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【図解】なぜ、ワークマンは儲るのか?その3

ソラッチです。

なぜ、ワークマンは低価格の商品でも儲るのか?その2の続きからです。

その1では、ビジネスにおいて一番重要なお客さんに選ばれる理由を説明しました。

その2では、低価格商品にもかかわらず、脅威の1~2割の利益率の謎を説明しました。

最後のその3では、勝ち続けられる秘訣と他社との差と儲けのポイントとの関連性を説明します。

なぜ、勝ち続けるのか?と全体像

ビジネスで勝ち続けるために重要な点が下記になります。

①この事業のKSFにつながる施策を実行し続ける事
②差別化と儲けのポイントが強みと連動している事

①この事業のKSFにつながる施策を実行し続ける事

まず①から。
KSFとはビジネスの成功要因(KFSとも呼ばれます)とは、事業を成功に導くための成功のカギともいわれます。

KSFにつながる施策を実行することで二つのメリットがあります。
まず、やるべき事が明確になるので、事業速度が高まります。
次に、経営資源をどこに集中すればいいか明確になるため、ブレがなくなります。

ワークマンの低価格&機能性のファッション業のKSFは図⑦であげている3つが考えられます。
※ちなみにKSFが強みに繋がっていきます。

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1.商品開発は値札を見ずに安心して買える売価から決定
2.善意型SCM、需要予測、店舗運営など、調達から販売・在庫管理までのSCM最適化
3.やる気がでる加点主義のFC制度

それぞれ詳しくみていくと、まずは

1.商品開発は値札を見ずに安心して買える売価から決定一般的に価格の決め方は三つあります。
①コストから考えるコストベース。
②他社の価格から決める競合ベース。
③お客さんが製品に対して感じている価値で決める価値ベース。

ワークマンは、価値ベースで考えていますが、価値ベースだと高価格を設定しがちですが、逆に低価格に設定しています。

なぜ低価格にすると良いのでしょうか?

一番の理由は、低価格であるほど顧客を悩ませないからです。
百均で商品買う時に、それほど悩まないのと同じです。

ビジネスでは、お客さんを悩ませず、意思決定をいかに省略できるかは重要なのです

なぜ、悩まなくなるのかというと、下記から見て分かるように、価格が低ければ低いほど、価値が相対的に高くなるからです。

顧客が得る価値(ベネフィット)> 顧客が払う対価(金額、手間・時間など)

逆に上の式から価値を上げる事も購入に繋がるポイントになります。
ワークマンでは、そのため社内からアイデアの募集だけじゃなく、SNSを活用して、商品価値の向上に力を入れています。

最近では、アンバサダー制度を活用しています。
ちなみに、インフルエンサーに報酬は払っておらず、フォロワー数や動画再生数などに貢献するようにプロモーションを行っています。
相手も一時的な報酬よりフォロワー数など伸びる事を望んでいる点と、やらせが発生せず厳しい意見が貰えるのでwin-winな関係です。


2.善意型SCM、需要予測、店舗運営など、調達から販売・在庫管理までのSCM最適化
小売業、製造業において、調達から販売、在庫管理は重要です。

例えば、トヨタのジャストインタイムは在庫を持たない製造方法として、少ない資源を効率よく回したからこそ、自社の何十倍も売上があったGMなどビックスリーに勝ったわけです。

ワークマンは、日本初のメーカーからの納品を全て買い取る善意型SCMを行っています。
この本質は、業界の流れなどの情報を良く知るメーカーの方が、良い提案ができるという善意を活かしています。
長年取引があり、ワークマンの内部情報も開示しているので、そこまで信頼されれば、メーカー側は責任を感じて最善の納品をしてくれるそうです。

もちろん、この方法も、作業着などトレンドが無い商品だからこそ、メーカー側も予測が立ちやすいわけです。
通常のファッションメーカーと小売店では真似すると関係が破綻するのではないでしょうか。

さらに、本部から店舗への納品も買取で、いかに在庫を出さないかが重要になります。
そのために、受注予測システムを作っています。

3.やる気がでる加点主義のFC制度
最後に、小売りはなんだかんだいっても、規模が大きいほど規模の経済性が効く業界であり、店舗拡大は重要になります。

店舗拡大で使われるのが、ワークマンも使っているFC制度です。

最近、コンビニFC制度で悪評を聞きますがワークマンは非常に堅実です。
継続率99%が物語っています。

コンビニと違う点はロイヤリティが売上連動で高くならないこと。

ワークマンではさらに、○○一位というボーナスがもらえる仕組みが多数あります。
非常にやる気がでるFC制度を行っています。

なぜやる気がでるといいのでしょうか?

