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手放せない呪い

物騒なタイトルだが、決して私が誰かを呪おうとしているわけではない。

これは、私に呪いをかけ続ける、とある時計の話である。


私は小学校の時、「善行児童」として表彰されたことがある。
どうして表彰されたのかは、いまだにわからない。

その時の景品として、デジタルの電波時計をもらった。

シンプルなデザインだが、時計の下には「善行児童生徒表彰」の文字がしっかり刻まれている。



この文字を見ると、複雑な気持ちになる。

「良い行い」って、わざわざ表彰されることのものでもない。

表彰されたのはクラスで2人だったけど、誰しもが良い行いをしていたんだと思うと、全員がこの賞を貰う権利があったと思う。

何でこんな賞作ったんですか…?

一つ目の呪い、「なんかモヤモヤする呪い」。


また、この賞をもらって、小学生の私はとある勘違いをした。

「あ、失敗しちゃいけないんだ」

失敗=悪と勘違いしてしまったのだ。

それ以降、自分の不手際やミスによって誰かに迷惑がかかることを悪いことだと感じ、それを極端に恐れるようになり、完璧主義の私が完成した。

二つ目の呪い、「失敗=悪の呪い」

今は失敗も楽に捉えられるようになったけれど、一時期精神を病んでいたとき、この時計を見るとさらに自分の首を絞めるような感覚に陥っていた。




…手放せば済んだ話では?と思う。だけど、なぜか手放せないでいるこの時計。

10年近く使ったのに全然壊れる気配もないし、あまりにも見やすいのが理由の一つだろう。




…もしかしたら、これも時計が私にかけた「呪い」なのかもしれない。

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