倉田そら

倉田そらです。 小説や、エッセイなどを書いています。 アロマテラピーアドバイザー、アロ…

倉田そら

倉田そらです。 小説や、エッセイなどを書いています。 アロマテラピーアドバイザー、アロマハンドセラピスト(申請中)の資格を取りました。 好きなものは夕やけ空、やわらかい革のブックカバー、リンゴのハシオキ、ほぼ日、モンゴメリ、メアリーポピンズ…などなど。

記事一覧

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #6 「待ち合わせた場所で当てもなく 虹を眺めていれば」シングライクトーキング『…

1988年デビューの、シングライクトーキング。 昨年、35周年を迎えました。 佐藤竹善さん、藤田千章さん、西村智彦さんの、スリーピースバンドです。 ジャンルは最近では…

倉田そら
36分前
1

シリーズ 【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #6 「お母さんが幸せじゃないと、子供は幸せにはなれません」児童精神科医・佐…

(シリーズのマガジンはこちらです) もうずいぶん昔のことですが、児童精神科医である佐々木正美先生のセミナーに通っていたことがあります。 「佐々木セミナー」はとても…

倉田そら
5日前
17

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #5 「応募する」 (『夢をかなえるゾウ』の“おみくじ”より)

(過去の記事はこちらです) うちの寝室の壁には、小さなおみくじが貼ってありました。 おみくじ、と言っても神社でひいたものではなく、書店でもらったものです。 それは…

倉田そら
9日前
10

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #4 「先生に〜して“頂く”とは、言わないほうが良いと思います。子供は親と教師…

シリーズのアーカイブはこちらです。 娘が小学生の頃。 色々なことがあり、いったいどうしたら良いの?と、 暗闇の中を、手探りで歩いているような時期がありました。 …

倉田そら
2週間前
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シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #3 「でも、それを待つときの楽しさだけはまちがいなく自分のものですもの。」…

(過去の記事はこちらです) 「あのね、マリラ、何かを楽しみにして待つということが、そのうれしいことの半分にあたるのよ」 世界中で読み継がれている、モンゴメリの「赤…

倉田そら
2週間前
8

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】#2 『とにもかくにも、強烈に望むことである。』 —佐藤さとるさん(児童文学作…

【ふせんをはりたい、ことばたち。】 シリーズ第2回目です。 第1回目はこちらになります。 そして今回ご紹介するのは、こちらの物語の作者のことばです。 『だれも知ら…

倉田そら
3週間前
11

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 ♯1 『過去や未来に期待するのではなくて、目の前の現在を工夫して楽しむほうが…

人生にはふいに「心に留めておきたい言葉」が現れることがあります。きっと私だけじゃないはず。 でも、あんなに感銘をうけたはずなのに、けつっこう忘れちゃったりもする…

倉田そら
3週間前
27

【エッセイ】こわい未来のイメトレしてガードを固めるのに疲れたので、こわいけどやめてみた話

例えば、病院の検査の結果待ちをしているとき。 「わわ、悪い結果だったら、どどど、どうしよう…」 と何日も前から想像し、その場面を鮮やかに脳裏にイメージし、どんな…

倉田そら
1か月前
7

ストローのなかの、ちっちゃいおじさん【短編小説】

【あらすじ】 今世紀最大の『ちっちゃいおじさん大宴会』の招待状の束をなくしてしまった、ちっちゃいおじさん。 ”私”は、開催の危機をすくえるのか?!   *** マ…

倉田そら
3か月前
11

英国&ちょこっとパリ 新婚合宿日記 Vol.5

さて、次の日はオプショナルツアー 「コッツウォルズ・オックスフォード観光」です。 集合場所は、ロンドンの中心、「ピカデリーサーカス」。 その頃は地下鉄もすっかり…

倉田そら
6か月前
21

「アロマテラピー検定、受けてみよう」と思い立ったので。(独学で1級を受けるまでのお話 )

【はじめに】 「そういえば私って、香りには敏感な方なのかもしれない」 ある日、ふいにそう思いました。 でも敏感に反応してしまうのは、どちらかといったらあまり良い…

