Pー業界の酒のつまみになる話し【第四話】電話帳の価値は

実はこれが一番書きたかった話です。

電話帳の価値について。昨今必要性が無くなってきた電話帳だが、その時もスマホは持っていたし、店舗の電話にも番号登録は出来た。

それでも、この会社では店舗毎に大切に電話帳を保管していた。金庫の中で。

その電話帳は金庫の中にさらに鍵をかけて保存していた。
私も入社して金庫の取り扱いが出来る様になって気にはなっていたが、藪蛇なので聞く事は無かった。
蛇くらいで済めば良いが悪魔でも潜んでいそうで触る事さえしなかったが、その中身が電話帳だと知っているという事は、私にもその電話帳を任される日が来たからだった。

別の話しにはなるのだけど、ある日突然にAさんが飛んだ。

Aさんに関しては過去の話で軽く触れているがまた別の話しで書きたいと思う。

そうなるとすぐには身内の方が店舗で勤めるのは難しく、私に白羽の矢が立った。
伝承によると白羽の矢は生贄の家に神が立てるらしい。

この会社の神。社長が私に直で矢を刺したんだと今から思えばそう感じるが、その時は全幅の信頼を得たと思い浮かれていたので不思議なものだ。

その時に金の管理と合わせて情報の管理も任される事になった。

この店舗の古株はある日突然消えた、社長の身内のAさん。主任。そしてお世話になりっぱなしの事務員さん。
この電話帳に関しては主任も事務員も中身は見れない。

そこには取引先など通常の連絡先と社長のプライベートの連絡先が記載していて、ここまでであれば通常の電話帳なのだけれど、備考欄がヤバすぎた。

ドラマだったりすればここでCMが入るのだろうけれど、このまま書き続ける。

女性の名前の横に店名やLINEID、源氏名までは理解の範疇だったが来店日時や台番号、そして設定が書かれていた。それも1→6や3→6など、通常使う予定だった設定を無理矢理6に変えている。
そしてそれによって出た枚数を額に置き換えて記載している。

後ろのページには【接待費】と書かれて日毎、月毎に記載されており、毎月数百万の接待費が計上されていた。
当然6にして全て出る事は無い。
むしろ6の勝率など7割が良いところだ。
それでもこの電話帳と言うよりは帳簿に近いリストは10割の勝率になっていた。

聞けば出なければ別日で出るまで同じ方に提供すると言う事だった。

リストの中には三〇さんや他メーカーの方の名前や警察の方や政治家の方の名前があった。
当然そんな方は直接打ちに来る事は無い。
そんな方の誰が代理で来るのかまで細かく書かれていた。

これを世に出さない為に私は殺されるかもと思って怯えていた時期もあったが、こんな話し誰も信じないと思うから今となっては笑い話だ。

それでもその“電話帳”の取り扱いは細心の注意を払った。

絶対に誰にも見られる訳にはいかない。

だったらそんなもの無くせば良いと思うかも知れないが、これが無いと私が自由に設定を扱い第三者に打たせる事が出来てしまうし、過去にそうやって、社長もやってるでしょ?と言い放った強靭な精神の持ち主がいたらしい。

この理不尽なパワープレイが横行している会社にも監査機能はある。

それは当然身内の方で固められており、社長の裏の動きに合わせた監査を行う。
その為にこの“電話帳”が必要であり、それ以外で不審な設定や情報漏洩が無いかを監視している。

監査の際に多少の金額の誤差は免除される。
プラスが多ければ持ち帰り、マイナスがあれば私が実費で負担をする。
負担に関しては苦にはならない。
それだけ別で金銭を受け取っていたから。

それよりも何よりも社長の逆鱗に触れる事が、6が社長の指示通りに使われていない時だ。
私は6の打ちこぼしなど無かったが、それをやらかした方は身内の方でも酷い扱いを受けるらしい。
身内以外でこの“電話帳”の存在を知っているのはごく僅か。
私が知ってしまったのもAさんが突然消えて、その翌日が大切な日だったからという数奇的な運命によるものだった。

社長としても気が気では無い。
その設定でどれだけの恩恵を受けているか考えるだけでも恐ろしい。

時々話題に上がるのが、設定漏洩店舗の話だ。

私がいた店舗も話題に上がっていた。
当然だ。
やっているのだから。

火消しの為に寝ずにSNS攻撃などもやった。
別の話題を盛り上げたり、掲示板を無駄に埋め尽くしたり。
それでも話題は完全には消えない。

やっているのだから。

軍団と呼ばれる人達には3種類あると思う。

プロの集団
通った後には期待値は残らないと言われる徹底的なプロ集団。
若い頃には憧れたものだった。

資金潤沢な集団
資本社会において資金は絶対的な力だ。
10万負けても100万負けても200万回収すれば良いのだから。
その他にも、店舗から資金を貰って回す人達もいる。サクラと呼ぶ事もあるが深くは掘り下げない。

情報漏洩集団
その名の通り。
特に自身で打ちに来れない様な人達が抱えている事が多いと思う。
この中で打ち子をやっていた事もあるからよく分かる。
その情報どこから?と思う事や、その抽選番号どうやって仕入れたの?と思う事。

その中で単身勝負を挑み続ける事は本当に厳しい事だと思う。
遊びで打つのであればそれでも十分だが、その中で確実に勝ちたいのであれば五感を研ぎ澄ませて第六感を駆使して立ち回るしかない。

だからこそ、この業界が少しでもクリーンになる事を願う。
その為に監査に力を入れている企業様には無償で不正に関する情報提供をするのでDM待っています。

客目線で不正が、漏洩があるかの判断に役立つのが【本社への直通窓口の有無】です。

もし普段行く店舗に“それ”が無いのであれば一つの判断基準にして頂ければ幸いです。

※この話はフィクションだと締め括る

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