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ぬいぐるみ🧸


小学生になる前のクリスマス
プレゼントを貰った
大きなぬいぐるみ
自分の身体ほどの大きさの
大きなぬいぐるみ


全く喜ばなかった私

酷く激怒した父親

分からなかった
ぬいぐるみを貰った理由や意味が
分からなかったんだ

嬉しくもなかった
どうすれば良いか分からなかった
でも父親に酷く怒られた

きっと
"子供はクリスマスにプレゼントを渡すと喜ぶ"
という理想を私があっさり覆したのだろう
酷く怒られた

私はなぜ怒っているのかも
分からなかった


子供らしくない子供

ニコリともしない子供

泣くことも無い子供

どれも私を表す言葉だった
私は何も分からなかった
多分人であるという認識もなかった
私は何も分からなかった

感情というものは
僅かにあったとすれば
ブランコに揺られて空を見ると
近くなったり遠くなったりする
それがとても面白かった
夜になると星がキラキラしている
それが好きだった
怖いというより分からないが多かった
誰にも話さなかった
言葉を使えていたのかの記憶も曖昧
見ていたことは覚えている
見て知ることはできていた
それ以上は分からない

保育所と言われる場所
みんな同じ事をしている
分からなかった
お気に入りの遊具でばかり遊ぶと
怒られた
また
怒られた

歳上の子にバカにされた
分からなかった

人が何をしていても
分からなかった
カラフルな扉の付いたトイレ
意味が分からなかった
見えていた景色は
何故か大人目線の高さだった
この低い仕切りのトイレに
入れるもんかと思っていた
私は低身長でそんな景色見えるわけないのに
覚えている景色は
全て自分の実際の視線より高かった

3歳の入園前
受付の机が頭の上だった
先生が何かをしているのを
机の端にしがみつき背伸びして見ていた記憶
先生も本当に3歳なのか確認していた

私は
全てが分からなかった

今はわかる
それは人のシステム
システムの中で生きるとは

プレゼントを貰ったら喜ばなくてはならない
分からなくても笑わなくてはならない
怒られたら怖がらなければならない
ありがとう
ごめんなさい
うれしい
感情を言葉に出さなくてはならない
例え嘘だとしても
そう装うことが人のシステム

今ならわかる
でもあの頃の私には分からなかった

友達もいなかった
親同士仲良くしていた都合で一緒に居た
そんな感じだった
私には分からなかった


プレゼント
貰ったら喜ばないと
酷く怒られる

私には
分からなかった…
喜ぶという感情が
まだ分からない

分からないまま終わるのかもしれない
分からないことが多い世界
これからも何かを知って生きていく
きっとそう


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