェ
 ・TBSホールディングス
   ・TBSテレビ
   ・TBS NEWS
   ・BS-TBS
 ・東宝
   東和ピクチャーズ
 ・
ニコロデオン
 ・ネットワーク・テン
 ・パラマウント・メディア・ネットワークス
 ・パラマウント・ピクチャーズ
 ・Paramount+
 ・VH1
 ・ペンギン・ランダムハウス


■【参考】

アメリカの映画会社には、の「ビッグファイブ」と呼ばれる5つの会社があります。

・ユニバーサル・ピクチャーズ(コムキャスト)
・パラマウント・ピクチャーズ(ナショナル・アミューズメンツ)
・ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
  (ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)
・ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
  (ウォルト・ディズニー・カンパニー)
・ソニー・ピクチャーズ(ソニー)

※20世紀フォックスはウォルト・ディズニー・ピクチャーズの子会社

これらの会社は毎年数百本の映画を主要な国際市場に配給しており、アメリカ合衆国のメジャー映画製作企業のいずれかに配給されることなく、映画が世界中の劇場で広く観客に届けられることは「ほぼ不可能」です。


■アメリカ 映画会社 ランキング

映画制作会社各社の2022年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2022年の映画制作・配給業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はユニバーサル・ピクチャーズ、2位はワーナー・ブラザース・ディスカバリー、3位はウォルト・ディズニーとなります。



■【M&Aの動向】

映画制作会社を大手通信・メディア会社が買収する流れが続き、5大映画制作会社で独立系はなくなりました。映画の制作費が大きくなったことが背景にあります。M&Aにおける企業価値に対する売上高の倍率は1~4倍前後となっています。
2006年 ウォルトディズニーがピクサーを74億ドルで買収
2009年 ウォルトディズニーがマーベルエンタテインメントを
    40億ドルで買収
2011年 コムキャストがNBCユニバーサルメディアの株式51%を
    62億ドルで買収
2012年 ウォルトディズニーがルーカスフィルムを
    40.5億ドルで買収
2013年 コムキャストによるNBCユニバーサルメディア買収
2014年 AT&TによるディレクTV買収
2016年 AT&Tによるタイムワーナー買収
2017年 ウォルトディズニーによる21世紀フォックス買収
2018年 AT&Tがタイムワーナーを850億ドルで買収
2019年 ウォルトディズニーが21世紀フォックスを約710億ドル買収
2019年 CBSとバイアコムが経営統合し、バイアコムCBSが誕生
2019年 ウォルトディズニーがHuluを買収
2022年 アマゾンがMGMを85億ドルで買収
2022年 ワーナーメディアとディスカバリーが経営し
    Warner Bros. Discoveryが誕生
2022年 バイアコムCBSが社名をパラマウントグローバルへ変更

2019年ディズニーが21世紀フォックス(旧20世紀フォックス)を買収したことで、ディズニーのシェアが大きくなりました。
また、映画制作会社を大手通信・メディア会社が買収する流れが続いており、親会社がTV事業などの映像メディア事業とともに映画事業を手がける構図が広まっています。これは、映画の制作費が大きくなり、映画の上映までに巨額の費用が必要になってきたことが背景にあります。



4.2023年最新版:世界の映画製作・配給会社ランキング時価総額TOP78

2023年8月23日

時価総額の大手3社

Comcast Corp(アメリカ):237,269億円
The Walt Disney Co(アメリカ):230,689億円
ソニーグループ(日本):165,391億円


下記の世界の映画製作・配給会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

★国別の分布

アメリカ:2社
日本:6社
マレーシア:1社
中国:10社
香港:15社
インドネシア:2社
大韓民国:6社
フィリピン:1社
インド:19社
フランス:2社
スイス:1社
タイ:4社
シンガポール:2社
台湾:3社
イタリア:1社
インドの企業が最も多く、次に香港、中国が続きます。

★時価総額の大手3社

Comcast Corp(アメリカ):237,269億円The
Walt Disney Co(アメリカ):230,689億円
ソニーグループ(日本):165,391億円

トップ3社のうち2社はアメリカに所在し、1社は日本に所在しています。また、これら3社の時価総額は他の企業と比べて顕著に高いです。

★時価総額の分布

トップ3企業が圧倒的な時価総額を持っており、特に1位と2位の企業は200,000億円以上の大きな差を他の企業と持っています。
ランキング下位の企業は時価総額が非常に少なく、特にランキング75位以降の企業は時価総額が0または非常に少ないことが確認できます。

★業界の特性

上記の企業の多くがメディア、エンターテインメント、映画製作などの関連業界に所属していることが予想されます。これは特定の業界に関するランキングである可能性が高いです。


総括すると、このランキングは主にアジアとアメリカのエンターテインメントおよびメディア関連企業を対象としていると考えられます。時価総額のトップはアメリカの大手企業で占められている一方、リスト全体ではアジアの企業が多数を占めています。


★以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:Comcast Corp(アメリカ)

アメリカに拠点を持つ大手通信・メディア企業。NBC Universalを所有し、テレビ放送、映画制作、テーマパークなど多岐にわたるビジネスを展開。
メディア業界での広範囲な事業展開と強固な市場地位により、高い収益性を持つ。

2位:The Walt Disney Co(アメリカ)

世界的に有名なエンターテインメント企業。アニメーション、映画、テーマパーク、放送事業など多岐にわたる事業を展開。
ディズニーブランドの強さ、大ヒット作の継続的な制作、そしてテーマパークなどの多角的事業による安定した収益。

3位:ソニーグループ(日本)

電子製品、音楽、映画、ゲーム等の幅広い事業を展開する日本の多国籍企業。
PlayStationをはじめとするゲーム事業、Sony Picturesの映画事業、Sony Musicの音楽事業など、多岐にわたる強固な事業基盤がある。

4位:東宝(日本)

日本の大手映画会社。国内外の映画製作・配給を手掛ける。ゴジラや吉本興業との共同事業などが有名。
日本国内の映画市場での強いブランド力と、高品質な映画の継続的な制作・配給による。

5位:PPB Group Bhd(マレーシア)

マレーシアの多角的な事業を展開する企業。不動産、映画館、食品製造などの事業を展開。
映画館チェーンGolden Screen Cinemasを所有しており、マレーシアでの映画館市場でのリーダーシップを確立。多角的事業展開による安定収益。

このランキングから、特に上位に位置する企業は、多角的な事業展開、強固なブランド、および独自の市場ポジションを持っていることがわかります。これにより、それぞれの企業は安定した収益を上げ、高い時価総額を維持することができています。


★世界の映画製作・配給会社ランキング:時価総額TOP78リスト】

※対象となる映画製作・配給会社として「上場企業」かつ「映画製作・配給業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月27日)の株価および為替レートで算出


終わり

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