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ナレッジマネジメントの文化を浸透させ、顧客価値の最大化を。成功と失敗のポイントは?プロジェクトマネージャーに聞いた。

「セールスイネーブルメント」「ナレッジマネジメント」皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

セールスイネーブルメントとは直訳すると「営業ができるようになる」です。セールスイネーブルメントは営業力強化の手法であり、営業組織に所属する営業担当全員が成果を創出できるように導くことを指しています。
(中略)
セールスイネーブルメントは「ナレッジ領域」「ワーク領域」「ラーニング領域」「ピープル領域」という4つの領域で構成される、人材育成より包括的なアプローチです。4つの領域をリンクさせて取り組むことにより、再現性と実効性を持った営業力強化を実現します。

引用:セールスイネーブルメントについて|ナレッジワーク

ソウルドアウトでは、この仕組みを浸透させようと、事業企画室が主導してプロジェクトを推進しています。今回は特に「ナレッジ領域」に当たるナレッジマネジメントの領域で取り組む伊藤 有沙いとう ありささんにインタビューしてきました!

伊藤 有沙(いとう ありさ)/事業企画室 @itoarisa131
2015年入社。クリエイティブ部門配属後、2017年から部門長就任。2021年5月より産休・育休取得。2022年5月復職後は事業企画室に所属し、11月から社内広報も兼務。夫と娘の3人家族。普段は夫婦ともに基本在宅で、家事育児をキッチリ分担。週末は、娘が寝たあとに夫婦で晩酌。レモンサワーが好きです🍻🍋

パーパス実現のために取り組むセールスイネーブルメント

一人ひとりの生産性向上と新たな人員の確保

─── 改めて、伊藤さんの事業企画室の取り組むセールスイネーブルメントのプロジェクトの目的について教えてください。

伊藤ソウルドアウトのパーパスである「挑戦者の大志に寄り添い、事業発展を実現させる会社」を実現することです。

私たち事業企画室はセールスイネーブルメントのプロジェクトを通じて、組織の生産性と変革力を高めてセールス・マーケティングを抜本的に改革し、お客さまへ提供できる価値の向上を目指しています。

─── パーパス実現のために行なう、会社としてとても重要なプロジェクトだということですね。どうして今、力を入れて取り組んでいるのでしょうか?

伊藤:実は、中長期の会社のありたい姿を見据えたときに、社員一人ひとりの生産性向上と新たな人員の確保が急務となっていることが背景にあります。

これまでは社員が個人でスキルを身につけ、蓄積し、自分の得意なやり方でお客さまと向き合っていました。当然、お客さまへ提供できる価値は、一人ひとりに依存した状態です。

しかし会社としての目標を達成するためには、全社員がスキルアップして、新しい仲間にも加わってもらう必要があります。そこで、一人ひとりが蓄積してきたスキルやノウハウを共有し、育成の仕組みを整え、誰でも成果を得られる状態をつくっていくことになりました。

─── コロナ禍でリモートワークの割合が増えたことも影響していますか?

伊藤:そうですね。オンライン環境が増えたことは大きく影響していると思います。特に若手社員にとっては、会社で肩を並べて仕事をしていたときには、隣に座っている先輩にわからないことを聞いたり、すぐにフィードバックをもらったりすることができていたんです。しかしオンライン環境ではそうはいきません。オンライン環境でも、すぐに先輩社員のスキルやノウハウにたどり着けるようにする必要がありました。

ナレッジマネジメントの文化を浸透させ、顧客価値の向上を

口コミでナレッジワークの活用が広がった

─── 伊藤さんはプロジェクトの中で、ナレッジマネジメントの領域を担っていますよね。実際にどのような取り組みをされているのでしょうか?

伊藤:昨年4月頃から株式会社ナレッジワークの開発・提供するツール「ナレッジワーク」を導入しています。ナレッジワークは、ナレッジの共有・発見・活用・分析に非常に長けたツールです。私はナレッジワークの活用を推進し、営業活動および成果改善の武器となるナレッジを社員一人ひとりに行き届かせることで、組織全体の成果向上を目指します。

ナレッジ:有益な情報や知識
ノウハウ:専門的な技術やその蓄積

─── では、ナレッジワークにはどのようなナレッジが共有されているのでしょうか?