基本的には、やる気=接客が良くなることで、先に挙げたように、小売りは顧客を囲い込む事が重要なので、接客が良いほどお客さんの定着に繋がるからです。


②差別化と儲けのポイントが強みと連動している事

最後に他社に負けないようにするためには、簡単に真似されない事です。

そのためには、自社の強みで、図③の他社との違いと、図⑤の儲けのポイントが連動していることが重要です。(図の赤い矢印)

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他社との違いが強みと関係ないアイデアなら、簡単に真似されます

例えば、パン屋さんが、変わった形のパンで流行ったとしても、すぐに真似されるものであれば他社との差はなくなります。
もし、 特殊な技術力や低価格で作れる仕組みなどそのパン屋さん独自の強みが他社との差を生み出していれば、簡単には真似されません。

ワークマンでは、運営力やSPAの強みがあるからこそ、9000SKUの商品を欠品させずに店舗に揃える事できています
そして、低価格高機能な商品を作れる技術力の強みがあるからこそ、儲けのポイントを抑える事ができています。

特に、強みの中で特徴的なのは、社内でデータ分析講習など実施し、数値に強く、考えられる社員を育成している事です。
データ分析に前のめりな小売業は珍しく、思い付きではないビジネスをしています。

なぜ、ビジネスで思い付きはいけないのか?

思い付きではいけない三つの理由は下記です。
①全体像にかけて漏れがでる
②解決策と問題との関係が不明確
③評価できず再現性がない

詳しい説明は省きますが、一言でいうと、他の案と比べてなぜ一番なのか答えられず、再現性もないのです。

思い付きで一度成功したとしても、それはたまたまであり、次は失敗する可能性も高いのです。

では、ワークマンではどうしているのでしょうか?

ワークマンでは、なぜその場所に出すのか。個の商品はどれくらい売れるのかをABテストなど評価と検証をしています。
データに基づくから、多くの人が納得できる理由で判断され、そして再現性がある経営を、全社員で取り組みされているのは、本当に素晴らしい強みです。

このように勝ち続ける企業には、強みが他社との違いや儲けるポイントと連動強化しており、それらが強化される事で、さらに強みが増す素晴らしい一貫性の仕組みがあります。

この一貫性がある戦略、ビジネスモデルを崩さない限り、ワークマンは伸び続けていくのではないでしょうか。

今後に関して

本などにも掲載されてますが、機能性によるカテゴリーの細分化がさらに可能です。

実際に女性向けや靴、雨の日用などの出店を検討されているそうです。

そして、ワークマンの場合では、一つのカテゴリーで人気店になったとしても、他の店でも同じ商品を扱っているので、全店舗の売上が上がるというのがポイントです。

一方で、競合他社に関して、同じポジショニングで攻めてくる企業は日本にはないでしょう。(ユニクロが低価格・機能性では攻めてくる可能性はありますが)

もちろんここまで低価格機能性の商品を簡単には作れません。
さらに、すでにプロ品質の低価格高機能な商品はワークマンという認識を持ってしまっているので、相当な価値を提供しなければ、この認識は崩れないでしょう。

では、ワークマンに課題はあるのでしょうか。
(ここはそらっちの思い付きレベルですが)

9000SKUという商品数が今後も伸び続けた場合、従来の100坪の店舗におさまらず、どの商品を配置すべきかが課題になるでしょう。

なぜ、課題になるかというと、どの店でも同じ商品が置いているというのが、特に職人の固定客化につながっているからです。
かといって、一般客が月に何個も求める商品ではなく、月に1つしか売れない商品を置き続ける事には問題があります。

もちろん、この点も検討もされていますが、一般顧客向けの人気な商品だけを取り扱う店舗を出すというのが一つの解決策かもしれません。

しかし、その場合、最適化された受発注システムなどSPAが通用しなくなる可能性もあります。

とはいいながら、参考にした本の主役である、土屋哲雄氏がいればこの問題も既に解決しているように思えます。

考え方などが素晴らしすぎて非常に勉強になりました。

最後に、非常に長くなってしまいましたが、このコロナ禍でのニーズの変化が、後押しになるワークマンは、まだまだ伸び続ける事は間違いないでしょう。

このワークマンの戦略やビジネスモデルはそのまま真似はできませんが、他の業界の方にも非常に参考になる事が多いモデル、本質であることは間違いありません。

最後までお読み頂いてありがとうございました。
もし、よければフォローなどして頂ければ幸いです。

【参考図書】
ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか
ワークマンのビジネスが非常に分かりやすく書かれています。

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