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「年数回の繁忙期でも、育休を取ると決めてやり方を考える」ユーグレナ マネージャーの男性育休

育児休業給付金の手取り10割支給が検討されたり、二回に分けて休める「産後パパ育休」が施行されたり、男性育休を後押しする波が続いています。とはいえ、組織のマネージャークラスが休む場合、仕事を整理する難易度も上がりがち。育児と仕事の両立を、具体的にどう進めていけばいいのでしょうか。

妊娠・出産・育児にまつわるリアルを、産まない男性側の視点で伝える連載。第2回は、株式会社ユーグレナのシニアブランドマネージャーである吉川輝さんにお話を伺いました。

(取材+文:菅原さくら)

きっかわ 6y👦🏻&5m👶🏻
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年に数回しかない繁忙期。でも、育休を取らない選択肢はなかった

――吉川さんは2017年の第一子、2023年の第二子と、どちらが生まれたときも育休を取得されているそうですね。まず、一人目の産前のことを聞かせてください。どのようにお仕事をされていましたか?

当時は、外資系企業のマーケティング部に勤めていました。夫婦ともに実家は北海道で、里帰り出産を選択。妊娠後期に妻が実家に戻ってからは、一人でとにかく仕事をしまくる日々でした。

――育休を取ろうと決めたのは、どんな経緯だったのでしょうか。

女性が多いチームだったため産休は身近だったけれど、じつは男性育休の前例はありませんでした。でも、制度があることは知っていたし、単純に自分も育児に関わりたかった。共働きで育児をしていくのに、妻一人に任せるのはふつうに考えて無理じゃね? という気持ちもありました。前例がないなら僕が一番に取ってやると思っていたのに、僕よりちょっと早いタイミングで、同じ部署の男性の先輩も取得を決め……先を越されたと思ったりして(笑)。でも、おかげで当事者同士どうするかを話し合えたし、部署内でサポートの空気が強まったのを覚えています。妻子が東京に戻ってくる生後4ヶ月から育休に入り、お盆休みと合わせて1ヶ月くらい休みました。

――1ヶ月の育休、いかがでしたか?

正直、あまり記憶がありません(笑)。夜中にものすごく泣く子だったので、よく深夜に抱っこをして連れ出していました。当時は環七の近くに住んでいたから、車がビュンビュンうるさいなかを抱っこ紐で散歩しながら寝かしつけて……これが続いたらやばいな、夜が長いな、と思っていたけれど、いま振り返ればたった数ヶ月のことだったんですよね。

昼間は子どもを連れて、近くのイオンに毎日行っていました。ずっと家の中にいても気が滅入るから、気分転換をしに、ふらふらと。そんな感じで特に何をしたというわけじゃないけれど、育休を取ってめちゃくちゃよかったですね。3人暮らしの基盤をつくるために、本当に有意義な時間だったと思う。だから二人目ができたときも、気持ち的に「取らない」という選択肢はありませんでした。

――第一子と第二子のあいだで、吉川さんはユーグレナに転職されていますよね。今度はシニアブランドマネージャーという役割があるなかで、育休を取るのは大変だったのではないでしょうか。

そうなんです。年に数回しかない予算策定のタイミングが出産にぶつかってしまい、とても大変でした。自分が仕事を休めなかったら、赤ちゃんどころか第一子の育児に対応する人がいない。かといって、元気のありあまっている長男を連れて里帰りなんてさせたら、義実家は大丈夫か……? など、いろいろ悩みましたね。妻は育休を強制したりはせず「あなたが休めるなら東京で産む、休めないなら里帰りするからさっさと決めて」という感じ。そこで「休むのは無理だから実家でお願い」と言う選択肢もあったんだろうけど……なんていうか、そうはありたくなかったんです。だから、タイミングの厳しさに揺らぐ気持ちはあったけれど、ぐっと踏ん張って、取得を決めました。

――「仕事休めないからごめんね」と言う男性のほうが、いまはまだきっとマジョリティですよね。そこで、どうしてあきらめなかったんでしょうか。

うーん……自分でもいま考えながら話してるんですけど……たぶん、自分自身がそもそもどうして働いているのか? って話につながると思うんです。一人目が生まれてからユーグレナに転職したきっかけは、環境問題やサステナビリティに関心があったから。自分の子どもが大人になったときの地球にどうにか貢献したいと思って、ここにたどり着いたんです。そうやって未来の子どもたちのことを考えて選んだ仕事のはずなのに、働くことで、いま目の前にいる家族をしんどくさせてしまうのはおかしいじゃないですか。当時そこまではっきり考えていたわけじゃないけれど、そんなロジックだったように思います。

育休を取ることと、パフォーマンスを出すことは関係ない

――育休取得にあたって、具体的にはどのように業務を整理したのでしょうか。

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