サッカー旅のきっかけはHIP HOP~旅に出るための助走~
どうも、僕です。
所信表明でも言った通り、僕はOWL magazineの皆さんの記事を見て、サッカー旅に出たくなりました。でも、いろいろな所にサッカーを見に行こうと思ったきっかけはもう1つあります。
それはHIP HOPです。
突然ですが、読者の皆さんは、HIP HOPやラッパーにどんなイメージをお持ちでしょうか。
刺青を入れて、高級ジュエリーを身に付けた恐い人たちの音楽でしょうか。あるいは、バチバチにディスり合うMCバトルを思い浮かべるかもしれません。もしくは、今大人気のCreepy Nutsの影響で、ラップを純粋にカッコいいと思っている人も多いでしょう。
しかし、この質問に対して「地域に密接した音楽」と答えた人は1割にも満たないはずです。
サッカークラブとHIP HOPの共通点
実は、HIP HOP(≒ラップ)は、土地との結びつきが強いという点でサッカークラブと共通しています。知らない人が多いかもしれませんが、ラッパーのほとんどは、自身の育った地域を代表して活動しています。
要は、地元をレペゼンしているのです。
レペゼンとはrepresentの略。「〜を代表する」という意味で、よくラッパーが使っている言葉です。
例えば、
「俺はレペゼン埼玉」→「俺は埼玉を代表してるぜ」
みたいな感じです。
この地元を背負うというスタンスは、他の音楽ジャンルのアーティストとは大きく違う点ですよね。
例えば米津玄師を見て、「徳島県出身の人だ!」と思う人はまずいないでしょう。「Lemonの人だ!」が大半のはずです。
でも、ラッパーは違います。Zeebraの「俺は東京生まれHIP HOP育ち」という歌詞が代表するように、ラッパーを見ると「○○が地元の人だ!」と認識してしまうのです。この感覚はHIP HOPが好きな人にしか伝わらないかもしれませんが……。
俺は東京生まれHIP HOP育ち
悪そうな奴は大体友達
悪そうな奴と大体同じ 裏の道歩き見てきたこの街
それと同じように、サッカークラブの名前を見聞きした際には、「○○地域にあるクラブだ!」と認識するはずです。「地域名+愛称」がクラブ名となっているため、当然と言えば当然かもしれませんが。
しかし、クラブ名に地域の名称が入っていることを差し引いても、ホームタウン活動やシャレン!(社会連携活動)などを通して地域に貢献していることは事実です。
つまり、サッカークラブや選手もそのホームタウンをレペゼンしていると言えます。
中村憲剛から感じたHIP HOP
昨シーズン限りで現役を引退した川崎フロンターレのバンディエラ、中村憲剛選手。彼が引退セレモニーで語った言葉が印象に残っています。
間違いなく、今回の記事を執筆するきっかけの1つです。
この記事からコメントを引用します。
「僕はフロンターレで学んだことがあって。Jリーガーというのは、お金を稼いで、いい車に乗って、いいものを買って・食べて、サッカーをすればいいと、入る前に思っていました。けれども、このクラブに入って、そうではないことに気づかせてもらえました。それは、地域密着、『川崎市の皆さんを笑顔に、元気にする』という合言葉を持つクラブに入ったことで、本当に多くの方々と接し、本当に多くのものを学び、何より僕自身が皆さんと触れ合うことを楽しみにしていました」
中村憲剛選手のこの言葉を聞いたとき、「うわー、HIP HOPと同じだな」と思いました。多分、こんなこと思ったのは僕だけだと思いますが(笑)。
ラッパーはお金を稼いで高級車に乗ったり、何百万円もする時計やジュエリーを身に付けたりしていますが、彼らにもサッカークラブ・選手と同じように、「地元を背負って貢献する」という使命があるのです。
ということで、次はラッパーと土地の関係について見ていきます。
折角なので、サッカークラブのホームタウンと、そこに所縁のあるラッパーの関係性について紹介していきます。
サッカークラブのホームタウンとラッパーの関係性
①神奈川県川崎市
川崎市と言えば、現在Jリーグで首位を走る川崎フロンターレでしょう。Jリーグ観戦者調査の「ホームタウンで大きな貢献をしているチーム」では、2010~2019年まで10年連続1位(クラブ公式HP発表)に輝いています。
地域と密接に関わって成長してきたこのクラブのホームタウンである川崎市には、数多くの有名なラッパーが住んでいます。その中でも特に絶大な人気を誇るのが、8人組のHIP HOPユニットであるBAD HOP(バッドホップ)。フロンターレの下部組織でプレーしていたメンバーも在籍しています。
犯罪や暴力が蔓延る街で育ち、全員が少年院を経験しましたが、出所後は音楽での成功を目指して更生。地元の川崎市で楽曲制作に勤しみました。
「朝まで溜まる中留公園 また檻のなか 悲しむGirl Friend」
「掃き溜めからFly この街抜け出し勝つ俺らが」
「川崎区で有名になりたきゃ ×××か ラッパーになるか」
このようにヒリヒリする攻撃的な歌詞や、自分たちの育った川崎市池上町の劣悪な環境を描写する姿勢、海外から取り入れた歌い方で日本語ラップの概念をぶち壊し、武道館でのライブも成功させています。
そして、若手アーティストを支援するために、今年の3月に川崎市にレコーディングスタジオを設立。地元を想う気持ちが半端ないですよね……。
そんなBAD HOPのリーダーであるT-Pablow(ティーパブロ)は、2019年2月23日、川崎フロンターレの開幕戦で始球式を担当しました。1球目は外したものの、2球目でゴールネットを揺らしています。
そして、その時のことを曲でも歌っています。該当する歌詞の部分から再生できるようになっているので、ぜひ下のリンクから聴いてみてください。
昔 諦めたサッカーだけどRapperになったら
呼ばれたぜフロンターレの開幕戦での始球式へ
一球目なら外したよ 二球目蹴りたくて
それは冗談だけど俺以外外せねぇ
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