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ファッションフレグランスの進化、ニッチとの関係

香りとファッション、これらは時折美しく交わり、新たな感覚を生み出す魔法の要素と言える。ファッションフレグランスは、その名の通り、香水とファッションが見事に融合する美の表現である。

これらの香水は、ブランドの心臓部から派生し、アイコンとしての存在感を放つ。ファッションフレグランスは、ブランドの独自のスタイルやコンセプトを瓶詰めにし、香りの中にブランドのアイデンティティを宿すのが使命である。都会的で洗練されたブランドは、その特有の雰囲気を香りに込め、それを世界中に広める。

そして、デザインとパッケージ。これはまさに視覚的なポエジーであり、香りを保持するボトルは洗練されたアートの一部となる。デザイナーたちが手掛けるボトルは、まるで香りの中に宿る精緻なアートピースであり、それが香水を身にまとう魅力の一端となる。

マーケティングと広告の舞台裏もまた興味深い。セレブリティの参加や感動的な広告キャンペーンは、香水をあたかもファッションの一部として捉え、その魅力を際立たせている。香水はここにおいて、単なる香り以上のものとなり、ファッショナブルなアクセサリーとして私たちの生活に溶け込んでいるのである。

 そんなブランドの数々も、それぞれのクリエイションにテコ入れをし、権威のある調香師をブランド専属にしたり、専用のガーデンを香水の聖地グラースに構えるなど、より上質な香水作りを目指した取り組みがここ5年で目立った。これは、前回の記事で触れたニッチフレグランスの登場とともに加速されたようだ。

以下に、きっとこれまでに耳にしたことのあるブランドについて記載する。

グッチ(Gucci) - イタリア

その香水ラインも独自の存在感を放つ。彼らの香りは洗練されたデザインと贅沢な素材が組み合わさり、ブランドのエレガンスを象徴している。

シャネル(Chanel) - フランス

シャネルはフランスの伝統的なメゾンフレグランスで、特に「シャネル No.5」はその代表作として有名。数十年にわたりレシピを守り続けており(法の改正により修正はあるが、限りなくかつてのものを目指して制作されている)世代を問わず信頼が厚い。シャネルの香りは常に洗練された芸術性と女性らしさを追求し、ファッションと同様に高い評価を得ている。

ディオール(Dior) - フランス

ディオールはフランスのラグジュアリーブランドで、その香水ラインも国際的に愛されています。「ミス ディオール(Miss Dior)」など、彼らの香りは優雅で独自の世界観を持つ。また、フレグランス“ジャドール ロー”の製作舞台裏を記録したドキュメンタリー映画「インサイド・ザ・ドリーム」は、まさにメゾンの舞台裏、香水のクリエイションを描いた大作だ。

トム フォード(Tom Ford) - アメリカ

トム フォードはアメリカ出身のデザイナーで、彼のメゾンフレグランスは大胆でセンシュアルな香りが特徴的。「ブラック オーキッド(Black Orchid)」などは、彼の個性的なアプローチが反映されている。チェリーにまつわる香り、ピーチにまつわる香りが数々リリースされており、鮮烈な情景の描写に魅了される人も少なくない。

エルメス(Hermès) - フランス

エルメスはフランスのラグジュアリーブランドで、彼らの香りは上質な素材と優れたクラフトマンシップが際立つ。巨匠ジャン=クロード=エレナを専属調香師として迎えたのちにリリースした“庭シリーズ”は、ファンも多く、エルメスのフレグランスの印象を大きくアップデートさせた。「テール ダーメス(Hermès)」や「ジャルダン シュル ラ ニル(Jardin sur le Nil)」などがその代表作。
 
一人の調香師が、ニッチフレグランスとファッションフレグランスの両方のクリエイションにかかわることも多々あり、その香りの境界は交わりつつあるが、それらの成り立ちやスタイルは確固たるものであり、深堀する中でご自身の思いと重なる部分も出てくるかもしれない。

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