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エゴン・シーレという人は

「僕には才能がありますか?」

師であるクリムトに尋ねるシーレ

「ありすぎるくらいだよ」


絵を描くことに関しては天才で、

人としてはあまり尊敬できなくて、

でも、やっぱり1番好きな画家さんは誰?って聞かれたら、私はエゴンシーレと答えている。

美術の教科書で見た、エゴンシーレの自画像に目を奪われていた。特別綺麗とか、特別可愛い人が描かれているわけでもないその絵から目を離せなくなった。

それまでの私はモネやドガのような
綺麗な色味や、可愛らしい絵が好きだった。


ただ、エゴンシーレ本人と思われる男性がこちらを見つめている。少しの恐怖心すら芽生えるのに、今思うとはじめてみたそのときからもう心奪われていた。


エゴン・シーレ

1890-1918

エゴンシーレの出生はオーストリア。

幼い頃から絵を描く才能に長けていて当時の美術大学の中で最高峰の権威とよばれていたウィーン美術アカデミーに一発合格。同じ年にヒトラーもその試験を受けているが、彼はその後2回連続でその学校の試験を落ちる。

彼はスペイン風邪により若くして命を落とす。
制作期間はたった12年

当時タブー視されていた、死や性をモチーフにした作品を数多く生み出し、道徳や倫理観に反したことを行い、警察に捕まったこともあった。

目の前の蝋燭の火で自分の描いた絵を燃やされたりしたこともあるという。

私は穏やかな人生を送りたいので、その人生や価値観に憧れることはないが、シーレが持ち得た彼自身の葛藤を1ミリも理解できないと突き放すことはできない。

And yet, for my art and for my loved ones, I will gladly endure to the end.

それでも、私の芸術と愛する人々のために、喜んで最後まで耐え忍びます。

Art cannot be modern. Art is primordially eternal.

アートは現代的ではありえません。芸術は根本的に永遠です。

To restrict the artist is a crime. It is to murder germinating life.

アーティストを制限することは犯罪です。芽生えた命を殺すことです。

これらの言葉は全てエゴン・シーレの残したものだが、この言葉からも、シーレ自身がどれほど自分の描く絵を愛し期待していたこと、どこまでも芸術の可能性を見出そうとしていたことを容易に想像することができる。

エゴン・シーレの残された歴史を見る限りでは、全てが完璧な人では無かった。言ってしまえば不完全な人だったのでは無いだろうか…

そしてその不完全さを本当は彼自身も気づいていたのではないだろうか?
 
自信過剰に思えるような言葉や、時に狂気性が垣間見えるような言動はどこか、彼の奥底に見える臆病さを表している気がする。これは私の憶測でしかないけど…

あの激しい筆致は

エゴン・シーレ自身の心情だったのかもしれない。

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