5/12 人の仕事は手伝っちゃだめ? 韓非子『侵官之害』から

職場では、ちょっとした作業(物を運ぶ、配る等)を積極的に手伝おうと動く方が多くて驚く。助け合い精神。まだまだ自分のことで手一杯なので真似できない。

手伝いを「大丈夫ですよー」と断った方が、「海外だと人の仕事を手伝うと怒られちゃうらしいですよ~仕事を奪うことになるってことで」とおっしゃっていて、そういう考えもあるのか・・・と知った。聞いたことがあるような、個人主義だとありえそうな話。

そう言えばそんな話を漢文で聞いたことあるなと思い出し調べてみた。

君主が眠っているときに、冠を管理する職にある者が衣をかけてあげたが、のちに知った君主がその冠を管理する職にある者と衣を管理する職にある者とをともに罰してしまった話。

ざっと訳を引用させていただく

其の典衣を罪せしは、以て其の事を失すと為せばなり。
其の典冠を罪せしは、以て其の職を越ゆと為せばなり。
寒きを悪(にく)まざるに非ず、以て官を侵すの害は寒きよりも甚だしと為せばなり。
 

衣を管理する職にある者を罰したのは、自分の職責を全うしていないと考えたからです。
冠を管理する職にある者を罰したのは、自分の役割を越えたことをしたからです。
寒さを苦手としないわけではないですが、(他人の)職務を侵すことの弊害は寒さのそれよりも重たいものだと思ったからです。

なにも親切にした行為まで罰することはないでしょ・・・と思ったが、それを怠慢した者だけでなく、職務を越えた者も罰することでより「やるべきことをやれよ」って強調させたかったのかなと考えた。契約社会。公平性も保てるから、下手な怠慢や不満は出てこなさそう。

ただ、後の文を読むと驚きが。


官を越ゆれば則ち死(ころ)され、当たらざれば則ち罪せらる。
業を其の官に守り、言ふ所の者貞なれば、則ち群臣は朋党して相為すを得ず。

(自らの)官職を超えたことを行えば死刑にされ、述べたことを実行しなければ処罰されます。
(家臣らが)自分の官職の範囲を守って、言動の整合性がとれているのであれば、家臣たちは仲間を組んで君主にさからうことはできないのです。 

管理社会・・・!下手な怠慢や不満はでないよねとは思ったけど、巡り巡って’君主に逆らうようにしない’という意図があるとは・・・!

よく考えているというか、人々をコントロールして権威に逆らわないロボットのような労働力を求めているというか・・・。

性悪説、法治主義の韓非子らしい文なのかなと感じました。

協働、効率化のデメリット?

冠と衣なんて正直一人でも管理できるんじゃない?なんて安易に思ったけど、どうなんだろう笑

自動化やら昨今の業績悪化の関係で色々な仕事が縮小されていくと思う。二人でやってたことが一人になるとか。ただそうすることで、もう一人の雇用はどうなるの?って不公平な状況は起きそう。それと、例えば「冠と衣の管理なんて一人で十分」ってなった後に、思いも寄らないほど冠やら衣の贈り物があったり(そんなことある?笑)、盗難があったり(これはあるかも?)しててんわやんわしたり・・・で、その後また元に戻そうってなったときに、凝縮こそ楽でも、分解、修復って難しくないのかな・・・。効率を求めた先に、むしろ質の低下もありそう。

どんどん雇用がなくなった先、命まで削減されるのか‥だから現状維持が良いのか?といっても時代錯誤なのもあるし、そうならざるを得ない状況も避けられない・・・

人ごとではないような話になってきた・・・

たぶん、すぱっと分けられるような仕事じゃなくてあいまいな仕事・・・主に人と関わる、コミュニケーションにあたる仕事はこれからも残っていそう。理想論としては、色々と便利な世の中になった後に、ほぼ仕事がなくても皆に最低限お金がはいってくれること。かなり嬉しい。理想論だけど。

生き残りをかけて必死になるほど長く生きていたくはないよ・・・正直。

今できることとしては、今やることをやりきること。それから、仕事ではない範囲でちょっと人助けとか、何かしら声を掛けるとか、できることをして明るく過ごす!

今日も一日おつかれさまです。あしたもあなたにとってよい一日になりますように。ここまで読んでくださりありがとうございました。




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