ボードゲームを考える②:キャット・イン・ザ・ボックス(Cat in the box)
はじめに
※この投稿はボードゲームに対する理解と解釈、頭の整理などを私なりに行い、いつの日かのボードゲーム製作に繋げるためにやっています。そのため、あくまでも私の感覚であり、既プレイ、未プレイを含め、想像的部分も多々あることをご了承ください。
ボードゲームを考える②
今回、キャット・イン・ザ・ボックスについて考えたいと思います。
キャット・イン・ザ・ボックス(Cat in the box)
※「ホビージャパンさんのサイトによる原文まま」
被験体は, 外部から観測不可能な箱型の空間に一個体ごとに収容してください. 実験時を除き, 複数の個体が同じ空間内に存在したり, 毛色が観測・記録したりされないよう厳重に管理してください.
毛色の確認がされていない猫です. 目視などの方法によって個体の毛色が観測された場合, 毛色は厳格な唯一性を維持しつつ, 量子的に収束します. 同程度の体格かつ同じ毛色の個体は決して存在しません.
キャット・イン・ザ・ボックスとは「操られ人形館」さんから販売されたトリックテイキングゲームであり、BGGや海外のアナログイベントにて高い評価を受けている作品でもあります。
現在はホビージャパンさんから新装版として、より遊びやすい仕様へとグレードアップしたものが販売されています。
※トリックテイキングゲームとは
勝敗を決めるミニゲーム(トリック)を行い、勝利数を競い合うこと。
勝つことをトリックを取る(テイク)から「トリックテイキング」。
※BGGとは
正式名をBoard Game Geek(ボードゲームギ―ク)という。
ボードゲーム愛好者のためのインターネットサイト。
ゲームのルール
※基本的にはトリックテイキングゲームを参照。
(詳しくは調べてください)
本ゲームのカードには数字しか書かれておらず、色やマークといったものは無し。では、どうやってゲーム(トリック)をするのか?
それは、カードが場に出たときに初めて色が確定します。
例として、手札に数字1のカードがあったとき、手札内にあるかぎりそれは「ただの数字1のカード」。それが自身の色宣言…仮に「赤」として場に出されたら、その瞬間そのカードは「赤色の数字1のカード」になります。
何をいっているのか分からなくなりそうだが、手札にある数字カードは場に出されるまで、ありとあらゆる色の数字カードである「可能性」があり、場に出た瞬間にその色が確定していくということ。
そして、色の確定と同時にその色の数字カードは発見(確認)されるため、以後その選択肢は無くなる。というのも前提として各数字に割り振られている色は各1色ずつなので、数字カードの色が確定されるたびにその色の可能性は無くなっていく。
例として、赤色の数字1のカードが出された場合、ほかにある数字1のカードは赤色以外になるということ。
このルールに、マストフォローというスタートプレイヤーが出した色と同じ色を出さねばならないシステムが加わり、矛盾がないように手札のカードを出しあっていくのがこのゲーム。
自分の中に落とし込む
色は無い。でも色はある。そんな不可思議な表現。シュレーディンガーの猫を題材に、こんなにも不思議なゲームがあるんだと同時にありそうでなかったもの…正確にはあるのかもしれないけれど、こんなにもきれいに、ストレートに表現されているかたちなのがすごいというか、感じるものがある。
この「観測されるまであらゆる可能性がある」というのをきれいに落とし込み、且つ複雑にならないままシンプルなゲームにまとめあげられていることに、私の言葉は追いつかない。
それぐらい衝撃的な感覚であり、いま思い出しても感銘を受ける。
もちろん複雑なものの良さもあり、その緻密に計算された美しさには感動することもあるが、こうも単純に、それも色を無くして後で色を決めるという発想そのものが、こんなにも心動かす。
詰め込むのも省くのも、その濃密さは比較するものでなくどちらもすごい。
正直、自分の中に落とし込むとは言ったものの落とし込むとかではなく、出会えたことに、その生まれた作品に触れられる機会があったことに感謝。
おわりに
私が購入したのはホビージャパンさんの新装版で、以前から存在そのものは知っていたものの、タイミング的なものもあって今に至ります。
私がボードゲームを購入する基準として、ゲームが面白そうかどうかよりも、そのシステムや背景(テーマ)、アートワークなど自身が気に入った作品を購入している気がします。
なので1人では遊べない作品も多々あり、今回のキャット・イン・ザ・ボックスも実はまだ遊べていません。
それでも、この作品のルールやシステム、猫のイラストなど眺めているだけでも満足感があり、猫のイラストにかぎっては飾ってもいいと思うぐらい可愛いものです。
前回のSCOUT!(スカウト)が思考的な経験だとしたら、今回のキャット・イン・ザ・ボックスは感覚的な経験。
どちらも私にとって感銘を受けた作品に変わりなく、この先(これから)もいろんな作品に触れていきたいものです。
「キャット・イン・ザ・ボックス」
興味があればぜひ手にとって見てください!パラドックスを感じつつも矛盾に追い込まれる不思議な感覚を味わってみてはいかが?