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【図解】なぜ、ワークマンは儲るのか?その2

ソラッチです。

なぜ、ワークマンは低価格の商品でも儲るのか?その1の続きからです。

その1では、そもそもビジネスにおいて一番重要な、お客さんに選ばれる理由を分析しました。

その2では、低価格商品にもかかわらず、脅威の1~2割の利益率を上げる事ができている理由です。
高利益が出るからこそ、お客さんに選ばれる商品をさらに提供できて、好循環を生み出す事ができるのです。

ワークマンでは、なぜ、儲かる事ができるのか、儲けという視点で、戦略やビジネスモデルを分析してみました。

なぜ、儲かるのか?(図中段)

キャプチャ

他のアパレルは瀕死の状態の中で、ワークマンは1~2割の営業利益を叩き出し、2020年3月期では20.5%の営業利益率を出しています。

儲けるためには、売上を上げるか、コストを下げるかです。まずコストから見ていきましょう。

どうコスト削減をしているか(特に図⑥の所)

アパレル業界は競合が多く、また戦略やビジネスモデルの違いで差が大きい業界です。
他の記事でZARAユニクロなど取り上げましたが、アパレル業界の特徴として、商品の企画、販売するまで半年~1年ほど時間がかかる事とブームが読めない点があります。
この特徴のために、不良在庫になりやすく儲けづらい市場構造になっています(季節を過ぎると売れない在庫=不良在庫になるため)。

この市場構造から、アパレル業界は不良在庫をいかに出さないかが最大の課題で、昨今の状況であれば作りすぎない戦略を取る企業も多く、そうすると製造・販売コストも高くなり、売れない悪循環に陥ります。

では、ワークマンはどうしたのか?
ワークマンではそもそもファッションのトレンドに関係ない、作業服や機能性などニッチなセグメントに特化しています。
例えば、作業服など3~5年など変わらないため、在庫にはなりますが不良在庫にはなりづらいカテゴリーです。

不良在庫になる心配がないと、何がいいのか?

不良在庫になる心配がなければ大量仕入れや、大量生産が可能になり、仕入れ、製造コストの削減が流行のアイテムより容易になるのです。

さらにワークマンでは、全量買い取りの善意型SCM(この取り組みも素晴らしく、ご興味ある方はご検索してみてください)を行っており、欠品や在庫回転率が向上しています。

また生産も工場の閑散期を狙って、大量発注を行うなど、ワークマンではこのようにコスト削減を徹底しています。

どう売上をあげているのか(特に図⑤の所)

利益を出すためには、コストを下げるだけでなく、売上を上げる必要があります。

ワークマンではどうやって売上をあげているのでしょうか。

ワークマンでは売上を上げるポイントとして三つがあげられます。
①割引なしの定価販売
②職人の固定客化による来店頻度向上
③一般客のまとめ買いによる客単価増

上記を売上を分解した式の要素で見ると、下記要素になります。
売上=客単価(商品単価①×購入点数③)×客数(新規客+既存客②)

①割引なしの定価販売
上でも書きましたが、一般的なアパレルと違い翌年でも売れるため、セールなどする必要も、割引する必要もありません。

つまり、ワークマンは一定の利益率がでる価格で売り続けているのです。
逆にお客さんからも割引がないというのは、いつ買っても同じという安心感を提供します。

ちなみに、ビジネスではどのカテゴリー、商材にするか選択した時点で、儲けるための市場構造が異なります。

例えば、ZARAは流行の服を低価格で提供するポジショニングを選択しています。
そのために、不良在庫の解決策として、流行したアイテムをすぐに出す(2週間ほど)という事で、アパレル業界NO1になりました。
一方、ユニクロは、ブームに左右されないベーシックな商品セグメントを選択しています。
そうすると、ワークマン同様に大量販売、大量生産が可能な戦略、ビジネスモデルを取ることができ、一気に駆け上がり今やアパレル業界NO2です。

②職人の固定客化による来店頻度
図⑤にロングテールとありますが、ロングテールとはあまり売れないニッチな商品群の売上合計が上回る現象を言います。(ちなみにニッチ商品群の売上合計は上回らないという指摘もされてもいます。)

その現象よりも、ロングテールの重要な本質は固定客化です。

9000SKUという商品数があるので、来れば欲しいものが見つかるという安心感が、お客さんを何回も足を運ばせ、固定客化に繋がるのです。

固定客化は重要なんですが、特に小売業界では固定客化が重要です。
なぜ重要なのか?

小売業界の特徴として、他社でも同じものを仕入れて販売できるので、差を出す事が難しい特徴があります。

この特徴のため、買ってくれたお客さんは、別の所で買ってもいいので、次に来るかは分からないのです。
だからこそ、お客さんをいかに囲い込むかが最重要(売上向上のためのセンターピンともいわれます)なのです。

ワークマンであれば、あまり売れない商品でも売っている事が、固定客化に非常に効果を発揮します。
ちなみに、ロングテールの固定客化がで大成功したのが、ロングテールの現象の生みの母のアマゾンです。

どんな物でも見つかる安心感がアマゾンにはあり、いつの間にか日常で買うものもアマゾンで買うようになってしまったのです。

他の小売業の固定客化でいうと、エブリデーロープライスやポイント制度などもそのための一つですね。

固定客化した職人は、目的買いで仕事行く前か終わった後に訪れます。
そのため滞在時間も短く、リピートするのでプロモーションコストがかからず、この点も儲けに繋がります。

③一般客のまとめ買いによる客単価増
つぎに、職人の目的買いとは異なり、一般客は長居してあれこれ品定めして、欲しい商品を選んでいきます。

気になる商品が低価格で販売されていれば、それだけ一度に複数の商品をまとめ買いされやすくなります。

ワークマンのように低価格で高機能な魅力的な商品が多ければ、それだけまとめ買いされ、客単価の増加に繋がります。

実際に、来店されたお客さんは「かごいっぱいにしても1万円もしない」と驚いて買っていくそうです。

まとめ

これらのように、ワークマンは売上向上、コスト削減の施策を数多く行い、1~2割という驚異的な利益率を上げています。

儲けている企業は、思い付きや偶然ではなく、市場構造に適した方法で、儲けの仕組みがあるわけです。

【参考図書】

ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか
ワークマンのビジネスが非常に分かりやすく書かれています。


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