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【橋本治についてのあれこれ その①】

 橋本治と私をつないでくれたのは、さべあのまさん。高校生のころ私はさべあのまと、吾妻ひでおの存在によって生かされていた。家の近くに主宰者が住んでいたのでさべあのま公式ファンクラブにも入っていたが、会報の制作途中で離脱していろいろあった(このあたりは自分のマンガ評論集に書いた)。この本は、はるかのちにさべあさんに原稿依頼をしてお会いできたときにいただいた同人誌版の初期作品集で、私の宝物である。
 そして1980年代の初めに、さべあのまと吾妻ひでおの二人を初めて正当に評価した批評家が、まだデビュー間もない頃の橋本治だった。さべあさんは単行本版の『桃尻娘』シリーズの表紙をずっと書いてくれていて、私にとっては高野文子さんによる講談社文庫版より、リアリタイムで読んでいたさべあさんの絵のイメージが強い。どの巻も素晴らしい装丁である。
 千木良悠子さんの本で『桃尻娘』シリーズをはじめて知る人も多いだろう。全巻を一つにまとめた本が出たらいいな、という夢を見ているのだが、その夢が叶ったときはオリジナルのさべあのまさんのイラストを使い、あの素晴らしい装丁を踏襲してほしい。

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