一階でも二階でもない夜 2024/05/25
・堀江敏幸の随筆集『一階でも二階でもない夜』を読了。回送電車と名付けられたシリーズの二作目で、2000年代初頭に雑誌掲載された散文たちが収められている。
・「綺麗な文章を紡ぐ作家を挙げよ」と曖昧に問われたとき、私がすぐに浮かぶのは「堀江敏幸」の四文字だ。洗練された文章だと村上春樹、柔らかい文章だと吉本ばななを連想する。
・やはりフランス語のリズムの美しさが反映されているからであろう、平易な文ではないのに非常に読みやすい。絵画にも精通しており、その視点で街や自然を描写すると