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結婚できる「権利」が欲しかった

「結婚しよう」

この言葉で何度も傷ついた。
この言葉で何度も涙を流した。

最近、周りで結婚する人が増えてきて、感じることがあったので、今日は、私にとっての「結婚」をちゃんと考えてみようと思う。

先に言っとくと、このNoteは、結婚している人を批判したりするものではない。自分も結婚した親から生まれてきたしね。結婚した周りのみんなは、本当におめでたいし、こちらも幸せを分けてもらっている気分になる。
みんな、ありがとう。笑



結婚について考える


私は24歳で性別転換をし、女性から男性へ性別を変えた。だから24歳までは、女性として暮らしていた。女性として生きていた時から、恋愛対象は女性だったし、基本的に付き合ってきたのも女性だ。

今になって思うが、自分から結婚の話題を出したことはなかった。女性だった頃の自分は、好きな人とすんなり結婚できる権利を持っていなかったから。

よく相手に「結婚したい」と言われていた。
(あの、若い頃ありそうなやつですよ、、、笑)

若い頃の恋愛だったから、相手がどこまで本気で結婚を考えていたかは分からない。そりゃ好きで一緒にいたから、「結婚したい」という言葉は嬉しくないわけじゃなかった。

でもその一方で、苦しかった。

その時は、自分の気持ちをちゃんと理解できていなかった気はするが、嬉しいはずの言葉を言われて、隠れて泣いた。好きの最上級であろう気持ち、ずっと一緒にいたいという気持ちを、「結婚」という言葉で伝えられる。

ありがたい。
でも女性だった私にとって、結婚するということは、
「手術をして、ホルモンを打って、戸籍上の性別を変える」という前提条件があった。この長い長いプロセスを踏まないと結婚まで辿り着けなかった。だから、結婚しようという言葉の裏に、「性別を変えてくれ」という、そんなお願いにも聞こえた。

なぜみんなは、結婚したいと思ったら、いつでもできるんだ?
なぜ自分はそんな大変なプロセスを踏まないと、社会的に認められる結婚ができないんだ?

そんな葛藤や悔しさが入り混じって、泣いていたんだと思う。
その多大なるプロセスを全部吹っ飛ばして、結婚しようなんて軽々しく言うな。とさえ思っていた気がする。

性別を変えたきっかけや理由は色々あるが、1つは結婚できる権利が欲しかったというものがあるだろう。

結婚したい/したくない、を考える前に、ただ選択肢が欲しかったんだなって、今になって思う。


結婚制度は今どうなってる?

今、世界では36の国が、同性同士が結婚できるという法律を認めている。そんな中、日本の法律はいまだ戸籍上の男女でしか結婚はできない。※パートナーシップ制度というものもあるが、結婚と同等の権利は得られない。

だから、今現在もこの国では、好きな人と法律的に結婚できない人がたくさんいる。片方の身に何かあったら、付き添えない。相続することもできない。2人で子供を育てていても、2人が親権者になることはできない。

※パートナーシップ制度とは
「パートナーシップ制度」は、同性同士の婚姻が法的に認められていない日本で、自治体が独自にLGBTQカップルに対して「結婚に相当する関係」とする証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度。

みんなのパートナーシップ制度事務局


自分のあり方は自分で決める


そして今、私は性別を変えて、やっと好きな人と「結婚する」という選択肢がある。それは嬉しいことだし、ありがたいなぁと思う。

と同時に、「あぁ、また社会の決めたルールに合わせにいったんだな」と、苛立ちも覚える。なんか”認めてもらった感”。

だから自分のあり方、自分とパートナーのあり方・形は自分たちで決める。
「周りが結婚したから焦る」とか、「親のために結婚する」ではなく、
形に捉われず、生きていけたらいいなと思っている。


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