倉田そら
6か月前
27

【エッセイ】 見る、ということ。

忘れられない、朝の風景がある。 高校生のとき、私は電車とバスを乗り継ぎ、少し遠くの学校まで通っていた。 途中、JRから私鉄に乗り換えるのだが、その二つの駅の距離…

倉田そら
9か月前
22

【エッセイ】最期の病室に、笑い声が響いた話

(不穏なタイトルに、サスペンスだと思われるかもしれない…!と気付きましたが、そうではないのでご安心ください。) 高校生だった私は、母方の祖父(じぃじ)と祖母(ば…

倉田そら
9か月前
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英国&ちょこっとパリ 新婚合宿日記 Vol.4 

さて、私たちは地下鉄に乗って、ついに憧れの地へ。 どーーん!! そうです。 こちらは、「ベイカーストリート」駅です。 ベーカー街には、コナン・ドイルの有名な探偵…

倉田そら
10か月前
13

【絵本紹介】何十年も前のものだから、書店では見かけない。でも、名作だと思う絵本、三冊。

引越も断捨離もかいくぐり、思えばずいぶんと長いあいだ手もとに残っているものって、誰にでもあると思います。 ただ便利だからとか、なんとなく…っていうものも、もちろ…

倉田そら
10か月前
15

「ふわふわ、ではありません、フワワフワーフです。」最終話(第11話 おかあさんの話)

11.おかあさんの話 二人は、ワーフのパン屋さんに戻ってきました。朝は混んでいて、窓の外からチラリとのぞいただけだったので、イトは初めて中に入りました。 中は、…

倉田そら
10か月前
8
シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #6 「待ち合わせた場所で当てもなく 虹を眺めていれば」シングライクトーキング『It's City Life』の歌詞より

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #6 「待ち合わせた場所で当てもなく 虹を眺めていれば」シングライクトーキング『It's City Life』の歌詞より

1988年デビューの、シングライクトーキング。
昨年、35周年を迎えました。

佐藤竹善さん、藤田千章さん、西村智彦さんの、スリーピースバンドです。

ジャンルは最近では「シティ・ポップ」といわれることもありますが、ロックやソウル、ファンクなど、幅広い音楽性と実力を持つ、素晴らしいバンドです。

毎日の仕事で多くの悩みを抱え、へとへとになっていた時期。通勤時間も長く、電車の中でも仕事、家に帰っても

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シリーズ 【ふせんをはりたい、ことばたち。】  #6 「お母さんが幸せじゃないと、子供は幸せにはなれません」児童精神科医・佐々木正美先生のセミナーより

シリーズ 【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #6 「お母さんが幸せじゃないと、子供は幸せにはなれません」児童精神科医・佐々木正美先生のセミナーより

(シリーズのマガジンはこちらです)

もうずいぶん昔のことですが、児童精神科医である佐々木正美先生のセミナーに通っていたことがあります。
「佐々木セミナー」はとても人気で、コンサートなども行われるような大きなホールで毎回開かれていました。

薄暗いホールには、仕事帰りの保育関係者の方々がノートを片手に集まっていて、私もその中の一人でした。

当時とてもお忙しかった佐々木先生は、多くの場合舞台袖から

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シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #5  「応募する」 (『夢をかなえるゾウ』の“おみくじ”より)

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #5 「応募する」 (『夢をかなえるゾウ』の“おみくじ”より)

(過去の記事はこちらです)

うちの寝室の壁には、小さなおみくじが貼ってありました。

おみくじ、と言っても神社でひいたものではなく、書店でもらったものです。
それは水野敬也さんの著書「夢をかなえるゾウ」の販促用のおみくじで、表にはひとこと、

「応募する」

と書いてありました。

何年か前に書店でもらってきて、夫が「良い言葉だから」と壁に貼りました。
(インテリアが趣味の私は正直「えーそれ貼っ

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シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #4 「先生に〜して“頂く”とは、言わないほうが良いと思います。子供は親と教師で、一緒に育てていくものですから。」 娘の小学校の先生のことばより

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #4 「先生に〜して“頂く”とは、言わないほうが良いと思います。子供は親と教師で、一緒に育てていくものですから。」 娘の小学校の先生のことばより

