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【図解】なぜ、セブンカフェはコーヒー「1杯100円」で儲かるのか?

コンビニでコーヒーを購入するのが当たり前になった方も多いのではないでしょうか。

2013年から本格的に始めたセブンカフェは、あっという間に僕らの当たり前になりました。

今では、1日1店あたり約130杯で、しかも年間約11億杯も飲まれています。

なぜ、そんな人気になったのでしょうか。コーヒーが美味しい、安いというだけが理由なのでしょうか。

また、なぜセブンはこの「セブンカフェ」に力をいれているのでしょうか。

そもそも、なぜ、そんな安い価格に設定したのか。

そして、なぜそんな価格で儲かるのか、そのビジネスモデル、戦略を図解してみました。

セブンカフェの戦略図解

戦略図解

1.なぜ、セブンカフェが選ばれるのか?(上段)

セブンを筆頭にはコンビニ各社では、客数が減少傾向にあります。

これはコンビニ店舗の飽和やドラッグストアやインターネット販売による競争激化が影響しています。

そのため、セブンの課題は、来店機会・客数の増加に繋がる商品を作る事になります。

その一つの解決策が「セブンカフェ」です。

全日本コーヒー協会の調査(コーヒーの需要動向に関する基本調査)だと、日本人1人が1週間に飲むコーヒーの杯数は11.09杯です。
日本人は1日1杯以上飲んでいる事になります。

つまり、飲もうと思う時に、飲みたいコーヒーを提供できれば、それだけ来店機会・客数の増加に繋がる事になります。

しかし、スタバやタリーズ、マクドナルド、そして缶コーヒー、コーヒーマシンなど多くの競合が存在します。

そんな数ある競合からセブンカフェが選ばれる必要があります。

では、コーヒーはどういうシチュエーションで飲まれているのでしょうか。

従来のコーヒーを飲むシチュエーションを考えてみると、
居心地の良い場所で、味も楽しみたい場合は、スタバやタリーズなどのコーヒーチェーンです。
ちょっとリフレッシュをするために、安く手軽なコーヒーを飲みたい人からすると、缶コーヒーを購入します。
コーヒーメーカーは、安く飲みたい場合と、もっと本格的にこだわりたい人の両者が存在します。

さて、ではセブンカフェはどこを狙ったかというと、スタバほど高くなく、缶コーヒーよりも美味しいという真ん中あたりのポジションを取りにいっています。

それはどんなシチュエーションかというと、飲みたい時に、気軽に手に入り(場所と価格)、本格的な味が楽しめてリフレッシュをしたい場合です。

そのシチュエーションを満たせるセブンカフェができれば集客に繋がります。

そこで、業界一位の経営資源をフル活用し、店舗やCMでの宣伝、そして統一感のあるオシャレなデザインで、そして、こだわり抜いた本格的な味であるセブンカフェを作った事で、年間約11億杯という驚愕する数が飲まれる事になったのです。

2.なぜ、100円コーヒーで儲かるのか?(中段)

上で書いたように、セブンカフェは来店機会・客数の増加に繋げるのがメインの商品です。
こういう集客力のある商品のことをマグネット商品と呼びます。

では、集客してどう儲けているのでしょうか。

コンビニの売上を因数分解すると客数×客単価×来店頻度になります。
セブンカフェは、来店機会と客数を上げる事に繋がります。

そして、来店されたお客さんから、客単価をいかに向上させられるかが、売上を上げる重要なポイントになります。
(本来儲けは利益なのですが、人件費などコストは固定費なので、売上ベースで考えています)

皆さんも経験があるかと思いますが、コンビニで目的の商品だけを買いに行ったはずなのに、他の商品も一緒に購入したことはありませんか。

この「ついで買い」が、コンビニの中でセブンが頭一つ抜けているのです。(日販が他より1.2倍高い。参考のリンクを参照)
これは、来店されたお客さんにこれも欲しいなぁと思わせるような陳列や欠品をさせない仕組みがあるからです。

つまり、マグネット商品で来店頻度、客数を上げ、「ついで買い」をいかに増やせるかが、セブンが儲けるための最大のポイントであり、セブンカフェはそれに最大限貢献して、儲けを生み出しているのです。

※なお、本来セブンイレブンはフランチャイズのロイヤリティで収益をあげるビジネスモデルであるので、各月の粗利益(売上総利益)に応じた一定の割合を支払っています。

3.なぜ、勝ち続けるのか?まとめ

勝ち続けるためには、小売業界の特徴を知っている必要があります。

小売業の特徴とは何でしょうか?
それは、競合も同じ商品を仕入れられるという事です。

同じ商品を仕入れられるという事は、お客さんにとっては、自分の都合が良い所を選ぶ事になります。
それは、例えば安さや、近い場所にある、自分が欲しいモノが見つかる便利さ、通うほど得になるなど。

小売業では、せっかく広告で集客したお客さんでも、簡単に別の所に行ってしまう可能性があるのです。
お客さんにとっては、手に入れたい商品が手に入るなら、どこでも良いからです。
逆に、お客さんにとって都合の良いお店になれば、そのお店を選び続けるとも言えます。

つまり、小売業界はいかにお客さんを囲い込めるかが最重要な経営課題なのです。

そして、そのお客さんを囲い込んだ例がアマゾンです。
手に入れたい商品が見つかり、そして直ぐ、気軽に手に入る。
顧客志向を貫いたお陰で、ユーザーはどこでも良いなら、その便利さ、満足度を満たせる場所を知らず知らずに選択し続けた結果といえます。(ヨドバシカメラが始めたポイント制度もこのためですね。)

そして、リアルでの顧客志向を貫いているのがセブンです。

来店されたお客さんに、目的以外の商品を、「欲しかったんだ」「こんな商品あるんだ」とついで買いしてもらい、そして満足してもらう。
セブンでは、お客さんが欲しいと思う商品を把握し、欠品せずに陳列させ続けられるかを追求し続けています。

その顧客志向を追求をし続けてきた結果とマグネット商品により、セブンは勝ち続けてきたのです。

では、現在のセブンの課題は何でしょうか。
それは、セブンカフェ以外に来店機会をあげる目立ったマグネット商品ができていない事ではないでしょうか。

残念ながら失敗に終わってしまいましたが、セブンペイは来店機会に繋げるマグネットの役割を果たすはずだったのでしょう。
それだけではなく、セブン以外のお客さんの購入履歴を把握する事で、「ついで買い」のさらなる促進を狙っていたはずです。

セブン好きの僕としては、セブンカフェ、セブンペイ以外のマグネット商品が生まれる事を望んでいます。(セブンペイのリベンジをしてもいいと思っていますが)

最後までお読み頂いてありがとうございました。
よければフォローなどして頂ければ幸いです。

参考

39億杯売れた「セブンカフェ」を刷新するワケ
■【コンビニ戦争】セブン、ファミマ、ローソンの平均日販を比較


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