三百七十一話 寛ぎ
「ごきげんよう」「神のご加護を…」
朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。
学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。
そう、ここは神田ミカエル女学院…。
中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。
天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?
その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。
ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。
制服は翻さないように、静かに歩き…。
清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。
この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。
否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。
その後、月日はあっという間に経ち…。
冬休みも終わり、2月もあっという間に過ぎた。
2月のバレンタインデーには藍さんたちにチョコをあげた。
かなり喜んでくれたけれど…。
お小遣いがあまりなくて、大したチョコをあげれなかった。
うぅ、自分で自分が情けない…。
ホワイトデーはなにか返してくれるかな…?
私は今から期待してしまうのであった…。
藍さんからもらうならなんでもいいのだけれど…。
藍さんに買ってもらったお洋服代も返さないとだし。
グレモリーから借りた薬代も返さないとかなぁ…?
そんなわけで、私はバイトがしたいと思った…。
楽してお金がいっぱいもらえるバイト…。
そんなバイトがないかな…?
私はバイトをする決意をしたのである…。
3月に入り、気温も少し上がってきたことだし…。
外出もそんなに辛くない…はず…。
できる限り楽して、稼げるバイトないかなぁ…?
座ってるだけでお金もらえるようなバイト…。
そんなのないかなぁ?
あったら、すごいやりたい…。
前に喫茶店でバイトしたことあるけれど…。
もう接客業は懲り懲りなのであった。
なんにもしなくても稼げるバイトがしたい〜。
私はある日学校から帰ってきて…。
アストラル体になった花子さんにちょっと聞いてみた。
花子さんはどこからかスマホを取り出し…。
誰かに電話をかけ始めた…。
電話の相手は謎の人物マダムK…。
女の子による女の子ためのバイトを…。
斡旋してくれる人物らしい…。
どうやらその人物に私を…。
電話で紹介してくれてるらしい。
電話を終えた花子さんは…。
一枚のメモ書きを渡してくれた…。
そこにマダムK紹介のバイト先の…。
住所と地図が書いてあったのだ…。
私は数日悩んだ後…。
その住所に行ってみようと思った…。
住所は秋葉原の雑居ビル…。
中央通りに行って、脇道に入る…。
しばらく歩いたところに…。
その雑居ビルはあった…。
私のバイト?先は3階にあるらしかった…。
私は雑居ビルにはいって…。
エレベーターに入って3階ボタンを押した…。
3階に降り立った私…。
私のバイト先?はどこかな?と…。
あたりを見渡して見ると…。
赤いチャイナドレスにサングラスをした…。
いかにも怪しい人物が立っていて…。
こちらにめっちゃ近づいてきた…。
そして私の全身を舐めるように見て…。
よし合格!とその人物は言った…。
そう、その人物がマダムKだったのである…。
「こんな美少女紹介してくれるなんて…」
マダムKは嬉しそうにしている…。
そして、いきなり私に抱きついてきた…。
「私は猛烈に興奮している…!」
マダムKは私に抱きついて…。
頬擦りをしてくるのであった…。
嬉しいというか、興奮しているのか…。
「よし美少女、早速働く所を案内しよう!」
マダムKは私が何も言っていないのに…。
3階のとある一室に連れて行こうとする…。
普通の事務所みたいなドアがあり…。
そこに入っていく私たち…。
ドアには小さく『小悪魔の休憩所』と…。
店名?っぽい貼り紙がしてあった…。
ドアの中に入ると…。
中はとっても薄暗くて…。
椅子に座ったお客さんらしき人が数名…。
そして、お客様の前にはガラス張りの室内があり。
その室内は明るく、女の子が数名寛いでいた…。
女の子たちはクッションとかに座っており…。
リラックスした感じで、スマホ等を見つめている…。
そんなリラックスした女の子を…。
お客様は、見つめている…。
この店は女の子を見れるお店なのだ…。
私は瞬時にそう理解した…。
お客様も全員女性であった…。
「ようこそ!『小悪魔の休憩所』に…」
マダムKは小声で私に言った…。
そして、店の奥に私を連れていく…。
「この店は寛いでいるだけでお金がもらえるのよ!」
マダムKはいつの間にかサングラスを外している…。
ソバージュの髪に猫のような吊り目…。
結構な美人だけれど、怪しさ満点のマダムK…。
「美少女ちゃんは座って寛ぐだけでOK!」
美少女ちゃんというのは私のことらしい…。
私は、真島乃亜です…。と自己紹介した。
「ノアちゃん!いい名前ね。さすが美少女!」
何がどう、さすがなのかわからないけれど…。
私の名前を褒めてくれるマダムK…。
「ささ、今日からお仕事初めてみて?」
マダムKはいきなりそんなこと言う…。
え!?いきなり今日から働くの?
「こっちでかわいい服に着替えましょう」
マダムKは部屋のもっと奥に私を連れていく。
そこにはまたドアがあり、そこが更衣室らしい。
「どれでもいいから着替えてきて!できればかわいいのを」
私は訳もわからず、その部屋に押し込められた…。
そこにはいっぱい、衣装がハンガーに掛けられており。
どれかに着替えるということか…?
私は意を決して、着替えようと思うのであった…。
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