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助産師を目指そうと思った過去と保健師としての今。

5月から役所の障害福祉課で働き始めた。

直近の仕事は地域包括支援センターでの仕事だったから今までは介護保険制度にどっぷりだった。
障害福祉のことは役所や基幹支援センターなどという専門機関に話を繋ぎ、対応をお任せしていた。
以前、重症心身障害児・者施設や小学校の特別支援級での勤務経験があるがその背景にある障害福祉制度やサービスについてはほとんど無知な状況。

そんな私がぽんと障害福祉課に放り出された。放り出されたと言っても自分でできそうかもとか興味あるかもとか思って自分で選んだ仕事ではあるが。

介護保険制度もほぼ知識ゼロの状況から一つ一つのケースから制度を知り、学んでいったようなところがあるから障害福祉制度についても知らなくてもなんとかなるだろうなんて考えていた。
そして、どうだ。本当に全然わからない!そして制度が複雑で難しい。

毎日資料を読み込み、相談ケースから制度を紐解き学びながら対応しているような感じ。

色んなパズルのピースが自分の周りにちりばめられているけれど、それが全然つながっていかなくてパズルが全く完成に向かわない感じで、フラストレーションがたまる。時間をかけて一つ一つのパズルのピースを見て、知り全体を俯瞰しながら埋めていく作業が必要な感じ。

私が行う仕事の中のひとつに18歳を過ぎて初めての療育手帳の再判定の申請時に書類の足りない情報をご両親や関係者に聞き取ることがある。

妊娠時の経過や出生時のこと、就学前の様子や小学校入学から中学校や高校生活についてを細かく聞く。食べること、排せつのこと、着替えや買い物に関して、家族やそれ以外の人との関りやコミュニケーションについて、刃物や火の取り扱いや外出時の交通ルールを守れるかなども項目にある。文字を読んだり書いたり、数の認識や時計や時間がどれくらいわかるかなども聞いていく。

こと細かく記載してくださっている場合もあるが、漏れのないように細かく聞き取りをしていく。

色んな方がいるが私の印象だと話を聞いてほしい、話したいと思っている方が多い。

思い出したのが私が第一子を妊娠した時、色んな人が自分の経験した妊娠やお産について話してくれたことだった。妊娠や出産というとても個人的な経験を色んな方が話してくれた。妊娠やお産はものすごく個人的なことでもあり、特別な経験ではあるが語る場がないんだなと思う。本当に色んな方がお産の経験を話してくださって勝手に自分のお産を思い描いていた。色んな方のお産の経験を聞くのがとても楽しかったのを思い出した。

私が今関わらせてもらっている方々も妊娠出産時の様子を聞くと何年も前のことではあるが昨日のことのようにこと細かく、その経験を語ってくださる。私もそのお子さんがどのように生まれたのかとても興味があるので詳しく聞く。そこから高校卒業までの話を細かく聞いていくのだが、私にとってその仕事は興味深い仕事の一つである。主にお母さんになるのだが、お母さんのあふれる思いを思う存分聞くことにしている。

助産師への憧れがあって、一時助産師を本気で目指した過去を思い出した。私は助産師にならなくても保健師という立場でお母さんたちに寄り添うことができるし、妊娠出産だけに関わりたいわけではなかったのかもしれないなと思った。

人の人生は長い。

高齢者だって赤ちゃんの時があり色んな人生の山と谷を越えて高齢期に突入する。人生には色んな段階で色んな課題があるけれど、どこかで切れるものではなく長く続いていくものである。

保健師という仕事を通して赤ちゃんにも乳幼児にも学童期の子ども達にも中高生にも成人になっても中高年でも高齢期の方でもどんな世代にも関われて、それぞれの世代の健康課題や人生に向き合えることはすごく尊くて幸せだなと思う。

まだまだパズルのピースはてんでばらばらでどんなものができるのかわからないから不安や少し焦る気持ちやもどかしさもいっぱいあるけれど、誰かに焦らされているわけでもないし、何かを急がなきゃいけないわけではないからできることに真摯に向き合うことを続けていきたいなと思っている。


そら

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