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なんでもない日常が、当たり前に続いていくことが"幸せ"だと

この間、いつもの友達が私の家へ泊まりにきた。

彼女と出会ってから、一体何十回お泊まり会をしたことか。学生の頃は本当に頻繁に、私の家へ泊まりに来てくれていたなぁ。


社会人になってからはなかなか予定を合わせられないでいたけれど、昨年結婚をして地元を離れた彼女がまた最近は私の家に泊まりに来てくれる機会がある。普通は会う時間が取れなくなるものなのにね。

その機会というのは、彼女がこちら(私たちの地元)に通い続けている歯医者さんがあって。その予約がある前日の夜、仕事終わりに彼女は私の家に泊まりに来るようになった。


歯医者さん、彼女の予約をどうか月1にしてくれませんか。
そうしたら私は毎月、彼女とお泊まり会ができるのですが。

「次の歯医者さん、いつ?」の質問を毎回必ずするのだけれど、「2ヶ月後(笑)」とこれまた毎回笑って返される。

「なんで来月はないわけ?!」「もっと歯医者行きな!!」って私が言うのがバレている。だって本当にそうなんだもん。もっと会いたいのに。だからもっと歯の治療をしたらいいと思う。ぴかぴかにもなって、一石二鳥。ね?そうだよね?




そんな彼女の、この間の歯医者さん前夜。

一緒に焼き鳥を食べに行って、近況報告をいつも通りし合っていた。ちなみにいつも私の食べたいものを食べさせてくれる。本当に優しい。いつもありがとう。

それと、いつだって食べたいものが8割焼肉でごめん。
だから今回は流石に遠慮して、焼き鳥って言った。
本当は焼肉が食べたい。たぶんそれもバレているけれど。


結婚式を数ヶ月後に控えている彼女は最近ずっと忙しいみたい。いろんな打ち合わせエピソードを聞かせてもらった。

「たった1日のためにこんなにお金が飛んでいくの、なんだか結婚式やるのもったいなかったかなって思っちゃう」

なんて、あれだけ昔から結婚式で着たいドレスの話をしていた彼女が言うから、すこし驚いた。

でもそれぐらい、何を希望するにもお金お金みたいで。
そりゃあ嫌にもなっちゃうよね。願望を現実にするために必要なのは結局お金なんだ、って。




そんな話の中で、彼女がこんなことを言った。


「結婚式とか披露宴で流す曲、原盤を用意しないといけないみたいだから、いろんなお店を回って探してるんだけどさ。」

「探してるCDが1店舗に1枚だけとかしか見つからないから、結構な店舗数を回ってこつこつ集める感じなんだよね。」

「で、結構回り終わってから気づいたけど、別にオンラインとかメルカリで買えば良かったなって(笑)ブックオフとかもオンラインあるじゃん?それを回り切った後に気づいてさ〜。」


この話を聞いているとき、
わたし、本当に、人生でいちばん結婚に憧れた。




小学生の頃に両親が離婚している私にとって、みんながどうして結婚をしたがるのか、どうして人生の中に何の違和感を持つこともなく結婚している自分を組み込んで想像できるのか、いつも分からなかった。

最悪の要素が幾つにも絡んで、啀み合って離婚をした両親の記憶しかないからなのか、結婚なんてプロポーズの瞬間が幸せのピークで、そこからは下降する一方だと昔から思っていたし、信じていた。

ずっと幸せに、円満になんかいられるわけないのに、どうしてみんな結婚をしたがって、どうしてその幸せが続くものだと信じているのか、疑わずにいられるのか、本当に分からなかった。


幸せになってしまったら、待っているのは不幸だけなのに。




そんな私が彼女のその出来事を、大好きなぼんじりを食べる手も止めて真剣に聞き込んでいて。


きっと、行く先々で、2人してあいうえお順に並んだCDを目で追いながら、腰を屈めながら、同じ曲を頭に思い浮かべて、見つけた瞬間に「あった!」なんて口にして、それを何店舗も繰り返していたんじゃないかなぁって。そんな風に集まった曲たちが、当日流れるんだろうなぁって。

「いや、別に普通だよ(笑)」なんて彼女は言っていたけれど、私にはその出来事が羨ましくて仕方なくて、そんな普通の、なんでもない日常を共にしてくれる人をずっと探しているんじゃないかなって。


豪華なディナーに行くとか、高級なホテルに泊まるとか、高いプレゼントをもらうとか。非日常な特別ももちろん素敵だけれど、私はずっと普通が欲しかったんだと思う。

その普通の出来事が当たり前のように続いていくことがどれほど幸せかということ、そしてそれを当たり前だと信じられること、その中にどれだけの愛情が詰まっているかということ。彼女に起こる出来事を通して気づく、幸せの形をこの先もずっと、どれも忘れずに大切にし続けたい。




彼女の前撮りに、
オフショット撮影要員として参加することになった。

前撮りと結婚式当日も含めて、彼女の家族と新しい家族の姿をたくさん形に残してあげたいなって。そしてそれを1冊のアルバムにして、後日プレゼントするつもり。またいつかの歯医者さん前夜に。ここだけの秘密。


友達夫婦に幸せの形を教えてもらえる日が来るなんて、私は本当に幸せ者だと思う。

そして彼女を笑顔にし続けてくれる旦那さんにやっぱりどこまでも感謝の気持ちでいっぱいだし、この人に不安な気持ちを抱くことは一度もなくて、それほど彼女のことを心から大切にしてくれていて、何よりも好きでいてくれることが私にまで伝わる。

本当に素敵な人に、彼女だけの特別な人に、私の友達は巡り会えたんだと思う。


たとえ私が結婚を選択しない、できない人生になったとしても、私はその時々で他の幸せを見つけたらいいし、結婚が全てではないということ、これも忘れずにいて欲しい。




音楽をランダムに流しながらこのnoteを書いていたら、大好きだったドラマの主題歌が流れてきた。

このドラマ自体も、この歌詞も、今の私にぴったりだったからここへ記録することにする。


 奇跡のドアを開けるのは誰?
 微笑みよ もう一度だけ
 君は気付くでしょうか?
 その鍵はもう
 君の手のひらの上に

明日晴れるかな / 桑田佳祐


あの子も、このドラマが大好きだった。
今度会ったとき、またあれこれ話すことにしよう。


これから先も2人の幸せが、
ふとく、ながく、つよく、続いていきますように。


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