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小説と、コラムともエッセイともつかない何かまとめ。 それとtwitterに投稿した読み…

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小説と、コラムともエッセイともつかない何かまとめ。 それとtwitterに投稿した読み物の写しはまったり保管作業中。 使い勝手が違うので色々模索してる。 暇つぶし、雑談の種にでもなれたら嬉しいな。

マガジン

  • さっくり

    検証、考察、まとめなど、中の文章を読み飛ばしても内容把握に差し支えないもの。 また、小説は掌編以下が目安。

  • じっくり

    それなりに腰を据えて読む分量。 短編以上が目安。

記事一覧

固定された記事

見つけてくれてありがとう

「見つけてくれてありがとう」慕っている配信者が時に嬉しそうに、時に畏まって口にしていた言葉。 クリエイターにはきっと身に染みる感慨。 だって、スマホひとつでもは…

sori
2年前
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地球《テラ》で来た

「地球は青かった」 「習ったよね。昔はそうだったって」 「それでも地球は動く」 「ガリガリ! その一言が無かったら軌道を離れることは無かったんだ」 「地球空洞説…

sori
5時間前
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連動術式地球模型

「何これ、地球の模型?」 「私にも見せて!」 「ちょっ。乱暴にするなよ」 「あ。穴開けちゃった」 「おい! しかもこの辺じゃんか」 「おお、君達。それは呪いの藁…

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2日前
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金なる橋の黄金伝説

「ゴールデンゲートブリッジがゴールデンじゃない!」 「オレンジだね。長らく世界最長だったけど」 「それで金」 「世界一美しいとも」 「それも金」 「身投げの数も…

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5日前
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金の羊の数奇譚

「ある国の王子の命を救うべく、神は空を飛ぶ金毛の雄羊を遣わした。王子は自らを救った羊を神の生贄とし、金の毛皮を亡命先の国の王に贈った」 「返却方法が生贄なんだ」…

sori
7日前
2

沼跨ぎ

「一度沼へ足を踏み入れたなら、たちまち取り込まれて引き返せない」 「片足で踏みとどまれよ」 「深い沼の縁を片足で凌ぎ続けるのは無理がある。足湯スタイルも尻が滑れ…

sori
10日前

はっきりしない君

「さて、君にはこれより綱渡りをしてもらう。落ちた側に居る娘と潔く交際したまえ。君も二人を思えばこそ、いつまでも宙ぶらりんではいられまい?」 「分かりました」 「…

sori
12日前
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一つになるもの

「粘膜的接触を『一つになる』って云うじゃない」 「体液の混合が不可逆だからかな」 「一つになっても二人は二人でしょ」 「それはもう元の二人でもないし」 「もう一…

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2週間前
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煩わしい境界

「恋人にくっついてるとさ、何かもう肉体が邪魔って思うんだよね」 「肉体を無くしてどうして相手を感じるの?」 「魂だよ」 「それだと次は魂が邪魔になるんじゃ?」 …

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2週間前
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お目付け桜の金

「どうか神様、本番で実力を発揮できますように!」 「ねえ、何でお賽銭が千円札と百円玉?」 「デザインに肖って桜咲きますようにって」 「なるほど確かに咲いてるな」…

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2週間前
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桜世界

「見てよ、一面桜色の絨毯!」 「こりゃ見事な花筵だ」 「綺麗な内に写真撮りたい! ちょっと行ってくる」 「あー、そうそう」 「!」 「どうしたー? 急に止まった…

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3週間前
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キスの秘密

「サクランボの柄を舌で結べるとキスが上手いんだって」 「ああ、聞くね」 「何でだろ?」 「そりゃあ、ね。……何でだろうね?」 「キスってさ、口でちゅってするやつ…

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3週間前
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干す儀式

「すまん遅れた」 「よし乾杯だ。乾杯は何度してもいい」 「「「乾杯!!」」」 「そういや乾杯って、儀式っぽいよな」 「おーよく気付いたな。承認、受容に係る呪術だ…

