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さっくり

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検証、考察、まとめなど、中の文章を読み飛ばしても内容把握に差し支えないもの。 また、小説は掌編以下が目安。
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記事一覧

素っ気ない君

「別にね、好きで素っ気なくしてるわけじゃないんだよ。あいつとは気も話も合うし、二人で居るのも嫌じゃない。でもさ、私の気持ちを先回りして優しくされるとぞわぞわってして。それが何か負けた気がして悔しくて」 「だってさ?」 「……」 「は? えっ?」 「二人共、顔真っ赤。これはお熱いこと」

星に願いを、月より祈りを

「こっちは満月が見事に真っ赤!」 「……こっちは周囲がすっかり赤くて新地球が青暗く見えます」 「皆既月食と皆既日食を同時に見てるなんて不思議な感じ」 「……今僕が目にしているこの光景をいつか二人で見られたら、その時には貴女に伝えたいことがあります」 「いいよ? 分かった。何だろうな」

地球《テラ》で来た

「地球は青かった」 「習ったよね。昔はそうだったって」 「それでも地球は動く」 「ガリガリ! その一言が無かったら軌道を離れることは無かったんだ」 「地球空洞説」 「地上に住めなくなる前に囁かれてたって奴か。ずっとやられっぱなしじゃないって、あいつらに見せ付けてやらないとな」 「ああ」

連動術式地球模型

「何これ、地球の模型?」 「私にも見せて!」 「ちょっ。乱暴にするなよ」 「あ。穴開けちゃった」 「おい! しかもこの辺じゃんか」 「おお、君達。それは呪いの藁人形を基に私が開発した連動術式渾円球儀だ。ここから天災や環境問題を解決できるのだ。ラグが未解決だがね。おや、急に辺りが暗く」

金なる橋の黄金伝説

「ゴールデンゲートブリッジがゴールデンじゃない!」 「オレンジだね。長らく世界最長だったけど」 「それで金」 「世界一美しいとも」 「それも金」 「身投げの数も世界一とか」 「そんな金?!」 「金門海峡に架かる橋だからだよ」 「ゴールドラッシュか」 「金鉱発見以前の話」 「先見性が金かよ」

金の羊の数奇譚

「ある国の王子の命を救うべく、神は空を飛ぶ金毛の雄羊を遣わした。王子は自らを救った羊を神の生贄とし、金の毛皮を亡命先の国の王に贈った」 「返却方法が生贄なんだ」 「後にこの毛皮を求めた別の王子は、何やかんや持ち帰るも目的は遂げられず死ぬ」 「羊の呪い?」 「牡羊座なら知ってるかもね」

沼跨ぎ

「一度沼へ足を踏み入れたなら、たちまち取り込まれて引き返せない」 「片足で踏みとどまれよ」 「深い沼の縁を片足で凌ぎ続けるのは無理がある。足湯スタイルも尻が滑れば終わり。そこでもう片足を別の沼に浸けてみる。これなら二つの沼に跨って沈むことも無い」 「お前の股が裂けないことを祈るよ」

はっきりしない君

「さて、君にはこれより綱渡りをしてもらう。落ちた側に居る娘と潔く交際したまえ。君も二人を思えばこそ、いつまでも宙ぶらりんではいられまい?」 「分かりました」 「良い心掛けだ」 「……だけど、だけど、二人を思えばこそやっぱり僕にはっ!」 「綱に跨って両側に脚を伸ばそうとは良い度胸だな」

一つになるもの

「粘膜的接触を『一つになる』って云うじゃない」 「体液の混合が不可逆だからかな」 「一つになっても二人は二人でしょ」 「それはもう元の二人でもないし」 「もう一度一つになってみたら?」 「マクスウェルの悪魔に懇願してみる?」 「悪魔に証明を乞うレベルか」 「悪魔の証明が信頼できれば」

煩わしい境界

「恋人にくっついてるとさ、何かもう肉体が邪魔って思うんだよね」 「肉体を無くしてどうして相手を感じるの?」 「魂だよ」 「それだと次は魂が邪魔になるんじゃ?」 「恋人に食べてもらいたい願望持ちには言われたくないな」 「細かく分解して混ざり合うしかないでしょ。だって血肉になるんだよ?」

お目付け桜の金

「どうか神様、本番で実力を発揮できますように!」 「ねえ、何でお賽銭が千円札と百円玉?」 「デザインに肖って桜咲きますようにって」 「なるほど確かに咲いてるな」 「このお賽銭にはずっと勉強を見守ってもらってたんだ」 「神様に届くといいな。お目付け桜の金さん」 「遊び人みたいに言うなよ」

桜世界

「見てよ、一面桜色の絨毯!」 「こりゃ見事な花筵だ」 「綺麗な内に写真撮りたい! ちょっと行ってくる」 「あー、そうそう」 「!」 「どうしたー? 急に止まったと思ったら立ち尽くして」 「ねえ、じゅわーってさ、靴の中に水が浸みてくるんだけどー」 「それー、花筏。下が水なの。注意だよー」

キスの秘密

「サクランボの柄を舌で結べるとキスが上手いんだって」 「ああ、聞くね」 「何でだろ?」 「そりゃあ、ね。……何でだろうね?」 「キスってさ、口でちゅってするやつのことでしょ?」 「唇を重ねるやつだね」 「どうして舌が関係あるのさ!」 「あー、キスにも深い情、……いや事情があるのかもね」

干す儀式

「すまん遅れた」 「よし乾杯だ。乾杯は何度してもいい」 「「「乾杯!!」」」 「そういや乾杯って、儀式っぽいよな」 「おーよく気付いたな。承認、受容に係る呪術だよ」 「え、呪術? ……今飲んだのって」 「いや毒じゃない。契りだ。契約を飲んだんだよ」 「?!」 「さて、何の契約だったかな」