シリーズのアーカイブはこちらです。

娘が小学生の頃。

色々なことがあり、いったいどうしたら良いの?と、
暗闇の中を、手探りで歩いているような時期がありました。

そんなとき、小学校の非常勤の先生とお話しをする機会がありました。
その先生はもう引退され、若い先生方へのアドバイザーのような形で来られている方でした。

とても深みのある声が印象的な、少し風変りな初老の男性で、何度かたまたま顔を合わせ

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シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】  #3  「でも、それを待つときの楽しさだけはまちがいなく自分のものですもの。」(モンゴメリ「赤毛のアン」より)

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #3 「でも、それを待つときの楽しさだけはまちがいなく自分のものですもの。」(モンゴメリ「赤毛のアン」より)

(過去の記事はこちらです)

「あのね、マリラ、何かを楽しみにして待つということが、そのうれしいことの半分にあたるのよ」

世界中で読み継がれている、モンゴメリの「赤毛のアン」。カナダの美しいプリンスエドワード島を舞台にした物語です。

孤児院から中年の兄妹(マシュウとマリラ)のもとに、手違いで引き取られることになった、12歳の少女アン。
感受性豊かなアンは、周囲の様々な物事にその感性を大きく開い

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シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】#2 『とにもかくにも、強烈に望むことである。』 —佐藤さとるさん(児童文学作家)のことばより—

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】#2 『とにもかくにも、強烈に望むことである。』 —佐藤さとるさん(児童文学作家)のことばより—

【ふせんをはりたい、ことばたち。】
シリーズ第2回目です。

第1回目はこちらになります。

そして今回ご紹介するのは、こちらの物語の作者のことばです。

『だれも知らない小さな国』

1959年に誕生し今も愛され続けている、コロボックルと呼ばれる小人の物語で、日本で初めての本格的ファンタジーの傑作です。

作者は、佐藤さとるさん。
2017年に88歳で亡くなるまで、数多くの素晴らしい作品を作られ

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シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】   ♯1 『過去や未来に期待するのではなくて、目の前の現在を工夫して楽しむほうがいい。』  -濱口秀司さんのことばより-

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 ♯1 『過去や未来に期待するのではなくて、目の前の現在を工夫して楽しむほうがいい。』 -濱口秀司さんのことばより-

人生にはふいに「心に留めておきたい言葉」が現れることがあります。きっと私だけじゃないはず。

でも、あんなに感銘をうけたはずなのに、けつっこう忘れちゃったりもする…。やっぱり人は、忘れる生き物ですね。

有名無名は関係なく、自分にとって絶妙なタイミングで、色々な角度からさっと差し出される言葉たち。

忘れたくないし、ときどきは引っぱり出したい!と思ったので、シリーズにしてみることにしました。

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【エッセイ】こわい未来のイメトレしてガードを固めるのに疲れたので、こわいけどやめてみた話

【エッセイ】こわい未来のイメトレしてガードを固めるのに疲れたので、こわいけどやめてみた話

例えば、病院の検査の結果待ちをしているとき。

「わわ、悪い結果だったら、どどど、どうしよう…」

と何日も前から想像し、その場面を鮮やかに脳裏にイメージし、どんなことを言うか言われるか想像し、ドラマの一部のように何度も脳内再生し…。
(悪い結果の可能性が低いときもです)

想像して想像し、さらに想像してしまうタイプです。
そして、その自分で作り上げたイメージにコテンパンにされ、疲れ切っちゃう。

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ストローのなかの、ちっちゃいおじさん【短編小説】

ストローのなかの、ちっちゃいおじさん【短編小説】

【あらすじ】
今世紀最大の『ちっちゃいおじさん大宴会』の招待状の束をなくしてしまった、ちっちゃいおじさん。
”私”は、開催の危機をすくえるのか?!