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4週間前
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ぶらぶらサプライズ

「最近さ、宛てもない散歩に嵌ってて。見慣れたはずの光景が、見過ごしてたのかそれが未知で異様に見えたりして」 「センス・オブ・ワンダーか。俺もあるよ。ただ大抵酔っ…

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1か月前
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光るセンス

「この人、良いセンスだわって思っても、人柄諸々とかで素直に受け入れづらいことがある」 「まあ人間だからな。そもそも人柄関係なく単純にハイセンス過ぎてちょっと真似…

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1か月前
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センシティブを知る機械

「投稿作がセンシティブ判定くらったー」 「やったじゃん! イラスト?」 「純情短歌」 「あー、人工知能くんのセンサーにはそれでも刺激が過ぎたのか」 「感度高過ぎ…

sori
1か月前
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固定された記事

見つけてくれてありがとう

「見つけてくれてありがとう」慕っている配信者が時に嬉しそうに、時に畏まって口にしていた言葉。 クリエイターにはきっと身に染みる感慨。 だって、スマホひとつでもはや誰もが表現者。 好きを気軽に晒せるようになったことは、それを強く押し支えてくれている。 好きを気軽に探せるようになったことは、やっぱりそれを強く押し支えてくれている。 好きなものを好きと言えるのは幸せなことだし、好きな人に好きを伝えられるのも幸せなこと。 その意味なら、幸せはわりと気軽な距離まで近づいてきて

地球《テラ》で来た

「地球は青かった」 「習ったよね。昔はそうだったって」 「それでも地球は動く」 「ガリガリ! その一言が無かったら軌道を離れることは無かったんだ」 「地球空洞説」 「地上に住めなくなる前に囁かれてたって奴か。ずっとやられっぱなしじゃないって、あいつらに見せ付けてやらないとな」 「ああ」

連動術式地球模型

「何これ、地球の模型?」 「私にも見せて!」 「ちょっ。乱暴にするなよ」 「あ。穴開けちゃった」 「おい! しかもこの辺じゃんか」 「おお、君達。それは呪いの藁人形を基に私が開発した連動術式渾円球儀だ。ここから天災や環境問題を解決できるのだ。ラグが未解決だがね。おや、急に辺りが暗く」

金なる橋の黄金伝説

「ゴールデンゲートブリッジがゴールデンじゃない!」 「オレンジだね。長らく世界最長だったけど」 「それで金」 「世界一美しいとも」 「それも金」 「身投げの数も世界一とか」 「そんな金?!」 「金門海峡に架かる橋だからだよ」 「ゴールドラッシュか」 「金鉱発見以前の話」 「先見性が金かよ」

金の羊の数奇譚

「ある国の王子の命を救うべく、神は空を飛ぶ金毛の雄羊を遣わした。王子は自らを救った羊を神の生贄とし、金の毛皮を亡命先の国の王に贈った」 「返却方法が生贄なんだ」 「後にこの毛皮を求めた別の王子は、何やかんや持ち帰るも目的は遂げられず死ぬ」 「羊の呪い?」 「牡羊座なら知ってるかもね」

沼跨ぎ

「一度沼へ足を踏み入れたなら、たちまち取り込まれて引き返せない」 「片足で踏みとどまれよ」 「深い沼の縁を片足で凌ぎ続けるのは無理がある。足湯スタイルも尻が滑れば終わり。そこでもう片足を別の沼に浸けてみる。これなら二つの沼に跨って沈むことも無い」 「お前の股が裂けないことを祈るよ」

はっきりしない君

「さて、君にはこれより綱渡りをしてもらう。落ちた側に居る娘と潔く交際したまえ。君も二人を思えばこそ、いつまでも宙ぶらりんではいられまい?」 「分かりました」 「良い心掛けだ」 「……だけど、だけど、二人を思えばこそやっぱり僕にはっ!」 「綱に跨って両側に脚を伸ばそうとは良い度胸だな」

