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シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】#2 『とにもかくにも、強烈に望むことである。』 —佐藤さとるさん(児童文学作家)のことばより—

【ふせんをはりたい、ことばたち。】
シリーズ第2回目です。

第1回目はこちらになります。

そして今回ご紹介するのは、こちらの物語の作者のことばです。

『だれも知らない小さな国』


1959年に誕生し今も愛され続けている、コロボックルと呼ばれる小人の物語で、日本で初めての本格的ファンタジーの傑作です。


作者は、佐藤さとるさん。
2017年に88歳で亡くなるまで、数多くの素晴らしい作品を作られました。

コロボックル物語はフワフワした夢物語ではありません。とにかくリアリティがすごい…!
隣り町の出来事なのかも?!と思えるくらいです。

私は、目の端に何か小さいものがサッと落ちるのが見えた気が…?というときに、

「もしかしてコロボックルだったりして」

なんて、今でもつい考えてしまいます。
(コロボックルは三センチほどの大きさで、目に見えないくらいすばしっこいのです)


2021年に神奈川近代文学館で開催された「佐藤さとる展」に展示されていた、作者のメモに書かれていた言葉です。

佐藤さとる展「コロボックル物語」とともに (パンフレットより)

自分が生きてきた道をふりかえってみると、
心の底から願っていたことだけは、わずかにかなえられているようだ。もちろん願ってかなえられなかった事のほうが、山ほどある。

しかし、よく考えると、それらは心底願っていたことがかなうための必要なギセイ、不可欠の條件であったらしい。

だから望みの実現には、先ずなにを最優先とするかを見きわめること
(こいつは現実にはむずかしく、多分潜在意識にゆだねる問題かもしれない)、

そして、とにもかくにも、強烈に望むことである。
強く願えば、きっと実現する。
そしてこういう心の働きのことを、多分『祈り』というのだろうと思う。

佐藤さとる展「コロボックル物語」とともに (展覧会パンフレットより)


長い年月児童文学に力をそそぎ、歳を重ねてから人生を振り返ったときの言葉。
佐藤さとるさんは晩年のインタビューで、
「いつ終わりになってもいい人生だったと胸を張れますね」
と答えられています。

色々な場所で活躍している方々はきっと、最優先すべきものを見極められるほどに強く望み、たくさんのものを『ギセイ』にして進んでいるのだと感じました。

私は何かを強烈に望んだことがあっただろうか、『祈り』と言えるほどに。
この言葉が展示されていたパネルの前で、そう感じたことを思い出しました。



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