伊藤:大きく分類すると、「提案・事例・成果改善ノウハウ・課題解決ノウハウ」などです。

今後、蓄積したナレッジを業種やプロセス別に整備し、お客さまや課題に合わせた効率的な課題解決がすばやくできるようにしていきたいと考えています。

ソウルドアウトのナレッジワーク

─── 私たちは日々の業務でいろいろなツールを使っていますが、ナレッジワークは、1年も経たないうちにかなり活用が進んだ印象があります。どうしてここまで早く広がったのでしょうか?

伊藤ナレッジワークの使い勝手のよさを社員皆が実感したからです。それを各所で発信して、口コミで利用が広がりました。

今までは、全社のデータが格納されている共有ストレージしかなかったので、検索結果が膨大な量となり、求めているナレッジにたどり着きにくい状況でした。ナレッジワークでは、スペースやカテゴリ、人別で細かく絞り込みができるため、資料の探索時間がかなり圧縮できたという声があがっています。

また、各ナレッジに「活用ガイド」というナレッジの補足文章を入れられるため、資料内には記載していない当時の状況や課題、顧客のリアクション、活用のポイントなど、プラスαの情報を得られるようになりました。これにより、各ナレッジへの理解度があがり、活用しやすくなっています。

赤枠部分が「活用ガイド」

風通しの良さが土台にあり、施策をスピーディーに実行

─── 口コミで広がっていったんですね!さらに活用を促進するために、伊藤さん自身が行なった施策について教えてください。

伊藤:まず、ナレッジワークを「SOエスオーブレイン」と名付けました。社名を略した「SO」と、英語で脳を表す「ブレイン」の造語です。親しみがもてるようになったと思います。今では日常会話で「ソブレ(*SOブレインの略)」という単語が出てくるようになり、とても嬉しいです。

ほかにも、SOブレインにアップしたナレッジの発表の場として、月に2、3回、社内イベント「ナレ☆スタ」を行なったり、ディスプレイ広告専門の組織向けに「どのようなナレッジをアップすべきなのか」など、SOブレインの活用方法を考えるワークショップを開催したりしてきました。

「ナレ☆スタ」でメンバーが発表する様子

─── 様々な取り組みをされてきたんですね!スピーディーに実行できたのはどうしてだと考えていますか?

伊藤ソウルドアウトの風通しのよさが土台にあったからだと思っています。

例えば、マネジメント層の皆さんに「個人の目標にナレッジの共有数を入れてほしい」といったお願いをすると、皆さんすぐに調整をしてくれたんです。チームごとの方針によりますが、評価の対象になったチームもあり、活用促進に繋がりました。

ナレッジ共有の結果、提案の質が向上

─── 伊藤さんの活動の結果、社員のナレッジワークの活用状況はいかがでしょうか?

伊藤:現在、毎月1回以上のログイン率は90%を超えています。ナレッジワーク社による「ツールが日々の業務に馴染んでいる」という目安もクリアしています。

ナレッジは毎月200~250ほどが共有され、合計2,600以上が蓄積されています。「ナレッジを共有する」という意識が浸透してきました。

─── すごい数です……!昨年12月末には「SOブレイン表彰」が行なわれましたよね。

伊藤:提案ナレッジのうち、新規性、挑戦性、影響度を評価する「優秀提案賞」、工数削減や業績インパクト、文化醸成などに繋がったナレッジを評価する「グッ取り賞」、SOブレインの活用が促進されるようなナレッジを評価する「SOブレイン貢献賞」の三つを設けました。

ジェンダーや年次が混在した18人で審議会メンバーが構成され、皆で応募のあった70以上のナレッジにすべて目を通しました。特に「優秀提案賞」に応募があったナレッジを見ていると、広告の枠を飛び越えた分析や課題設定、提案をしているものがたくさんありました。提案の質が上がってきていることを感じています。

─── ノウハウやナレッジの共有が進んだことで提案の質が向上し、当初の目的であったお客さまへの提供価値も向上してきたといえそうです。

伊藤:昨年11月にSOブレインを活用している社員にアンケートを行ない、「提案の幅の広がり」「提案書作成工数の改善」において、効果を実感している方が多いことがわかりました。

一方、「提案書作成時間の削減」はまだ道半ばです。今後はさらに提案書の型化を進め、お客さまや課題に合わせた提案を考える時間を捻出できるようにしていきたいです。

約70%が、提案書作成にSOブレインにアップされているナレッジを活用
約90%が、「提案の幅が広がった」と実感
提案書作成時間については、まだまだ大きな業務改善にはつながっていない

─── 社員自身が、ナレッジの共有による価値を実感してきているんですね!……ところで私は、「公式noteの軌跡」というナレッジで、SOブレイン表彰の「グッ取り賞」を受賞できました。秋頃に「ナレ☆スタ」にも登壇しました。このような機会をいただき本当に嬉しいです!

