無学の教育者 八重子おばさんの想い出 #1

 こういうことがあった。
 母が病院通いを始めて入退院を繰り返し始めたのが小一か小二の頃だったろうか。
 八重子おばさんは住み込みのお手伝いさんで、母親代わりだった。
 ある日、僕は八重子おばさんが預かっている家の財布からこっそりお金を盗んだ。
 当時流通していた五百円札を数枚、多分けっこうな金額だったと思う。しかもそれが初めてではなかった。何度目だったかは覚えていないが、財布からお金を盗むことがクセになり始めていた。


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