ノグチソウ

物語の記録と日記。

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最近の記事

Netflixの大秘宝 2024/05/27

・2年ぶりくらいにNetflix(広告付きプラン…)に加入したので、新作や名作たちを巡るつもりだ。今回は、そのラインナップで気になる作品などを書き出してみる。 《これまでに見た作品》 『クイーンズ・ギャンビット』…チェスの世界で闘う少女・エリザベスの生き様を描くドラマ。冷戦の歴史に沿って進むので、世界を舞台にした壮大なチェスを観ている気分にもなる。アニャ・テイラー=ジョイは素晴らしい女優。 『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』…自閉症の弁護士が謎を解く韓国のミステリドラマ

    • 一階でも二階でもない夜 2024/05/25

      ・堀江敏幸の随筆集『一階でも二階でもない夜』を読了。回送電車と名付けられたシリーズの二作目で、2000年代初頭に雑誌掲載された散文たちが収められている。 ・「綺麗な文章を紡ぐ作家を挙げよ」と曖昧に問われたとき、私がすぐに浮かぶのは「堀江敏幸」の四文字だ。洗練された文章だと村上春樹、柔らかい文章だと吉本ばななを連想する。 ・やはりフランス語のリズムの美しさが反映されているからであろう、平易な文ではないのに非常に読みやすい。絵画にも精通しており、その視点で街や自然を描写すると

      • ミミズクと夜更かしの王 2024/05/20

        ・紅玉いづきの小説『ミミズクと夜の王』を読了。中学時代に読んでおきたかったライトノベル作品の一つ。 ・これこそ現代の童話だ、と思う。魔物や魔法に複雑な設定を持たせず、ただ切ない愛の物語を届けようとする作者の思いが伝わる。 ・以前友人と話しているときに、「世界観に合わせた文体を追求すること」の大切さが話題に上がった。この作品では、ミミズクが自分の感情をフクロウへ伝えようとする際に、その語彙の制約が切実さに繫がっている。 ・言葉の使い方が、使う人物を規定する。 ・それにし

        • ゲゲゲの謎 2024/05/12

          ・映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た! 劇場公開時に見に行くか迷った末、あまりに話題になりすぎて腰が引けてしまったのでAmazon Primeに来るのを待った。 ・凄く良かった! 『ゲゲゲの鬼太郎』を知らない人でも楽しめる前日譚として完璧だ。水木とゲゲ郎が最高のバディを結成したのが素晴らしい。悲しく酷な展開に満ちていたが、妖怪はソウイウセカイから生まれ出づるものだ。 ・「鬼太郎誕生」は記念すべき第一話の再解釈、リメイドになっている。いくつかの矛盾するような設定(目玉おや

        Netflixの大秘宝 2024/05/27

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        • 物語日記
          36本

        記事

          黒牢城 2024/05/10

          ・小説『黒牢城』を読んでる。直木賞受賞から2年、もはや米澤穂信ファンならみんな読み終えている作品に今更追いつくぜ…。 ・戦国推理小説は、類を見ない試み。これはアイデアを得た作家がいても、それを破綻しない形で書く技術が極めて高度だからだろう。推理の論理が歴史の整合性に潰されてはいけないし、歴史のロマンをくだらない謎で破壊してもいけない。 ・その点、この傑作には非の打ち所がない。黒田官兵衛がハンニバル・レクターのような不敵さを持つ軍師=名探偵として立ち回る。少しマイナーな荒木

          黒牢城 2024/05/10

          Staffer Case 2024/05/07

          ・ゲーム『Staffer Case:超能力推理アドベンチャー』が、とても面白い。DEMO版でCase.1&2は無料でプレイできるのだが、あまりに良いので今年中に買うつもり。 ・ミステリのゲームの醍醐味は、如何に第一印象で「なんだ、くだらないトリックじゃないか」と思わせられるか、だ。ダンガンロンパ然り、逆転裁判然り。 ・この『Staffer Case』も同じで、超能力を考慮しただけのトリックとして舐めてかかると、見事に騙されていたことが分かる。ゲームシステムの「六角推理」で

          Staffer Case 2024/05/07

          Coffee Talk 2024/05/06

          ・ゲーム『Coffee Talk Episode 2』をクリア(読了)! 1作目を昨年の夏に楽しんだので、ゴールデンウィークを使って一気にエンディングまで行った。 ・様々な種族がともに暮らすシアトルの不思議な空気には、いつも感心させられる。架空の新聞記事が何度も登場するのだが、「サキュバスに対する差別の撤廃を求める運動」みたいな見出しがあって、世界観に深みが出ている。 ・新キャラも多数登場。バンシーのリオナや、サテュロスのルーカス。SNS世代の話や、動画配信者の苦悩なども

          Coffee Talk 2024/05/06

          砂時計の数学 2024/05/05

          ・Youtubeサーフィンしていて、数学の解説動画で面白いものを見つけた。N角形(凹凸不問)の平面に警備員(点)を配置して、全域を見張れるようにするには何人必要かという問題。 ・答えはN/3人以下であり、証明は三角形分割。ちゃんと点を色分けするなどビジュアル的にわかりやすい動画で、なにより問題が魅力的だ。ソファ問題みたいに、身近な状況で想像できるのがよい。 ・この「えびまラボ」は、数学と競技プログラミングの教養をゆっくり解説する物好きなチャンネルなのだが、中でも数学の問題