伊藤:受賞、おめでとうございます!

SOブレインには、お客さまへの提案など直接営業や広告運用の業務に関わるナレッジはもちろん、「業務効率化」「コミュニケーションスキル」「プレゼンスキル」など、業務に直接関わることはないけれど重要なナレッジもたくさんアップされています。

誰かの学びや経験も有益なナレッジなんです。SOブレインの活用を始めて、これまでは共有されることのなかったナレッジも評価されるようになったと思います。

ナレッジを蓄積・活用・汎用化

これまで失敗してきた理由は「会社としての注力度合い」「オーナーの不在」

─── 素晴らしいです!しかしこれまでも、ツールを導入してチャレンジしたことがありましたよね……。軌道に乗らず、うまくいかなかったのはどうしてでしょうか?

伊藤:これまでは会社として力を入れて取り組んでいなかったことが一因だと思います。ナレッジマネジメントに取り組まなくても、社員一人ひとりの努力次第で成績を出すことができていました。正直、残業をしてガッツで乗り切る、のような考えもまかり通っていた気がします。

しかし、コロナ禍のオンライン環境や、働き方を見直す社会全体の流れが重なり、これまでのような方法では成果を上げることが難しくなってきたんです。会社として、効率化できるところや時短すべきところに着目した結果、ナレッジマネジメントの必要性が認識されるようになってきました。

─── これまで伊藤さんのようなPM(プロジェクトマネージャー)がいなかったことも、うまくいかなかった要因のような気がします。

伊藤:それも一因ですね。プロジェクトの成功には、PMを一人立て、計画に沿って推進していくことが重要です。加えて、私は入社8年目で、元々部門長をしていたこともあり、社内での発言力も高い方かもしれません。そういった社員がPMであったことも大きく影響していたと思います。

自立自走する組織へ

─── それでは最後に、今後やっていきたいことを教えてください!

伊藤:これからは、お客さまや課題に合わせて効率的な解決策を提案できるよう、ナレッジの型化を進めていきます。業種やプロセスごとの王道のマーケティング施策をまとめていきたいです。

私たちは、日本全国の多種多様な業種の中小企業さまをご支援してきました。そこで培ったナレッジが広告媒体ごとに点在している状態なので、媒体を横断して、業種やプロセスごとにまとめていきたいです。

─── 多くの中小企業を支援してきたソウルドアウトだからこその強みが活かせるよう、ナレッジの型化を進めていくということですね!具体的には、どのように進めていきますか?

伊藤:まずは、いいナレッジを表出化することから始めたいと考えています。

今は、情報量の多い分厚いナレッジから資料1枚のナレッジまで、様々なナレッジがアップされていて、必要とするナレッジに出会いにくい状態になっています。ツールにある「いいね」ボタンやランキング機能を活用していきます。

また、実現のために各部門の部門長と連携して、ナレッジをアップする際のルールや仕組みも整えていきたいです。

─── このプロジェクトの進化が楽しみです!

伊藤:最終的には、文化として浸透していて、質の高いナレッジを随時輩出していける状態を目指していきたいです。

そのときに私はメンテナンスだけをするような存在になっていることが理想です。ナレッジマネジメントの仕組みが浸透し、自立自走している状態をつくっていきたいです!


編集後記
noteのネタ探しはまずソブレ。ソブレには本当にお世話になっています。こんな裏側があったなんて、、。有沙さんからは、多くの人を巻き込んでプロジェクトを推進していくときのヒントをもらえました!


プロジェクト推進に当たって伊藤さんが参考にした本をご紹介📚
『NEW SALES 新時代の営業に必要な7つの原則』

ナレッジワーク社CEO・麻野 耕司(@asanokoji)さんが執筆された本です。

【インタビュー・執筆:みやたけ(@udon_miyatake)】


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