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自作本ができるまで⑥ 製本

「印刷後に、もうどきどきすることはない。製本は致命的なミスがない。ゆっくりできるよ」と中川さんが言った。

朝10時、ニュー・カラーを訪ねて、252枚の紙を折る。

折りはじめたばかりで、加藤さんに「大丈夫?」と聞かれた。

「はい。大丈夫です!」そして、彼は壁の向こうの編集室に消えた。

数分後、加藤さんが現れ、「手で折るの?折り機があるよ」と言った。

「えーど。中川さんがこのように折ると言われましたが…」加藤さんの姿はまた消えた。そして、親指の腹が痛み始めた。あと、210ページ程ある。

しばらく後、加藤さんは私の右側の印刷機の上に何かを探しにきて、「これを使えば」と平べったい棒と渡してくれた。

「ありがとうございます」。わぁぁ。なにこれ。ぴっちりと折れるやん。魔法的な棒だ(専門用語:へら)。折った部分をへらでなぞる。

後日に、中川さんに聞いたら、今回の製本は、一枚一枚は違うずれがあるから、手で折った方が良い。

静かな単純作業。イヤホンをつけて、後日の試験内容を聞こう。一枚一枚、印刷された写真とテキストを見えて、思い出が一気に蘇られ、流れてきた音源は全く頭に入れなかった。イヤホンを取り出して、静かに折り始めた。自分の感情と直球に向き合おう。わぁぁ。私はいくらだめにしても、これらの体験、彼らの言葉はずっと私の後押しだった。なぜか、涙が止まらなかった。壁の反対側にいる加藤さんにバレないように、こっそりとトイレに移動。気持ちを抑えた後、延々と続く紙を折る作業とともに少しずつ落ち込んでいた。(お腹が空いたと思う…)

朝10時から休憩せずに、午後4時にできた。

折丁を作る
本の雰囲気が出てきた!

一冊分を家に持って帰った。なんか、色は薄い感じがする。紙は少し白すぎるかも。

その後、テリーさんの国分寺にある作曲のワークショップに向かった。家に戻ったら、ちょっと待って、1枚目のページ数が合わない… リソグラフの向きが間違った!

土曜日10時
まず、向きが間違えた1枚目をレーザーで印刷した。そして、束のトンボに合わせてカッターナイフで切ってから断裁機で切る。

一冊の本は14の紙の束でできている。断裁機に、一回は2〜3束を入れる。それより多くなると、ずれやすい。細かく本の長さを設定して、ブロックで真っ直ぐであるかを確認。紙がはまるまでにハンドルを回す。

蓋を閉める。両手で緑のボタンを紙が断裁されるまで押し続ける。
そして、本の幅も同じく繰り返す。

昨日、本の味が薄いと思ったら、白の余白を断裁すると、形が違うように見えてきた!!楽しくなってきた。

いよいよ製本

目引きをする。糸を通すために、穴をつつく。なぜかこの作業は好き。
1束に4つの穴。一冊ごとに、64個の穴。
定規を使って、へらで折り目の印をつける。
三角形を切った方が、折りやすい。
束の1ページ目と表紙をのりでつける
糸は太口の方は、切れにくいけど、この本のページ数を踏まえて、
糸が太い場合、本は厚すぎになるので、今回、使う糸は細口。
一冊の本に、2条130cmの糸を切る。蝋燭に通した方が糸が絡まりにくい。
糸を針の穴に通したら、糸を少し緩めて糸の間にある穴に針を通す。
それを2回行う。反対側も繰り返す。
綴じている時、常に紙を強く押した方が、しっかりした本になる。
紙がずれないように、重しを使うべき。
初めての本ができた!!!
(が、ゆる過ぎて、バラにしてもう一回製本した。)
二冊目いはぎゅぎゅする。

次は本を渡しに行く!


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