          砂時計の数学 2024/05/05

          凡百英雄伝 2024/05/03

          ・ゲーム『百英雄伝』をプレイしている。ゴールデンウィークに丁度良い大作。『幻想水滸伝』のリメイクが出るのに待ちくたびれたので、姉妹作に手を出したわけだ。 ・百人のキャラが仲間になるという事前情報のみで始めたら、ある事実を見落としていたのに気づいた。つまり、百人分の登場シーンが当然用意されているので、それに応じてストーリーが尋常ではない長さに引き延ばされている。 ・あと、人数が多いと誰に何を装備したかを忘れて困る。この作品ではルーンという能力付与のシステムで戦略を練るので、

          凡百英雄伝 2024/05/03

          暗号学園のいろは 2024/05/02

          ・漫画『暗号学園のいろは』の最終7巻が発売された。予約してあったので、すぐに読んだ。これにて読了! ・暗号(謎解き)については、中盤のクラス対抗戦あたりの品質が高かったと感じる。西尾維新はキャラたちを魅力的に見せるために謎を用意しているので、新キャラが登場する回ほど洗練された造りになるのだな。 ・『物語シリーズ』では羽川翼が戦争調停人となる道を選んだが、あまりに抽象的な偉業や思想しか描かれなかったのは少々不満に思っていた。今作では、戦争解決の方法論までは広がらなかったけれ

          暗号学園のいろは 2024/05/02

          NOT SO PERFECT DAYS 2024/05/01

          ・映画『PERFECT DAYS』を烏丸のミニシアターで観てきた。母親や親友が絶賛していたし、海外での評価も高かったと聞いて。 ・良い映画でした! 劇場から出た後に、天を仰ぎたくなる作品。無口な主人公を役所広司が演じると、その表情や仕草の雄弁さが際立つ。柄本時生が生意気な青年に一番似合っていた。石川さゆりもスナックで歌っていたし、豪華なキャスト陣だった。 ・かつて大都会のシンボルであった東京タワーではなく、新しい時代の象徴としてスカイツリーが常に背後を飾っていたのが印象的

          NOT SO PERFECT DAYS 2024/05/01

          エンドブルー 2024/04/24

          ・入間人間『エンドブルー』を読了。 ・過去作の『クロクロクロック』の後日談だった。まさか、岩谷カナと新城雅がゴールインするなんて誰も予想しなかったに違いない。 ・入間人間が、百合作家としての地位を固めたのは凄いことだと思う。猟奇とシュールを突き詰めたライトノベル群でファン層が作られて、『安達としまむら』から淡い世界観へと文体を変えずにシフトしていった。 ・入間人間の描くミステリが読みたい気持ちは消えないが、ちゃんとガールズラブが面白いので、別にいいやとも思う。特に、今回

          エンドブルー 2024/04/24

          Fallout 2024/04/22

          ・Amazonプライムで、ドラマ『Fallout』を観てる。大人気ゲームシリーズ原作だが、実は未プレイなので全く内容を知らなかった。 ・世紀末の冒険譚という点は、『北斗の拳』に似ている。群像劇なのが好みで、かなり序盤で役者が揃った感じがする。博士、軍人、旅する女、賞金稼ぎ、犬……。 ・ゲームが続くからには、「世界を救う」「世界が滅ぶ」という単調な終わり方にはならないだろう。凄惨にキャラたちが散っていくさまを楽しむ羽目にもなるかも。 ・面白かったら、ゲームも試したい。  

          Fallout 2024/04/22

          強要としてのお金とアート 2024/04/20

          ・『教養としてのお金とアート』(田中靖浩、山本豊津) を読んだ。世界史を芸術学と経済学から見るような対談本。2つの視点を、きちんと同量のバランスを保ったまま語っているのが良い。 ・「芸術」の概念の歴史は200年もなく浅い、というのは改めて驚くべきことだ。同時に、経済は古くからあるにしては極めて地道な発展を続けている。日本はどちらに対しても保守的にならざるを得ない背景を持つ。 ・日本でオークション文化が広まるには、富裕層や著名人の動向が重要になる。誰が何を買ったかについての

          強要としてのお金とアート 2024/04/20

          すかいりむ 2024/04/19

          ・ゲーム『The Elder Scrolls V: Skyrim』をプレイしている。世界観が壮大かつ壮絶。プレイヤーは、好きな人生を歩むことができる。 ・宝探しに行ったり、奇妙な組織に所属したり、修行して強い魔法や武器を手に入れたり。ただし、あちこちで魔物や盗賊に襲われるので度々死にまくる。 ・今、ついに竜が現れて、自警団とともに討伐に挑んでいるのだが、あまりの強さに理不尽すら感じている。未熟で魔法をほぼ覚えていないので空を飛ぶ敵を剣で倒すしか無い……。無謀の極み。 ・

          すかいりむ 2024/04/19

          気に食わない自分の話。 2024/04/18

          ・ジャンプ+の読み切り『気に食わない女の話。』を読んだ。友人から認知症についての話題が出たときに薦められた作品。介護施設でおばあちゃんの優しい思いが綴られる漫画だ。 ・これは時系列が特殊な例だったが、「認知症を使ったミステリやトリック」は面白いアイデアになるかもしれない、と友人が教えてくれた。叙述トリックとしては弱いが、介護施設での謎解きというのも見たことのない舞台設定だな。 ・かくいう私の祖母も最近、八十代後半を迎えて重度の認知症の症状が見られる。数年前までは記憶力も健

          気に食わない自分の話。 2024/04/18