 

***

マンションの下のコンビニで、アイスコーヒを買う。

レジで氷入りのカップを受けとり、機械にセットしてボタンを押すと、ガーッという音とともに、勢いよくコーヒーが出てきた。
そのあいだにフタとストロー、紙ナプキンを棚からとる。
まるで店員

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英国&ちょこっとパリ 新婚合宿日記 Vol.5

英国&ちょこっとパリ 新婚合宿日記 Vol.5

さて、次の日はオプショナルツアー

「コッツウォルズ・オックスフォード観光」です。

集合場所は、ロンドンの中心、「ピカデリーサーカス」。

その頃は地下鉄もすっかり乗りこなしていた、旅のプロ (なわけない) 私たち。
旅の予算もあまりない中、地下鉄遅延の情報が…!
(ロンドンの地下鉄は大変古い歴史があり、よく止まります)

「タクシーだ!ロンドンタクシーで行こう!!」

一度は乗ってみたかった、

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「アロマテラピー検定、受けてみよう」と思い立ったので。(独学で1級を受けるまでのお話 )

「アロマテラピー検定、受けてみよう」と思い立ったので。(独学で1級を受けるまでのお話 )

【はじめに】

「そういえば私って、香りには敏感な方なのかもしれない」

ある日、ふいにそう思いました。

でも敏感に反応してしまうのは、どちらかといったらあまり良い匂いのものではなく。

あれ…ってことは私って、良い匂いにも敏感なのかも!

と、自分に都合よく解釈することに。

そして思い立ち、約2ヶ月ほどの勉強期間を経て、

「アロマテラピー検定1級」

を独学で受験しました。
(スクールに通

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【エッセイ】 見る、ということ。

【エッセイ】 見る、ということ。

忘れられない、朝の風景がある。

高校生のとき、私は電車とバスを乗り継ぎ、少し遠くの学校まで通っていた。
途中、JRから私鉄に乗り換えるのだが、その二つの駅の距離は徒歩十分位あった。

ごみごみとした細く短い商店街を抜けてゆく。
国道の近くだったので、鼻の穴が黒くなるほど、当時の空気は汚れていた。
毎朝私は、その短い距離を歩いていた。

不思議なことに、今、目を瞑って考えてみても、その商店街にどん

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【エッセイ】最期の病室に、笑い声が響いた話

【エッセイ】最期の病室に、笑い声が響いた話

(不穏なタイトルに、サスペンスだと思われるかもしれない…!と気付きましたが、そうではないのでご安心ください。)

高校生だった私は、母方の祖父(じぃじ)と祖母(ばぁば)と一緒に、大きな駅の地下街に来ていた。

私はトイレに行きたくなり、「待っててねー」と言うと、一人でトイレに入った。
そして個室から出てくると、洗面台のところに、ばぁばがいる。

「あれ、ばぁばもやっぱり、行きたくなったの?」

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英国&ちょこっとパリ 新婚合宿日記 Vol.4 

英国&ちょこっとパリ 新婚合宿日記 Vol.4 

さて、私たちは地下鉄に乗って、ついに憧れの地へ。

どーーん!!

そうです。
こちらは、「ベイカーストリート」駅です。

ベーカー街には、コナン・ドイルの有名な探偵小説「シャーロック・ホームズ」の博物館があるのです。
自称「シャーロキアン」(ホームズのファンの呼称)の私は、まさに日本からここを一直線に目指してきた、と言っても過言ではない…!
NHKでも放送されていたイギリスのTVドラマ「シャーロ

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【絵本紹介】何十年も前のものだから、書店では見かけない。でも、名作だと思う絵本、三冊。

【絵本紹介】何十年も前のものだから、書店では見かけない。でも、名作だと思う絵本、三冊。

引越も断捨離もかいくぐり、思えばずいぶんと長いあいだ手もとに残っているものって、誰にでもあると思います。
ただ便利だからとか、なんとなく…っていうものも、もちろんありますが。(むしろ、そっちのほうが多いような気も…。)

その中でも、たまに読んだり、思い浮かべるだけでも、胸に「じわん」としたものが広がって、ずっと心の中の大切な場所にしまわれているものがあります。
私にとってそれは、幼いころから大切

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「ふわふわ、ではありません、フワワフワーフです。」最終話(第11話 おかあさんの話)

「ふわふわ、ではありません、フワワフワーフです。」最終話(第11話 おかあさんの話)

11.おかあさんの話

二人は、ワーフのパン屋さんに戻ってきました。朝は混んでいて、窓の外からチラリとのぞいただけだったので、イトは初めて中に入りました。

中は、イトが想像していたパン屋さんとは、かなり違っていて、棚に並べられたパンをトングで取っていく、という売り方では無いようでした。
パン工場にあった、真鍮の、らせん状の滑り台がついた機械を小さくしたようなものが、正面のところにありました。

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