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「筋膜リリース」なんかありえないという話

ケアグッズのトレンドで殿堂入りして衰える様子のない「筋膜リリース」グッズ。「筋膜リリース」という言葉はすごくキャッチーで一般にも広く浸透しているため、いまさら認識を変えるのはむずかしいかもしれませんが実は筋膜がリリースされるなんていうことはいわゆる「筋膜リリース」の手法ではありえません

広告宣伝やPRのために物事を大げさに伝えたり、過激な表現を用いる発信側の気持ちも理解できますが、私個人としてはそれはしたくありません。ミスリードを誘うような表現も同様です。私なりの筋肉への倫理観と道徳心でしょうか。

明らかに間違ってたり、倫理的に問題ある表現やクリエイティブをたまに見かけると、炎上でもさせるべきなのか葛藤するんですが、そもそも人を叩くのもあまり好きではありません。自分が被害にあったわけでも無いのに文句を言ったり、叩く必要はありませんよね。。。そんなわけで手応えのあまり無い情報発信続けてます。

筋膜はリリースされないが「筋膜リリース」の手法には効果がある

「筋膜リリース」という言葉はまさにこの「ミスリードを誘う表現」に該当します。

「筋膜」は皮膚の表面から押したり揺らしたりする程度ではどうにかなるものではないと多くの専門家も指摘していますし、私もそうだと認識しています。腰痛治療のゴッドハンドと呼ばれるケンヤマモト先生(知人で一緒に旅行に行ったりお話させてもらう機会もあります)は献体(ホルマリン漬けじゃない生献体)解剖の立ち会いをしまくっている方ですが、筋膜の硬さについて「皮膚表面から押したり揺らす程度でどうにかなるものではない」と仰っていました。

ここが物事を分かりにくくしているポイントでもあるのですが、筋膜はリリースされるわけではないが、「筋膜リリース」と呼ばれている手法で体感(≒効果)があるのは事実です。

「筋膜リリース」という表現は間違ってるけれど、そこで用いられる手法にははっきり有用な効果があるということです。

たとえば足裏をゴルフボールなんかでコロコロすると柔軟性が向上したり何かしらの変化は起きるわけです。しかし、ここでアプローチしているのは「筋膜」ではありません、誤解を招く表現は専門家としては望ましくない。一体何が起きてるんでしょうか。

起きているのはファシアのコンディション改善

先程の効果はファシアと呼ばれるものへアプローチし、そこでの変化(コンディション改善)が体感として現れているのが実際です。そしてこのファシアの和訳を「筋膜」とするものが多いために「筋膜リリース」という誤解を生むような表現が出てきてしまったのではないかと私は思います。

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