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【図解】なぜ、ユニクロは儲かるのか?

ZARAの記事にも書きましたが、現在アパレル業界は苦戦しています。
苦戦の一つのきっかけを作ったとも言われるファストファッションの代表格でもあるユニクロ。

アパレル不況の中、ユニクロは拡大をし続け、現在ではアパレル業界の売上のランキング3位(2019年)になっています。
一体、ユニクロはどうやって拡大し続けているのか、ビジネスモデル・戦略を図解してみました。

ユニクロの戦略図解

ユニクロの戦略図解

1.なぜ、顧客に選ばれるのか?(上段)

従来のアパレル企業では「服にこだわりのある人」をターゲットに、性別、年齢、社会的属性などで細分化して、製造をしていました。

一方、柳井氏はファッションのことを考える事がなく、服を選ぶこと自体がストレスに感じる「服にこだわりがない人」が大多数だと考えました。
要するに、服は安くて長持ちさせすれば、別によい。服を考えるのが面倒くさいと思うような人たちをターゲットにしたのです。(私もそうですが)

そのターゲットが求めているのは、従来の服のこだわりが強い人が求めるファッション性の高いものや奇抜な服ではなく、流行り廃れがなく、かつ手ごろな価格で手に入る製品を潜在的に求めていたのでした。

そこで、従来では考えられないほど、高品質かつ低価格な流行り廃れがない定番商品を製造することで、大多数のターゲットから選ばれるようになったのです。

他に選ばれる理由として、低価格で高品質だけじゃなく、ヒートテックのような高機能な製品も製造して点があります。

2.なぜ、儲かるのか?(中段)

ユニクロは、流行の服を安価に販売していますが、営業利益率は低いわけではなく、業界平均3.9%の中、営業利益率14~16%驚異的な数値になっています。(ちなみにZARAは16%ほどです)
ではどうやって高い利益率をあげているのでしょうか。

大きく2つありますが、まず、一つ目は流行り廃れがない定番品を大量生産を行う事で、高い利益率を生み出しています。

ZARAの記事でも書きましたが、アパレル業界は他業界よりも流行るものが分からない点と商品を企画して製造、店舗に並ぶまで通常約1年かかる点により、在庫になるリスクが大きく、商品の大量仕入れや大量生産を行うのが非常に難しい背景があります。

この問題に対して、従来のアパレルはファッションショーや雑誌などで対策をしてきましたが、ユニクロはターゲットが「服にこだわりがない人」であり、流行り廃れを追わず、老若男女人種関係ない定番品を作る事で対策しました。

流行り廃れがなければ、大量生産が可能なります。そして、コスト削減や時間短縮などに繋がるSPA(製造小売業)を取り入れて、顧客、店舗情報などから生産管理を徹底し、店舗での欠品なし、かつ在庫削減を実現することで、高い利益率を生み出しています。
※ちなみにZARAは「流行るものは分からない。それなら流行ったものをいち早く店舗に並べればよい」と考えて対策を行いました。ZARAの記事参照

二つ目として、魅力的な商品で来店を促進し、利益率の高い定番品を「ついで買い」させる事で高い利益率を生み出しています。

流行り廃れがない商品を扱うメリットの大きな一つとして、低コストによる低価格販売と、その素材へ投資ができる事です。ユニクロを有名にしたフリース(大量生産による圧倒的低価格)、東レとの協業で素材開発したヒートテックなどは流行り廃れがないからこそ生まれた製品です。

そして、これらの他社にない魅力的で低価格な商品を目玉にしたプロモーションを一気にかけて、集客を行っています。
例えば、2000年のフリースでは、2600万枚も販売して社会的現象にもなっています。

しかし、これだけ販売しても実際ユニクロの全販売数量の5~10%ほどです。フリースだけが売れたわけでなく、他の定番品がそれ以上に販売されているのです。

つまり、話題の商品を求めて来店し、他の魅力的で低価格の商品を目にすれば、一緒に購入する「ついで買い」が発生しているのです。
そしてついで買いされる定番製品は、大量生産しているので、利益率が高く、だからこそ、ユニクロは非常に高い利益率を生み出す事ができているのです。

こういう儲ける商品と儲けない商品を分ける考え方をマージンミックスと呼びますが、フリースなどの儲けない商品の役割を集客に利用し、かつCMなどで一点に絞って一気にメディアに広告しているのもその役割を発揮させているのでしょう。
そして、その明確な役割のおかげで、儲ける商品がついで買いされるという素晴らしいビジネスモデルになっています。

3.なぜ、勝ち続けるのか?(全体)

ユニクロが日本のアパレルを変えたと言われるくらい日本でのユニクロの影響力は甚大です。
実際、国内アパレル市場が9兆2,239億円(2018年)でユニクロの国内売上が8,647億円(2018年)なので金額ベースのシェアは約9.4%です。
数量でいうと、割安な事も考えると数量ベースだとシェア15~20%はいくのではないでしょうか。

ではなぜ、それほどユニクロは勝ち続けるのでしょうか。

それは定番商品というプロダクトフォーカスを行うことで、大量生産を可能にし、企画から生産・販売までを一貫して行うSPAを確立できた事が最大に強みになります。そして、ヒートテックのような高機能な商品の開発ができる事も強みになっています。

また、全世界多店舗展開、アプリなどを活かして、顧客情報を収集、分析することで、企画力が向上しさらに売れる商品を作ることが可能になります。

ITにも投資を行っており、瞬時に適切な情報が集まる事で、販売予測も立ちやすく、SPAで瞬時に減・増産も行えます。

このように、ターゲットに対する高品質、高機能かつ低価格な定番商品という顧客価値を高めれば高めるほど、他社との差が明確になることで顧客にさらに選ばれ、さらに素材や製造に力を入れる事ができるさらに儲けるという素晴らしい正のサイクルで、他社が追随できないビジネス構造を作りあげています。

まとめ

ユニクロは、「服にこだわりがない人」をターゲットに、「老若男女とわず世界中の人たちに高品質低価格な定番の服を提供する」戦略で、SPAを駆使しながら、他社との差や強みそして、儲けまで一貫したビジネスモデル、戦略になっています。

ユニクロのように、従来のアパレル企業が囚われていた「服にこだわりのある人」に対して製品を作るという前提を覆し、「服にこだわりがない人」をターゲットにしたことで、定番品を軸にビジネスモデルを構築していくクリティカルシンキングの考え方は非常に重要になってきます。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
分かりづらい点、間違いがある部分があるかと思います。何かお気づきの点がありましたらお知らせください。

参考

気がつけばみんな「ユニクロ」を着ている 平成に起きたアパレル革命
ユニクロが作り上げた“一人勝ち”の仕組み (1/3)
10分でわかるマーケティングミックスの解説と4Pの成功事例
アパレル業界のオムニチャネル戦略と実例について

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