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Vol.007 授業が上達する一番の方法 〜ひよこクラブの基本精神《4 ベテランにはできないことをやれ 》 について〜

 今まで数回にわたって、下に書いてある事項について説明してきました。どれも当たり前のことですが、意外にできないことです。でもとても大切なことです。

①必ずチャイムと同時に授業開始する。
②毎休み時間に教室に行って生徒とおしゃべりする。
③毎朝、早めに教室前やフロアに立って生徒に「おはよう」する。
④がんがん授業見学する。
⑤HR見学する。
⑥いろんな授業法を試してみる。
⑦何でもばしばし動く。
⑧授業やHRの始業と終業の挨拶は、必ず全身を生徒に見せて行う。
⑨毎回、必ずフルネームで生徒の出席を取る。
⑩問いかけ以外は「わかりやすさ」が大切。

 今回は、この中の

 ④がんがん授業見学する。
 ⑤HR見学する。

についてです。

 今回のタイトルは「授業が上達する一番の方法」です。ただ、授業やHRの見学は、たしかに上達する有効な方法ですが、一番ではありません。別にあります。それは後ほどみなさんに提案します。

 では、見学について。

《より効果的な見学方法》

 HRや授業見学の際、みなさんはどこに注目しますか?    

 授業者の板書事項
 ジェスチャーや表情
 声量や声の抑揚
 解説の内容や言い回し
 発問のタイミングと発問内容
 視線
 姿勢

と、まあ挙げたらきりがありません。でもみなさん、上記の観点に、肝心なところが抜けていることにお気づきでしょうか? それは

生徒の様子

です。
 わかっていました? それ知ってた、だったら上々です。
 「◯◯先生の授業を見学する」ことは、その授業者のノウハウを見学することではありませんよ。
 「◯◯先生の授業を受ける生徒の様子を見学する」ことです。どちらかというと授業者のノウハウやテクニックなんか、そんなもんみなさんご自身が経験を積んでいけば身についていきます。見学しないと得られないものは、授業者の授業法ではなく、授業を受ける生徒の様子です。

 授業者のどういう発問や言い回しで生徒の表情や取り組みが変化するか、を意識して見学してみてください。そして一番肝心な点は、生徒が楽しそうにしているか、なぜ楽しそうにしているか、なぜつまらなそうにしているか、これを考えてください。

 それはもちろん、授業者との関係性を考えることに他ならないのですが、生徒とどういう関係性を結ぶことが理想的なのか、これを考えずして教員は務まりません。昭和の部活の鬼顧問のようにただひたすら「厳しさ」という名の抑圧者と被抑圧者の関係がいいのか、逆に「生徒に寄り添う」という標語を掲げ、ショップの店員とお客サマのような、サービスの提供者と享受者の関係がいいのか。
 これらは極端な例ですが、自分自身も含めた多くの教員は微妙な関係性を生徒ととり結んでいます。見学をたくさんして、授業者と生徒の微妙な関係性をサンプリングしていくのです。これはめちゃくちゃ参考になります。繰り返しますが、ノウハウやハウツーはどうでもよろしい。ですから抑圧型や迎合型の教員のHRや授業や部活を見学してもなんの参考にもなりません。

《授業が上達する一番の方法》

 冒頭のところで触れました、「授業が上達する一番の方法」ですが、この方法は言われてみたら何のことはない方法で、しかも困難さが伴うわけでもなく、たやすいことです。でも実践し続けている人を私は知りません。私自身も無理です。それはどんな方法かと言うと、

 毎回の自分の実際の授業を、後ろから撮影して、毎日見続けること

です。

 何事も上達するには自分自身の姿を客観的に見ることが必要です。他の人に見てもらって感想をもらうこともありですが、見学者のコメントにはバイアスがかかっていますし、見学者の見学姿勢や、授業者との関係性次第でまるっきり変わります。
 ところが撮影されたものは、ありのままを映してくれるので、どれだけ目を背けたくても、どれだけ耳を塞ぎたくても、「まあよかったよ」とは言い直してくれません。自分の発音がいかに聞き取りにくいか、話す速度が速すぎるか、いいところで話を脱線させているか、立ち居振る舞いが醜く貧相か、ものの見事に再現してくれます。

 改善点は一目瞭然です。この姿を毎日見続けて、翌日の授業に活かすつもりでがんばって、またその様子を撮影してチェックする。これを繰り返すことができれば、そりゃ授業は上達するってもんです。

 でもみんなできません。だって自分にとって、自分の声ほど恥ずかしいものはないし、自分の姿勢やノリほどみっともないものはないからです。もしみなさんの中でこれを実践して平気で見られる人がいたら、成長は見込めません。また、平気どころかうっとりする人は病的なナルシストです。

 授業・HR見学は、人のを見たり人に見てもらうことだけを指すのではないということも頭の片隅に置いておいてもらえたら幸いです。

 というわけで、授業・HR見学をがんがんやってください。

最後まで読んでくださってありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

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