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視点が反対の二つの難民映画、、、。ヨーロッパへ向かう人たちと、受け入れる島、国


欧米が「デモクラシー」と叫んで起こさなくていい戦争で傷つけた中東周辺国。ヨーロッパ諸国が植民地支配をして、いまだに資源を搾取するアフリカ。そこから生まれた難民、難民。


爆破や戦争で崩れた建物。疲弊した土地。
その結果、住めなくなり、発展が望めない場所から人々が出て行くのは、仕方ない。「他の場所へ。希望を持って動く」。


その辺りを描いた二つの映画の今日は紹介。

最初に、最近作られた映画、「Io capitano」(僕は船長だ!)を紹介。
マッテオ ガローネが監督し、マッシモ ガウディオーソ、マッシモ チェッケリーニ、アンドレア タグリアフェッリとともに脚本を執筆した 2023 年の映画。

言語は、Wolof[1 とフランス語(アフリカの多くはフランスの植民地だったので、フランス語が通じる)


カタールに住む二人の少年が夢を追いかけて、ヨーロッパへ向けて冒険するロードムービー。砂漠、砂漠の海、そこを待ち受ける多数の困難が描かれる。拷問、過酷労働、移民相手のマフィア、病気。

二人の少年の旅を語る壮大なお伽話のようでもある。

お伽噺と違うのは、二人がたどる旅はより超残酷で過酷なのだ。(拷問場面はこれは今の時代なのかと、ショックを受ける人が多いと思う。苦手な人は注意)

道途中で妄想に駆られた少年が夢見る美しい映像もいくつか出てくるが、どこまで行っても基本、砂漠、厳しい土地である。

この映画を観ると、本当にヨーロッパにたどり着いた人々はサバイバーなのだとよくわかる。一瞬先は闇とかいうけど、まさにその状態が何日も、何ヶ月も長ーく続くのである。

少年はとうとうヨーロッパに乗る船に乗る。船長を務めることが条件で。もう一人の少年はナビゲーターとして。

全員をなんとか死なないように、みんなで助け合い、イタリアの最南東の島へ辿り着く。歓喜に沸く人々。

その島には、病院があり、少年の一人はおそらく治療を受けることができるのだろう。不確かな未来が待ち受けるけれど、終わりかたには希望がある。

ただただ着の身着のままで歩く

もう一つの忘れられない映画


「Fuocoammare」(海は燃えている。イタリア最南端の小さな島~)2016年。多くの賞を取り、イタリアの首相がEUの首相らにDVDを進言した作品だ。監督は、ジャンフランコ ロッシ。

「IO CAPITANOが、アフリカからヨーロッパへ渡る難民たちの姿を事細かく書いているのに比べ、こちらはアフリカからやってくる難民を受け入れる最南端の島、ランペデューサを舞台にした話である。12歳の少年が主人公だ。


住民の多くが漁師の島へ難民がやってきて起きる事件を淡々と描く。
島には医師がひとり。その島の少年は弱視が診断所で見つかり、矯正メガネをかける。少年が新たにかける矯正メガネは、まるで今まで見えなかったものを、見るための新しい目をもつことを示しているような小道具。

その診断所が島人と、難民の生活が交差する唯一の場所


過酷な海の旅を経て、死を迎える人、生き残る人の涙。その難民のストーリーと、少年の日常の混じり合いが淡々と語られる。

この映画感想についてナイジェリアの人のコメント。

『これは自分たちの証言だ。ナイジェリアでは死ぬしかない。多くの人は爆破で死んだ。だから外国に出る、そこには暴力と、砂漠しかないにしても。砂漠をわたりリビアへ行く。リビアにはISISがいる。ここも過酷だ。一緒に旅した人の多くは死ぬ。海ではボートで200人が死んで、90人助かったが、そのうちレスキューに助けられた人は30人、その生き残りの一人が僕だ』と。

https://www.imdb.com/title/tt3652526/

IO CAPITANO (イオ カピターノ)が、全員助かった奇跡の話。
こちらナイジェリア人の現実に起きた話は海で、多くの人が亡くなっている。

そして、実際この映画(海は燃えている)でも死ぬ人は多い。
そういう意味ではこちらは完璧にドキュメンタリー映画である。

個人的に記憶に残った二つのシーンを紹介すると、

1 少年がお台所でお母さん(?)とパスタを食べるシーン
まさにイタリアの普通の日常がそこにあるのを感じさせる、あれはすごい! 

2 暗い闇の中をボートがやってくると、管制塔から、「your position, hello. your position」と聞こえるところ。

「What's your position? (あなたの位置はどこですか?)」


先に紹介した「IO CAPITANO 」に出てきた冒頭と、最後の方に同じセリフが出てくる。管制塔からのボートへの質問だ。そして、「Fuocoammare」にも幾度と出てくるセリフ。

どちらの映画でも、これを聞いた時、私には何かぐさっときた。 

なぜなら、まるで私自身に突き刺してくる言葉のように思えたから。

あなたの位置はどこですか? 

あなたはこの難民を受け入れますか? 拒否しますか? あなたは、この状況のどこにいますか、とさえ聞こえてしまう。

言って仕舞えば、この映画を見るすべての人に、聞いている気がした。

この世界の中で、あなたの立ち位置はどこですか、とも。 

西欧に住む人はどこまで難民を無条件に受け入れることができるのだろうか? そしてこの大移動の課題にどう答えていくべきなのだろうか、このあたりを先へ行ってまた、わたしはnoteしていきたい。

そしてここまで読んでくれた皆さん、よかったら、この二つの難民関連の映画を、いまだからこそ、チェックして、見逃さずに見てほしい。




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