言えた。
僕には、高校生の時からの親友がいる。
卒業した今もたまに会ってくれる数少ない友達。
その一人が初めて僕が好きになった男の子だ。
以前の記事でも話題にしていた「Cくん」。
今さら付き合いたいとかは思っていないけれど、直接気持ちを伝えたことはなかったから、1%くらいの可能性にうっすら期待していた部分はあった。
そのCくんと、飲みに行くことになった。
(・・・嬉しすぎる!!)
会うまでずっとドキドキしていた。
眠れなかった。
(・・・いや結局まだ好きなんじゃん!!)
で、当日もまたCくんは可愛い顔して待ち合わせ場所に現れた。
大学の授業のこと、就活のこと、研究のこと、趣味のこと、将来のこと…
久しぶりに会って近況報告をしあった。
そんな中で、結婚の話が出た。
彼の口から初めて聞いた「結婚」という単語…。
ぐっと身構えてしまった。
「20代のうちに結婚して、子供もほしいなぁ」
とCくん。
・・・そうか、やっぱりそうか。
そうだよな。
そりゃそうか。
お店の中なのに、なんだか急に寒くなってきた気がして、体がブルブルと震え出してしまった。
案の定、
「そうすけは、将来何歳までに結婚したいとか考えてる?」
って聞かれた。
「そうだなぁ、あんまり考えたことないなぁ…笑」
あぁ…またそう曖昧に答えてしまった…。
(Cくんが早々と2杯目を飲み終えて、あまりに生き生きと結婚願望の話をするもんだから…)
でも、今日はなんか違った。
本当にその答えでいいの?という気持ちが強かった。
ただ、結局その場では言い出せなかった。
「もう一杯飲む…」
そう言って、僕も2杯目を注文した。
その後もしばらく話し込んで、そろそろお開きにしようかとなった。
お店を出てすぐ、外の冷たい空気が体に刺さった。
今しかないな・・・
一歩前を歩くCくんに、
「さっき結婚の話になったじゃん?」
と話しかける。
「それについて言っておきたいことがあるんだよねぇ…」
「え、なになに?」
「あの、、、女性に対してあんまり恋愛感情を抱かないというか…」
「だから何ってわけでもないんだけど…好きになるのが男の人なんだよ…ね…」
「…あーそうなんだ。そっか。」
「うん…。それもあって、結婚っていうのもあんまり考えたことなかったんだ。」
「なるほどね、だからか~」
「…ちょっと…引かれるかと思った。」
「別に引かないよ~」
「ほんと?」
「何とも思わないよ。」
「あ、でも俺、酔ったら結婚の話とかよくしちゃうから、またそんな話しちゃったらごめんよ!」
「別に、結婚の話はしてもいいって笑!また聞かせて。」
・・・言えた。
やっと言えた。
そして、ちゃんと聞いてくれた。
本当に、本当に緊張したけど、ちゃんと伝えられて良かった。
依然として冷たい風が吹きつけていた。
体が震えていたのは緊張なのか寒さなのか、もはやよくわからなかった。
別れ際に
「近いうちに、また会おうね。」
って言ってくれて、とりあえず僕は救われた。ほっとした。
帰り道、彼とのやりとりを振り返りながら、そういえばと気づく。
Cくん、生粋のノンケだったじゃん!
高校生の頃は女の子と付き合ってるのも見たことないし、好きな異性のタイプの話をしているのを聞いたこともなかったから…と思っていたけれど、「1%くらいの可能性」はなかったみたい笑。
それでもまあ、まだ実感できていない部分はあるけれど、ずっと言えていなかったことをやっと伝えられてほっとした、という気持ちが大きかった。
それになにより、僕の話をちゃんと聞いて、受け取ってくれたCくんに感謝です。
本当に本当にありがとう。
これからもよろしくね。
後日。
年は明け、Cくんから年賀状が届いた。
年々、年賀状をやり取りする相手は減っているけれど、Cくんは毎年欠かさず送ってくれる。
はがきには「昨年は一層仲良くなれたね。」と書いてあった。
どうやら今後も変わらず親友でいてくれるみたい。
嬉しい。
今まで、自分の性的指向について直接誰かに話したことはなかった。
カミングアウトは「してもしなくても良いもの」というのは前提として、僕は今回、Cくんに伝えられて良かったと思う。
結婚とかそういう話題になったから、相手がCくんだったから、言えただけかもしれないけれど、それを受け取ってくれた人がいるということは心強い。
改めて、そういう人とのつながりを大切にしたいと感じた。
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