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ランウェイを歩いた日。

2019年6月のこと。

私は生まれて初めて「モデル」としてランウェイを歩きました。

それは、コシノヒロコさん主催の、モデルを広く一般公募したファッションショーで、その年が初めての試みでした。

一度は歩いてみたかった、憧れのランウェイ。年齢制限もなかったし、身長だけはあるので、思い切って応募してみたんです。

それにはオーディションがあって、コシノヒロコさんやスタイリストさん達の前でウォーキングもしました。ド素人の身で。

合格通知が届いたときは嬉しかったなあ。

当日集まったモデルさんたちは初めての方が大半でしたが、中にはプロの方もいらっしゃいました。
スタイリストさんによる服合わせ、メイクさんによるヘアメイク、すべてがなんだかドラマのよう。

ただ人見知りの私は、ステージ裏で他のモデルさんたちと打ち解けられず、ぽつんとしていたのです。
ちゃんとポーズを決められるか、コケないで歩けるか、不安ばかりが募ります。

その時、私より少し年上のMさんという方が気さくに話しかけてくださり、すーっと緊張が解けていくのを感じました。
他愛のない話をして、せっかくのご縁だからとFacebookアカウントを交換。

そして、本番。

一生に一度でいいから歩いてみたかったランウェイは、思ったよりも静かで、聖域に入ったかのようでした。

その一年後。

私が初めて自作した服をFacebookに上げたとき、「買いたいです」と想定外のコメントをくださったのが、そのMさんなのです。

Mさんのその一言がなければ、自分の服のブランドを作ろうなんて思いもしませんでした。

きらびやかなランウェイの先にあったのは、見たことも歩いたこともない道でした。


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