一つになるもの

「粘膜的接触を『一つになる』って云うじゃない」 「体液の混合が不可逆だからかな」 「一つになっても二人は二人でしょ」 「それはもう元の二人でもないし」 「もう一度一つになってみたら?」 「マクスウェルの悪魔に懇願してみる?」 「悪魔に証明を乞うレベルか」 「悪魔の証明が信頼できれば」

煩わしい境界

「恋人にくっついてるとさ、何かもう肉体が邪魔って思うんだよね」 「肉体を無くしてどうして相手を感じるの?」 「魂だよ」 「それだと次は魂が邪魔になるんじゃ?」 「恋人に食べてもらいたい願望持ちには言われたくないな」 「細かく分解して混ざり合うしかないでしょ。だって血肉になるんだよ?」

お目付け桜の金

「どうか神様、本番で実力を発揮できますように!」 「ねえ、何でお賽銭が千円札と百円玉?」 「デザインに肖って桜咲きますようにって」 「なるほど確かに咲いてるな」 「このお賽銭にはずっと勉強を見守ってもらってたんだ」 「神様に届くといいな。お目付け桜の金さん」 「遊び人みたいに言うなよ」

桜世界

「見てよ、一面桜色の絨毯!」 「こりゃ見事な花筵だ」 「綺麗な内に写真撮りたい! ちょっと行ってくる」 「あー、そうそう」 「!」 「どうしたー? 急に止まったと思ったら立ち尽くして」 「ねえ、じゅわーってさ、靴の中に水が浸みてくるんだけどー」 「それー、花筏。下が水なの。注意だよー」

キスの秘密

「サクランボの柄を舌で結べるとキスが上手いんだって」 「ああ、聞くね」 「何でだろ?」 「そりゃあ、ね。……何でだろうね?」 「キスってさ、口でちゅってするやつのことでしょ?」 「唇を重ねるやつだね」 「どうして舌が関係あるのさ!」 「あー、キスにも深い情、……いや事情があるのかもね」

干す儀式

「すまん遅れた」 「よし乾杯だ。乾杯は何度してもいい」 「「「乾杯!!」」」 「そういや乾杯って、儀式っぽいよな」 「おーよく気付いたな。承認、受容に係る呪術だよ」 「え、呪術? ……今飲んだのって」 「いや毒じゃない。契りだ。契約を飲んだんだよ」 「?!」 「さて、何の契約だったかな」

ぶらぶらサプライズ

「最近さ、宛てもない散歩に嵌ってて。見慣れたはずの光景が、見過ごしてたのかそれが未知で異様に見えたりして」 「センス・オブ・ワンダーか。俺もあるよ。ただ大抵酔ってて覚えてないし、起きたら知らない場所なんだがな!」 「普通に危ないから止してくれ。それじゃナンセンス・オブ・ワンダーだ」

光るセンス

「この人、良いセンスだわって思っても、人柄諸々とかで素直に受け入れづらいことがある」 「まあ人間だからな。そもそも人柄関係なく単純にハイセンス過ぎてちょっと真似できないなってのもあるよな」 「どんな?」 「なんかめっちゃ光ってた」 「ルミネセンスだ!」 「そう云うの?」 「どうだろう」

センシティブを知る機械

「投稿作がセンシティブ判定くらったー」 「やったじゃん! イラスト?」 「純情短歌」 「あー、人工知能くんのセンサーにはそれでも刺激が過ぎたのか」 「感度高過ぎでしょ。感性誰が育てたんだよ」 「そりゃ創作物を学習した嗜好なんだし、人類の性癖の鏡と見れば」 「……禁忌に触れた気がするわ」 ----- 記念すべき初めてのセンシティブ判定を受けたその短歌 そのセンシティブ認定解除を巡って生まれた掌編小説