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音と光 classical concert vol.5

Fauré

|近代フランス音楽に流れるシューマンの詩情

コロナ禍に様々なイベントが中止になるなか、生活や心に潤いがなくならないよう…と始めた室内楽の演奏会。

始めてみると、同じような想いをお持ちの方との出逢いに恵まれ、おかげさまで、いずるばの空間に次々と素敵な時間がうまれてきました。

すべての存在を
一つの空間がつらぬいている

世界内部空間 

鳥たちは静かに飛び 
私たちを通り抜ける

リルケ(1914)


《ポール・ヴァーゼンの植物標本》を展示させていただいたときには、100年前につくられた色褪せない、まるで魔法がかけられたような美しいままの植物たちに、その頃につくられた自然の情景が浮かぶような素朴な音楽を聴かせたいとのおもいから、近代フランスの作曲家プーランクやリリ・ブーランジェの小品を演奏していただいたり、

それは、先に引用したリルケの詩のように、そっと眼を閉じるとこころの扉が内側にひらかれて、

その内なる世界での再会に立ち会っているようで、今思い出してもこのうえなく美しいひと時でした。

この度開催される6/2(日)の演奏会では、シューマンの"カノン形式の6つの練習曲"の三重奏版、フォーレのピアノ三重奏曲、それから名曲として伝わる数曲を交えて演奏していただきます。

ポール・ヴァーゼンの時に演奏されたプーランクの3つのノヴェレッテ(短編集)は、シューマンの8つのノヴェレッテに倣ったものであったり、近代のフランスの詩情に充ちた小品には、シューマンの詩情に共鳴して生み出された作品が数多くあるそうで、そのような時を超えた共鳴をテーマにした演奏会です。

また、透んだ光と陰影が胸にのこるリリ・ブーランジェはフォーレに学び、父を亡くした後は父親の代わりとなるほどの親しい間柄だったそうで、そのような奥深い芸術家のこころも、全身を澄まして感じることができたら…と思います。

内なる永遠の世界に舞い上がり、美しさやよろこびの種を人々に届け続けているシューマンとフォーレの音楽を、小さな庭の風に揺れる木々や光のうつろいと共にお楽しみください。


今回演奏してくださるヴァイオリニストのヤンネ舘野さんの演奏は、何度か聴かせていただきましたが、音に身を委ねていると、張りつめていたものがスーッと和らいでいくようで…

ピアニスト舘野泉さんがお父様とのことを知って、幼少のころから人の心をやわらげるような音楽を身近に親しまれていらした様子が伝わるかのようでした。

チェロの鈴木皓矢さん、ピアノの鶴澤奏さんも、今回演奏会をコーディネイトしてくださったプロデューサーの方の企画でご一緒されていて息のあった素晴らしいアンサンブルを聴かせてくださることと思います。

初夏の美しい日に、皆さまお誘いあわせてお出かけください。ご来場を心よりお待ちしております。

program  (予定)

シューマン:カノン形式の6つの練習曲 (piano trio)

シューマン:ピアノソナタ No.2 in G minor, Op.22: 2 Andantino (pf)

シューマン:アラベスク (pf)

フォーレ:子守唄 Op.16 (vn,pf)

フォーレ:シシリエンヌ Op.78 (vc,pf)

- pause -

フォーレ:ピアノ三重奏曲 Op.120 (piano trio)



2024.6.2 sun.  15:30 open / 16:00 start

一般 4,000円
学生 2,000円
(自由席・当日受付にてご清算ください)


会場:いずるば
東京都大田区田園調布本町38-8
(東急多摩川線 沼部駅下車 徒歩5分)

主催:企画室・音と光
協力:みのりの眼 いずるば

▽ご予約・お問合せは音と光のサイトからお願いします

https://www.sono-lumiere.net/news-2024/



ヤンネ 舘野 Janne Tateno, Violin
フィンランド出身。ヘルシンキ音楽院にてシルッカ・クーラ、オルガ・パルホメンコ、シカゴ芸術音楽学院にて森悠子の各氏に師事。現在ヘルシンキを拠点とするラ・テンペスタ室内管弦楽団のコンサートマスター、音楽監督を務める他、山形交響楽団第2ヴァイオリン首席奏者、森悠子主宰長岡京室内アンサンブルのメンバーとしても活動。ソロ、オーケストラ、室内楽、プローデュスなど2つの祖国にて活躍。

鈴木 皓矢  Koya Suzuki, Cello
桐朋学園大学チェロ科を首席卒業後、渡欧。ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン修士課程修了。小澤征爾音楽塾に参加。ラス・コルツ国際器楽コンクール入賞。日本チェロ協会主催「第9回チェロの日」にソリストとして出演。各地のオーケストラで客演首席を務める他新曲初演の場にも多く携わる。TRIO VENTUS 、Eureka Quartetのメンバーとして国内主要ホールにて積極的な室内楽活動を展開中。

鶴澤 奏  Kanade Tsurusawa, Piano
高校3年時にPTNAピアノコンペティション特級にて銅賞を受賞、演奏活動を始める。2016年野島稔・よこすかピアノコンクールにて第1位受賞の際、野島稔氏より「けれん味のない音楽がそのまま楽曲の満ち足りた表現として十分に聴き手に伝わる」と評された。

現在日本と北米を拠点に演奏活動を行う。2019年カサルマッジョーレ音楽祭(伊)公式伴奏者、バンクーバー交響楽団の管楽器首席メンバーらとの共演等、室内楽奏者としても活動。2021年sonoritéより「An die Musik 鶴澤奏 シューベルトアルバム」を発売(レコード芸術準特選盤、音楽現代推薦盤)。

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