【短編小説】指先が眠る街
ニトリで買った、あの時は確かにおしゃれだと思っていた壁掛け時計を見上げる。秒針がカチ、と無機質な音を立てて動いていた。
眠りたくて仕方がない。それなのに、目を瞑ってもう、何時間も経っている。明日はいつもより早くから出掛けないと行けなくて、そのせいで寝付けないのは分かりきっていた。いっそ徹夜をと思ったけど、正直、一日耐えられそうにない。夕方…いや、昼過ぎには意識を失う予感がする。おじさんなんて、すぐ眠くなる生き物なんだから。そこに「徹夜」が複合されたら、もう起きている方が不思